
2025年も、邦楽シーンは激動でした。シングルやアルバムの売上、ストリーミング、ラジオ/動画再生…さまざまな指標を総合し、年間を通じた人気と影響力を可視化する「Billboard JAPAN 年間チャート」。
そのなかでも特に、アーティスト、作詞家、作曲家の三大ランキングは、2025年の“音楽地図”を映す鏡になっています。本記事では、2025年の年間チャート結果を俯瞰しながら、“なぜこの人/このグループが支持されたのか”を、邦楽トレンドの観点から読み解きます。
アーティスト部門 — 2025年の顔ぶれとその背景
年間トップ10の顔ぶれ
2025年の「Artist 100」年間ランキングで、上位10組は以下の通りです。
- Mrs. GREEN APPLE
- back number
- 米津玄師
- Vaundy
- HANA
- Snow Man
- Official髭男dism
- 藤井風
- YOASOBI
- ちゃんみな
この顔ぶれだけでも「安定の人気」「新たな台頭」「ジャンルの多様化」が感じられます。
なぜ彼らが上位に — 背景と要因
Mrs. GREEN APPLE は、年間シングル/アルバム/アーティストの三冠達成という圧倒的な強さを見せました。
back number や 米津玄師、Vaundy といったアーティストは、ストリーミングや楽曲の話題性、安定したファンベースなど複数の指標を総合した結果と考えられます。
また、Snow Man、藤井風、YOASOBI、ちゃんみな のような、ジャンルや世代をまたぐアーティストがランクインしており、2025年の邦楽は “幅の広さ” を改めて確認させる結果となりました。
2025年の邦楽シーンの傾向
このランキングから浮かび上がるのは、「従来のヒットメソッド」と「新しい音楽消費の融合」です。CDやアルバム売上だけでなく、ストリーミング・動画・配信など多様な再生指標を通じて、幅広い層に支持されたアーティストが評価された年と言えるでしょう。
作詞家ランキング — “言葉” を紡ぐクリエイターたち
2025年の年間作詞家チャート「Top Lyricists」では、以下が上位10名でした。
- 1位 大森元貴
- 2位 清水依与吏
- 3位 米津玄師
- 4位 ちゃんみな
- 5位 Vaundy
- 6位 藤原聡
- 7位 Ayase
- 8位 秋元康
- 9位 あいみょん
- 10位 藤井風
このランキングは、ファンの「歌詞への共感」「楽曲の世界観」をどれだけ支持されたかを如実に表しています。
言葉の潮流 ― 2025年の歌詞トレンドとは?
1位の大森元貴は、その作詞センスと多数のヒット曲への貢献で安定した強さ。
清水依与吏、米津玄師、ちゃんみな、Vaundy といった名前が並ぶことで、「若手〜中堅」「ロック/ポップ/ストリーミング世代」の歌詞が時代の中心にあったことがわかります。
さらに、作詞家としても、アーティスト自身が詞を書くケースが多くなっており、“歌う人=言葉を紡ぐ人” の境界が以前より曖昧に。結果として、“アーティストの世界観” がそのまま歌詞として表現される作品が増えた年だったようです。
作曲家ランキング — 2025年を彩ったメロディメーカーたち
2025年の年間作曲家チャート「Top Composers」上位10名は以下。
- 1位 大森元貴(作詞ランキングでも1位)
- 2位 清水依与吏
- 3位 米津玄師
- 4位 Vaundy
- 5位 藤原聡
- 6位 Ayase
- 7位 藤井風
- 8位 あいみょん
- 9位 DJ松永
- 10位 常田大希
メロディの多様性と制作感 ― 2025年の作曲トレンド
大森元貴 が作詞・作曲の両面で1位を獲得。単なる「バンドのフロントマン」ではなく、“楽曲全体の設計者” として改めて評価されました。
清水依与吏、米津玄師、Vaundy といった、メロディ・構成・サウンドプロダクションを重視するクリエイターの存在が、大衆人気とクリエイティブの両立を象徴。
DJ松永、常田大希 のように“ビートメイカー/編曲家” の名も上位に入っており、バンド/歌モノだけでない、多ジャンル・多様な制作スタイルが受け入れられているのも2025年の特徴です。
総合分析 — 2025年の邦楽シーンに見える“3つのトレンド”
1. “総合力”が問われる時代に
もはや「CD売上」や「シングルヒット」だけではランキング上位に食い込めない。ストリーミング、動画再生、アルバム売上、ラジオ/配信など、多岐にわたるデータの総合力が重要となりました。2019年以降定着したこの傾向は、2025年も明確に継続しています。
2. “アーティスト=作詞・作曲家” の増加 ― 自主性と世界観の重視
作詞家・作曲家ランキングにアーティスト自身の名前が並ぶのは、もはや珍しくありません。これは、「誰が歌っているか」だけでなく、「誰が書いて・作ったか」が評価対象になっている証左です。結果、ファンだけでなく、音楽ファン/クリエイター間でも支持される作品が増えました。
3. ジャンルの多様化と新世代の台頭
伝統的なJ-POP やバンドだけでなく、ヒップホップ、R&B、ヒップホップ寄りのビート/トラックメーカー、さらにはYouTube/ストリーミング世代を意識したサウンドなど、多様な音楽スタイルがランキング入り。「“今っぽさ”」と「普遍性」の両立が、2025年の邦楽のキーワードだったようです。
2026年への展望
2025年の年間チャートを振り返ると、「総合力 × クリエイター性 × 多様性」が邦楽の主流になったことがわかります。2026年はさらに、「配信限定アーティスト」「SNS発信/バイラル世代」「国際展開アーティスト」の台頭が期待されそうです。
音楽を聴くだけでなく、“誰が書き/誰が作り/誰が歌うか” を意識する――そんな楽しみ方が、今後さらに広がるでしょう。
もしよければ、2026年注目アーティスト予測のセクションも付け加えます。


