アイドルとしての歩みと、広がり続ける活動領域
高橋恭平は、なにわ男子としてステージに立つ日々と、俳優としてカメラの前に向き合う時間を往復しながら、等身大の魅力を積み重ねてきた。
大阪で生まれ育ち、2014年に芸能活動をスタート。2018年10月にグループ結成メンバーに選ばれ、2021年11月には「初心LOVE」でCDデビューを果たした。それ以降はライブ、バラエティ、ドラマ、映画と、活動フィールドをしなやかに広げ続けている。
俳優として評価が高まった“静かな芝居”の魅力
最近では“ギャップ”という言葉で語られることが多いが、本人はそれを狙って作っているわけではない。
素のまま、真っすぐに役や表現に向き合った結果、その自然なズレや幅が作品の中で際立っていく。俳優としての姿が注目され始めたのは、2017年の映画出演やさまざまなドラマを経て、2023年の映画「なのに、千輝くんが甘すぎる。」で単独主演を務めた頃からだ。アイドルとしての華やかさとは異なる静けさをまとった芝居のテンションが作品の雰囲気と合わさり、初めて彼を見た層にも印象を残した。
役ごとに表現を更新し続ける今――「ストロボ・エッジ」から最新作まで
その後も映像作品での挑戦を続けており、ドラマ「ストロボ・エッジ」など、青春物語の中で瑞々しさをにじませる役どころに取り組んできた。
そして、2025年12月12日公開予定の映画「ロマンティック・キラー」では、新たなヒロイン像に寄り添うように、少し大人びた距離感での演技を見せる。画面の中での彼は、アイドル活動とはまったく別の温度を持っていて、その落差が“二つの世界を行き来する表現者”としての存在感につながっている。
2026年公開の主演作「山口くんはワルくない」で挑む、新たな人物像
そして2026年6月5日、高橋の俳優キャリアにおいて大きな節目となる作品が控えている。
映画「山口くんはワルくない」だ。累計210万部を超える人気コミックを原作とした青春ラブストーリーで、彼は転校生の山口飛鳥を演じる。金髪にコワモテという外見、鋭い関西弁、そして誤解されがちな人物像。その奥にある優しさや不器用さをどう立ち上げるのかが高橋にとっての挑戦だったという。撮影ではマグネットピアスをつけるために痛みをこらえたエピソードも語っており、細部まで役に寄り添おうとする姿勢が伝わってくる。
作品が示す“ギャップ”と、主演としての存在感
公開された特報映像では、最初の迫力あるアクションから一転、照れた瞬間に耳が赤くなるような可愛らしい一面まで描かれ、山口飛鳥の“ギャップ”がそのまま高橋恭平の演技の幅と重なって見えた。
制作陣も原作の空気を大切にしながら、学生たちの小さな悩みや喜びの積み重ねに目を向けた作品づくりを掲げている。派手な事件が起こる物語ではない。むしろ、学校生活のなかに潜む“心が揺れる瞬間”を丁寧に描くことこそが、この映画の軸だ。それを支える主演として、高橋は大きな役割を担っている。
スクリーンとステージ──二つの現場が育てる表現者としての現在地
ステージに立つ高橋恭平は、周囲の空気を読む軽やかさと、瞬発力のあるパフォーマンスで観客を楽しませる。一方で、俳優としてはセリフの温度や目線の動きを細かく整え、静かに役へ寄り添っていく。その切り替えのスムーズさは、キャリアを重ねるほどに研ぎ澄まされ、双方の活動が互いを豊かにしているように見える。アイドルか俳優か、どちらか一方に括るには惜しい存在であり、両方に真剣に向き合う今だからこそ見える景色があるのだろう。
これから描かれる“次の章”をどう迎えるのか
これからデビュー10年を迎える中で、高橋恭平はどんな選択をしていくのか。
映画での主演、ドラマ出演、そしてなにわ男子としての活動。その全てを並行して走らせる日々は決して簡単ではないはずだが、作品ごとに積み上がっていく経験値が、彼自身の“次の表現”を確実に広げている。スクリーンとステージを行き来する彼の姿は、そのまま“成長の途中にある今”を映し出しているようだ。
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