静かな旋律の中に、確かなリズムと呼吸がある。
Clammbon(クラムボン)の「THE NEW SONG」は、聴くたびに新しい発見がある“隠れた名曲”として、多くのファンの心に残り続けています。
派手な展開や過剰な感情表現に頼らず、むしろ“音と音の間”に豊かな情感を宿らせたこの曲。その静けさの中に、Clammbonというバンドの本質が息づいています。
Clammbonというバンドの本質
Clammbonは、原田郁子(Vo, Key)・ミト(B)・伊藤大助(Dr)による3人組バンド。1996年に結成され、ポップス・ジャズ・エレクトロニカなど多様なジャンルを横断しながら、常に“音を楽しむ”という根源的な姿勢を貫いてきました。
彼らの音楽は、緻密でありながら自由。
録音作品であっても、ライブでの即興性や空気の「ゆらぎ」がそのまま感じられるのが特徴です。
静と動、緊張と解放、そのバランスを見事に操る3人の呼吸が、Clammbonの核を形づくっています。
「THE NEW SONG」— 穏やかさの奥にあるエネルギー
「THE NEW SONG」は、2006年7月12日リリースのシングル曲で、映画『机のなかみ』(監督:吉田恵輔)のエンディングテーマとして制作されました。
一見すると穏やかなバラードのようですが、その中には“音楽が生きている瞬間”がいくつも潜んでいます。
歌詞では、すれ違う心や距離の揺らぎが繊細に描かれ、メロディは静かに、しかし確実に感情の波をつくります。
どのフレーズも、「言葉にならない何か」を丁寧にすくい上げるように響くのです。
歌詞と音の間にある「余白」
Clammbonの特徴でもある“余白”の使い方が、この曲ではとくに顕著です。
歌詞は説明的ではなく、行間にたくさんの感情を委ねるように構成されています。
すれちがう心のゆくえ
いつのまに ふたり…
言葉が途切れたその瞬間、ピアノの音がそっと次の感情を運び、
ドラムのリズムが“会話の間”のように空気を刻みます。
その静けさの中にこそ、Clammbonの“音楽の芯”が見えるのです。
スタジオ・アコースティックバージョンが見せる「音楽の楽しさ」
スタジオ・アコースティックバージョンは、この曲の新たな魅力を鮮やかに映し出しています。
リラックスした空気の中で、3人が互いの音を確かめ合うように演奏する姿。
原田郁子の声の揺らぎ、ミトの軽快なギターグルーブ、伊藤大助のドラムの呼吸感——それぞれが独立しながらも、見事にひとつの“波”を生み出しています。
録音盤では静けさが際立つ曲ですが、このアコースティック版では、音楽を“楽しんでいる”瞬間そのものが映像に刻まれています。
観るたびに、Clammbonが持つ「音を通して対話する力」を感じずにはいられません。
Clammbonのライブ感と“今ここ”の音
Clammbonのライブでは、同じ曲でも毎回少しずつアレンジが変わります。
「THE NEW SONG」もその例外ではなく、テンポや間の取り方、コーラスの入り方が公演ごとに異なるのが特徴です。
この“変化を恐れない姿勢”こそ、彼らの音楽が常に新鮮である理由のひとつでしょう。
静けさの中にある衝撃
「THE NEW SONG」は、一度聴いた瞬間に“静かだな”と思うかもしれません。
けれど、その静けさの奥には、心を動かす確かな衝撃が潜んでいます。
それは大音量でも、派手な展開でもなく、“音楽を生きて感じること”そのものから生まれるエネルギー。
2006年のリリースから約19年が経った今(2025年時点)でも、この曲は多くのリスナーの心に寄り添い続けています。
日常の中で少し立ち止まりたいとき、この曲はきっと、あなたの中に静かな光を灯してくれるはずです。
Clammbonが描く「音の呼吸」
Clammbonの音楽には、“呼吸のような間”が常に存在します。
それはテクニックの巧みさだけでは生まれない、3人の長年の信頼とリズム感覚が生み出すもの。
「THE NEW SONG」は、単なる“静かな曲”ではなく、
音の隙間に“生きている時間”が感じられる、まさに Clammbonの哲学 を体現した一曲です。
スタジオ映像で見せる彼らの表情や仕草、ちょっとしたアイコンタクトのひとつひとつに、
「音楽って、やっぱり楽しい」と思わせてくれる瞬間が溢れています。
🔗 関連リンク(公式情報)
- Clammbon 公式サイト:https://www.clammbon.com
- 収録アルバム『Musical』(2007)情報:https://www.clammbon.com/discography
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