カメラマンから観た映画『マネーショート』の感想・評価 シリーズPART2
事前に少し予習してから観ると、より楽しめること必須!
この映画は誰もがご存知、リーマンショックを巡る物語。
結果は周知の事実ではありますが、本作は、その絶望的な事件を勝ち抜いた4人の男たちを中心に描かれています。
・・・・正直、90%理解できませんでした(苦笑)。
市場には常に無数の勝者と敗者が複雑に絡み合っている。実在する4人の投資家をモデルにした登場人物たちが、そんなウォール街を出し抜き、前代未聞の金融危機を逆手に取り、一世一代の大勝負に挑む。
その様はなんとなくはわかり、世間に冷笑され続けた彼らの思惑が現実のものとなったときは、視点の問題ですが胸がスカッとしました。
ただ飛び交う経済用語は解説映像が少々流れるものの、要領を得ないまま終わってしまいました。
ですので、これから見ようと考えている人は事前に少し予習してから観ると、より楽しめること必須です!!(わからなくても強引に楽しめなくもないですが)
原因は、所得が低い人たち(サブプライム層)に対する高金利の住宅ローン、サブプライムローン であることは何となく理解しているとは思いますが、それがあまりにも甘い審査で通っていたこと、格付け会社の杜撰さ。
そしてマイホームを持てるなら喜んでローンを組む人々が、当時のアメリカにはたくさんいたという時代背景。極めつけはやたら出てくるMBS、CDOとCDSの知識くらいは何となーく知っておくといいかもしれません。
さて前置きが長くなり、ストーリーそのものに全く触れることができませんでしたが、感想は一言で表すと”痛快”!!。と言いたいところなのですが、何とも言えない後味の悪さも残りました。
それは、本作の主人公たちの勝利は、すなわち世界経済の破綻、ひいては貧困層をさらに貧困へと追いやる破滅そのものだったからです。
カメラの存在を意識せざるをえなかった。
映像に関して言えば、映画風のドキュメンタリー映像を観ているようでした。
写真や記録映像、解説映像の差し込み方の多さもありますが、そのように感じた一番の理由は”カメラワーク”にあります。
これは完全に私的な見解ですが、カメラの存在を限りなく消す、もしくは物語の動きそのものに寄り添うカメラワークをしているのが映画っぽい映画と考えています。
例えば、人が右を向いたら、右にパン(横振り)、人が振り向くのに合わせて後ろにフォーカスを送る(ピントを送る)といった、映像の動きに合わせたカメラの動きです。
しかしマネーショートにおいてはフォーカスがまるで機会任せのAF(オートフォーカス)モードでやっているように甘い部分がしきりに見られましたし、一枚の画の中でしきりにズームイン、ズームアウト(寄ったり、離れたり)を繰り返すシーンが随所にあり、カメラの存在を意識せざるをえなかった。
狙っているような場面もあったが、はて?はて?とずっと首をかしげるしかないシーンもあった。
個人的には所々に散りばめられた豪華出演者に対する予算の無駄遣いが撮影部を圧迫して、カメラワークを雑にしたのではないかと勘ぐっている(笑) ただ、それでも映像の臨場感という意味では、よかったと思う。
J-POPが混じるのは違和感だった(笑)
一カ所だけ、カメラとは関係ないですが、あるシーンでJ−POPが急に混じるんですが、あれは空耳だったんですかね・・・ 観た人はそこもチェックしてみたください(苦笑)全然シーンと合ってなかったんで・・・いや、本当にふいに一カ所だけJ-POP混じるんですよ、もう違和感しかないんですよ。あれは何だったのか・・・それを確認するためにもう一回観るかもしれません(笑)
PROFILE
「ENJOY CINEMA」で新コーナーがスタートしました! 題して「カメラマンから観た映画◯◯!!」ということで、エンジョイシネマに所縁のあるカメラマン、通称「チップ」に上映中の最新映画から過去の名作まで、あらゆるジャンルの作品を「カメラマン目線」で自由に語ってもらうコーナーとなっています! 写真や動画の撮影に興味がある方は勿論、それらに触れたことがない方も、このシリーズを通して、また一味違った角度から作品を観ることで、より一層その作品の理解や楽しさが膨らむと思っています! また、このシリーズを通してカメラマンだけではなく、一つの作品が完成するまでに、映像には映らない「影の立役者」「縁の下の力持ち」の存在を知ってもらうきっかけになればと思い企画をスタートさせました!肩の力を抜いてこのコーナーを今後も楽しんで頂ければ幸いです。編集長