
シリーズ屈指の“胸が熱くなる”ストーリーとして語られる本作『すみっコぐらし 空の王国とふたりのコ』。
かわいさだけで終わらない、優しさと切なさがそっと心に残る名作です。
ある日、すみっコたちが空の王国へ旅立つ物語の中で出会う“ふたりのコ”。
彼らの正体と、ラストで明かされる真実は、子どもから大人までグッとくるポイント。
この記事では、
ネタバレなし → ネタバレ結末 → 見どころ → 口コミ → 筆者レビュー → 配信情報
まで、読者の疑問すべてに答える形でまとめます。
作品情報(表)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 映画 すみっコぐらし 空の王国とふたりのコ |
| 公開年 | 2021年 |
| 監督 | 作田ハズム |
| 脚本 | 森ハヤシ |
| ナレーション | 本上まなみ |
| 主題歌 | BUMP OF CHICKEN「Small world」 |
| 制作 | ファンワークス |
| シリーズ | 劇場版第2弾 |
あらすじ(ネタバレなし)
ある日、すみっコたちの前に落ちてきたのは“ひこうき雲みたいな乗り物”。
その中にいたのは、ふしぎな「ふたりのコ」。
すみっコたちは彼らに導かれ、雲の上の“空の王国”へと旅立ちます。
そこには、笑顔で働く空の住人たちや、不思議な乗り物、わくわくする景色が広がっていました。
しかし王国には、優しい雰囲気とは裏腹に、どこかかすかな違和感が漂っています。
やがてすみっコたちは、“ふたりのコ”が抱える秘密、そして王国全体のゆらぎに気づき始めるのです。
『すみっコぐらし 空の王国とふたりのコ』興行収入・動員数
| 期間 | 興行収入 | 動員数 |
|---|---|---|
| 公開25日間 | 5億2825万2970円 | 42万4173人 |
| 公開17日間 | 4億4475万4030円 | 35万7424人 |
| 公開10日間 | 3億6415万6140円 | 29万4085人 |
| 公開4日間 | 2億5345万3580円 | 20万7661人 |
| 公開3日間 | 1億8400万円 | 15万人 |
ネタバレあり|結末解説・テーマ考察
● “ふたりのコ”の正体
ふたりのコは、王国の仕組みが崩れかけたことで生まれた不完全な存在。
王国を守る“エネルギー”の欠片のような存在で、王国の歯車が狂ったことで孤独になってしまったのです。
● 王国が揺らいだ理由
空の王国は“みんなの想い”によって成り立つ世界。
しかし、住人たちの働きすぎ・気持ちのすれ違いにより、王国のバランスが崩壊へ向かっていました。
ここに“現代社会の働き方・心の余裕”という寓話的テーマが込められています。
● ラストの意味
別れのシーンで、ふたりのコが消えてしまう瞬間は、本作最大の泣けるポイント。
しかしこれは“消滅”ではなく、
王国が元の形を取り戻し、ふたりのコが本来あるべき場所へ帰った
という優しい終わり方。
すみっコたちの優しさを受け取り、王国は“調和”を取り戻したのです。
● 本作のテーマ
- 思いやりは、世界を優しく変える
- 誰かの「ひとりぼっち」に気づく大切さ
- 忙しさの中でも、心の余白を忘れない
ほんわかしていながら大人の胸にもささる深いメッセージが潜んでいます。
見どころ3選

◆ ① “ふたりのコ”の表情と動きの切なさ
最初は無表情だった“ふたりのコ”が、すみっコたちと過ごすうちに微妙に表情を変えていく描写は、本作の感情の核とも言えます。
小さなしぐさで「孤独」「不安」「うれしさ」が伝わるアニメーションは秀逸で、ラストの別れをより切なくしています。
◆ ② 空の王国のアートデザイン
王国の街並み、雲の質感、飛行船の柔らかな光…全体が“夢の中にいるような淡い色彩”で統一され、大人も見惚れる美しさ。
背景美術のクオリティが高く、ただ眺めているだけでも癒されます。
特に「王国の崩壊シーン」と「復活シーン」の色彩対比は、作品テーマと感情を強く演出しています。
◆ ③ ラストの“涙ポイント”を生む音楽
BUMP OF CHICKENの主題歌「Small world」が、物語の感情の流れと完璧にマッチしています。
静かに寄り添うような歌声が、エンドロールで涙を誘う…。
音楽と映像の調和は、シリーズの中でもトップクラス。
評価・口コミまとめ
◆ 肯定的意見
- 「シリーズで一番泣けた」
- 「音楽と映像が圧倒的に美しい」
- 「ふたりのコの存在が切なくて忘れられない」
- 「大人が観ても深い」
◆ 否定的意見
- 「少し難しいテーマで子どもには理解しにくい」
- 「終盤が切なすぎて驚いた」
◆ 筆者整理
“癒し×寓話性×切なさ”のバランスがよく、映画として完成度が高い一方、
“ほんわかだけの作品”を求める層とは少しギャップがある、という評価傾向。
7. 筆者レビュー
本作は「すみっコぐらし」というブランドの“優しさ”を、さらに一歩深く掘り下げた作品だと感じました。
まず印象的なのは、空の王国という美しい世界に漂う、微かな“不安”。
光の量、住人たちの表情、ふたりのコの無言…その一つひとつが「この世界、完璧ではないよ」と語りかけてきます。
そして、すみっコたちの存在が、その不安に少しずつ色を足していく。
ふたりのコに寄り添い、手を握り、同じ景色を見ようとする姿は、見ているこちらの心まで温かくしてくれます。
何より胸を打つのは、“別れの優しさ”。
別れ=悲しみ、ではなく、
相手が本来の居場所へ戻ることを静かに受け入れる優しさ
として描かれるのが、この作品の美しさです。
大人になると、誰かと別れる瞬間に「良かったね」と言えることは少ない。
でも、すみっコたちはそれを自然にやってのける。
この姿が、観た人の胸をそっと揺らすのだと思います。
観終わったあと、じんわりと心が温かくなる。
切なくて、でも優しい。
すみっコシリーズの“良心”のような一作でした。
まとめ
『空の王国とふたりのコ』は、シリーズの中でも“感情の奥行き”が深く、物語性の高さが魅力です。
かわいさだけでは終わらない、切ないけれど優しい体験が心に残る名作。
家族でも、大人ひとりでも、どちらでも楽しめる完成度。
“ふたりのコ”の正体と最後の選択は、観る人によって受け取り方が変わるほどの余韻を持っています。












