
互いの呼吸が触れ合うほどの距離。張り詰めた空気の中で、視線が交わる。
Netflix映画『10DANCE』のポスターに映る竹内涼真と町田啓太の姿は、闘志と緊張、そしてどこか親密な熱を帯びている。
二人の体がわずかに傾き、光が汗をすべるその一瞬だけで、俳優としての覚悟が伝わってくる。
竹内涼真、“挑戦する”ことを止めない男
ラテンダンス日本チャンピオン・鈴木信也を演じる竹内涼真は、今回の作品でNetflix作品に参加し、社交ダンスに初挑戦した。
ラテンの激しいリズムとともに、情熱・焦燥・誇りがせめぎ合う鈴木信也というキャラクターを、肉体と感情の両面で表現している。
竹内はこれまでも『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系)など、極限状況での人間ドラマを体現してきた。
だが本作では、セリフよりも「体の動き」で心情を語る表現に踏み込んでいる。
筋肉の動き一つ、視線の揺れ一つが、彼の中にある繊細な感情を代弁しているかのようだ。
挑戦を恐れず、新しいフィールドに身を投じる姿勢が、竹内の現在の俳優像を象徴している。
町田啓太、静けさの奥に宿る闘志
一方、スタンダードダンス日本チャンピオンで世界2位の実績を持つ杉木信也を演じるのは町田啓太。
端正な姿勢と緩やかな動きの中に、内なる炎のような闘志を感じさせる。
劇団EXILE出身として長年ダンスと向き合ってきた町田にとって、本作は“原点回帰”でもあり“再構築”でもある。
2022年のドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)では熱血の隊員役、2023年の『unknown』(テレビ朝日系)では愛と正義の間で揺れる警察官を演じた。
こうした経験を経て、町田は『10DANCE』で新たなステージへと進む。
優雅さの裏にある緊張と執念を、ダンスというフィジカルな表現に昇華させた。
その姿勢は、まさに“静の闘志”という言葉が似合う。
対立から共鳴へ──2人の“信也”が映す人間ドラマ

物語の中心にいるのは、同じ「信也」という名を持つ2人のダンサー。
ラテンダンスの王者・鈴木(竹内涼真)と、スタンダードのチャンピオン・杉木(町田啓太)。
競技種目も性格も正反対の2人が、互いに教え合いながら10種のダンスを極める「10ダンス」に挑戦する。
最初は激しくぶつかり合うが、練習を重ねるうちに、互いの中に“欠けていた何か”を見出していく。
競争と尊敬、そして複雑な感情が交差するその関係性は、竹内と町田という2人の俳優の関係にも重なる。
対立しながらも、同じ高みを目指す――その緊張感が、作品全体に確かなリアリティを与えている。
肉体で語る“情熱と誇り”──『10DANCE』が描く究極の表現
本作を監督するのは、『るろうに剣心』シリーズや『レジェンド&バタフライ』を手掛けた大友啓史。
映像はまるで舞台のように構成され、照明と影がダンサーたちの呼吸を際立たせる。
竹内と町田に加え、田嶋アキ役の土居志央梨、矢上房子役の石井杏奈ら主要キャスト4人は、いずれも社交ダンス未経験の状態から過酷なレッスンを積み上げた。
映像の中で描かれるダンスは、単なる競技ではなく“心のぶつかり合い”そのもの。
ポスターに映る2人の身体の重なりは、対立・尊敬・そして言葉にできない感情の象徴だ。
ダンスを通じて人間関係の深層を描くこの作品は、フィジカルな演技表現の可能性を新たに提示している。
俳優としての現在地──“ダンス”が導く次のステージ
いま、竹内涼真と町田啓太の2人は、俳優として“深化の時期”を迎えている。
共に第一線で経験を重ね、作品を通して“演じる”から“伝える”へと進化を遂げた。
『10DANCE』は、そんな2人が自らの肉体と精神をかけて挑んだ、表現者としての記録でもある。
竹内は、感情を動作へと変換し、言葉に頼らない表現を追求。
町田は、長年のダンス経験を俳優としての表現に溶け込ませた。
その結果、画面には単なる競技の緊張ではなく、“互いに影響を与え合う人間の物語”が浮かび上がる。
この作品が観る者に伝えるのは、競い合うことの美しさと、理解し合うことの強さ。
『10DANCE』は、竹内涼真と町田啓太――2人の俳優が限界の先で出会った、**“進化のダンス”**そのものだ。
【作品情報】
Netflix映画『10DANCE』
- 📅 配信開始:12月18日(木) 世界独占配信
- 🎬 監督:大友啓史
- 🕺 出演:竹内涼真、町田啓太、土居志央梨、石井杏奈 ほか
- 📖 原作:井上佐藤『10DANCE』(講談社「ヤングマガジン」連載)
- 🔗 作品情報はNetflix公式サイトで確認可能。
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