俳優・森山未來は、“演じる”という言葉の意味を、常に更新し続けてきた人物だ。
彼にとって演技とは「セリフを語ること」ではなく、「身体で生きること」。
その哲学が結実した最新作が、NHKの特集時代劇『丹下左膳~大岡越前外伝~』である。
「身体で語る俳優」が挑む、隻眼隻腕の剣豪
森山が演じるのは、隻眼隻腕の剣豪・丹下左馬之介(のちの丹下左膳)。
昭和初期に誕生し、多くの名優たちが演じてきた伝説のキャラクターに、彼が新たな息吹を吹き込む。
物語は、主君の命で妖刀「乾雲丸」「坤竜丸」を奪う任務に挑む左馬之介が、激闘の末に右腕を失い、
片目片腕の剣士・丹下左膳として再び立ち上がる姿を描く。
森山はコメントでこう語っている。
「隻眼隻腕のヒーロー、丹下左膳をやらせていただけたことを大変光栄に思っております。
リハーサルを行わず撮影当日に立ち回りを付けるという太秦の伝統は、とてもスリリングでした。」
この“即興性”こそが、森山の演技の真骨頂だ。
東映太秦の現場で、殺陣師・清家一斗氏との呼吸を合わせ、
その瞬間ごとに生まれる「生きた身体の動き」を作品に刻み込む。
型通りの芝居ではなく、「今この瞬間の生」を感じさせる演技。
それが彼の信条であり、今回の左膳というキャラクターと見事に重なっている。
舞台も映画も、そしてダンスも。ジャンルを超える“身体表現者”
森山未來のキャリアは、常に“枠”を壊すことの連続だ。
幼少期からダンスに親しみ、15歳で舞台デビュー。
映画『世界の中心で、愛をさけぶ』で広く知られるようになった後も、イスラエルでダンサーとして研鑽を積み、
神戸市ではアーティスト・イン・レジデンス「AiRK」を立ち上げ、俳優に留まらない活動を続けている。
2025年現在、彼は俳優・ダンサー・アーティストの境界を自在に行き来しながら、「身体とは何か」「生きるとは何か」という根源的な問いを表現へと昇華している。その中心にあるのは、「身体を通して語る」という信念だ。
『丹下左膳~大岡越前外伝~』での役作りも、まさにその延長線上にある。
片腕を失った剣豪という制約の中で、どのように動き、どう立ち上がるのか。
その一挙手一投足に、森山未來という人間の“覚悟”が滲む。
「生きる演技」とは、観客をも生かす力
森山の演技には、どこか“生々しさ”がある。
それは、作り込まれた演技の上手さではなく、「その瞬間に生きている人間の匂い」がするからだ。
彼の身体は、セリフ以上に語り、静止よりも雄弁に感情を伝える。
この「生きる演技」は、観る者の感情を直接揺さぶる。
それは舞台でも映画でも、そして今回のような時代劇でも変わらない。
隻眼隻腕の左膳が剣を振るうたびに、観客は“森山未來の肉体”そのものが語る物語に引き込まれる。
共演の高橋克典も「ダンサーならではの身体表現で動きにキレと説得力がある」と評しており、俳優としてだけでなく、“表現者”としての深みが改めて証明された格好だ。
時代劇という“伝統”の中で、現代の表現を生む
今回の『丹下左膳~大岡越前外伝~』は、NHK BSで12月29日放送予定。
『大岡越前』シリーズのスピンオフとして制作され、監督には『光る君へ』の黛りんたろう、脚本は尾西兼一、音楽は佐野宏晃が務める。
黒木華、高橋克典、毎熊克哉、加藤諒、平祐奈ら実力派俳優が脇を固め、
“現代的な身体表現×古典的な時代劇”という異色の融合が見どころだ。
時代劇という伝統の中に、森山未來の現代的な感性がどう交わるのか。
それは、古きを守るのではなく、身体を通して新しい命を吹き込む挑戦でもある。
まさに、今この瞬間にしか生まれない“生きた演技”の体現だ。
─「俳優ではなく、表現者として」
森山未來は、俳優という肩書に留まらない。
彼は、踊り、語り、戦い、静かに佇みながら、一つひとつの作品の中で「生きるとは何か」を問い続けている。
『丹下左膳~大岡越前外伝~』は、そんな彼の現在地を映す鏡のような作品だ。
この作品を通して、私たちは「演じること」と「生きること」の境界を改めて考えさせられるだろう。
そしてきっと、その瞬間、スクリーンの中の丹下左膳ではなく、
“森山未來という生きる身体”が、私たちの前に立ち上がっている。
俳優・森山未來が体現する「生きる演技」─時代劇という舞台で放たれる覚悟
俳優・森山未來は、“演じる”という言葉の意味を、常に更新し続けてきた人物だ。 彼にとって演技とは「セリフを語ること」ではなく、「身体で生きること」。 その哲学が結実した最新作が、NHKの特集時代劇『丹下左膳~大岡越前外伝~』である。 「身体で語る俳優」が挑む、隻眼隻腕の剣豪 森山が演じるのは、隻眼隻腕の剣豪・丹下左馬之介(のちの丹下左膳)。 昭和初期に誕生し、多くの名優たちが演じてきた伝説のキャラクターに、彼が新たな息吹を吹き込む。 物語は、主君の命で妖刀「乾雲丸」「坤竜丸」を奪う任務に挑む左馬之介が、激 ...
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