©︎朝ドラ「おむすび」第4話
NHK朝ドラ「おむすび」の第4話では、人間と野菜の“クズ”に関するテーマが深く掘り下げられました。
橋本環奈が演じる主人公・結（ゆい）は、人生の選択や周囲との関係に悩む中で、自分自身や他者の価値について考えさせられるシーンが続きます。特に、廃棄される野菜やギャル文化を通じて描かれる「クズ」の概念が、この回の中心的なテーマとして浮かび上がりました。
ギャルとの対立と“クズ”の再定義
物語の冒頭、結がギャル集団に絡まれる場面から始まります。サラリーマンが警察を連れて助けに来るのですが、彼はギャルたちに向かって「このままやったら社会のクズになるぞ！」と激しい言葉を投げかけます。この言葉は、物語の後半で登場する「クズ」に関する対立的な価値観を象徴するものでした。
“クズ”という言葉は、社会で価値がないとされるものに対する冷たい視線を表しているのです。このシーンは、ただの一時的な対立を描くのではなく、社会における「クズ」とされる存在の意味を深く考えさせます。結自身も、ギャルに対して「大嫌い」と強い言葉を投げつける一方で、彼女の内面には自己評価や社会の価値観に対する揺れが感じられます。
家族内での対立：野菜と人間の価値
家に帰ると、父親の聖人（北村有起哉）と母親の愛子（麻生久美子）が規格外の野菜を選別しています。「どんなに味が良くても、見た目が悪かったらクズになる」という父の言葉に、結はその意味を噛みしめます。これに対して祖父の永吉（松平健）は「形が悪かろうが、この世にクズなんてものはない」と言い放ち、二人の考え方は対立します。
この対立は単なる農業における価値観の違いではなく、人生や社会における「価値」についての深い問いかけでもあります。永吉の「クズなんてものはない」という主張は、社会から取りこぼされる存在や、見た目や表面で判断されがちな人や物への肯定的な視線を示しています。
結が感じた“クズ”の意味
結は父・聖人の意見とサラリーマンの「クズになるぞ」という言葉に心を揺さぶられます。彼女自身、書道部をやめたいという迷いを抱え、ギャルや他人との関係に悩んでいる中で、自分が「クズ」とされるのではないかという不安を感じているのです。
結の葛藤は、社会の目線に左右される現代の若者の姿そのものです。誰かに「クズ」と烙印を押されることへの恐怖、そしてその烙印に抗おうとする内なる声。結が野菜の選別を通じて「価値」と向き合うシーンは、その象徴的な瞬間と言えるでしょう。
野菜が教えてくれた人生の教訓
このエピソードで特に印象的だったのは、野菜というシンプルな題材が人生の深い教訓として描かれていることです。規格外の野菜が廃棄される現実と、それに対する永吉の「形や見た目が悪いだけでクズなんてことはない」という主張は、現代社会における人間の価値評価のあり方への問いかけとなっています。
野菜が売れなくても、たった1円でも必要としてくれる人がいるという永吉の言葉は、人生において何が本当に大切なのかを考えさせます。物事の外見や社会の基準だけで価値を判断してはいけないというメッセージが、この第4話のテーマとして深く心に響きました。
友情と恋の芽生えも描かれる
また、この第4話では結と書道部の風見（松本怜生）や野球部の陽太（菅生新樹）との関係も進展しました。特に風見が展覧会に誘うシーンでは、結の迷いが少しずつ和らいでいく様子が描かれ、これからの友情や恋の発展が期待されます。さらに、翔也（佐野勇斗）という「鬼怒川の河童」として知られるキャラクターも登場し、彼が今後どのように物語に絡んでくるのか注目されます。
まとめ：深まる家族の絆とクズに対する視点
「おむすび」第4話では、ギャルや野菜という日常的なテーマを通じて、人間の価値や社会の基準に対する多様な視点が描かれました。特に永吉と聖人の対立、そして結の内面の葛藤を通じて、物事の外見や社会的評価に縛られず、自分らしく生きることの大切さが強調されています。
「この世にクズなんてものはない」という永吉の言葉は、見た目や社会的な評価にとらわれない新しい価値観を示唆するものであり、この物語全体を貫く重要なメッセージとなりそうです。今後の展開でも、家族や仲間たちの絆がどのように深まっていくのか、そして結がどのように自分の道を見つけていくのか、目が離せません！
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