
音楽活動と俳優業、そのどちらにも真剣に向き合い続ける佐野勇斗。
M!LKとして全国を飛び回りながら、作品ごとに新たな顔を見せる彼のキャリアは、今まさに大きな伸びを迎えている。その“現在地”を象徴するのが、2026年1月スタートのテレビ朝日系ドラマ**『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』**だ。
■ 東大卒キャリア官僚・笹野耕一という難役への挑戦
佐野が本作で演じるのは、東京国税局・資料調査課の財務省キャリア、笹野耕一。
数字や資料を瞬時に処理し、正確に記憶する高い能力を持つ“情報処理のスペシャリスト”だ。
エリートとしての存在感を備えながら、どこか飄々として愛嬌もあるという、表情の振り幅が大きい人物像である。
劇中では複雑な税務の専門用語が多数登場するため、佐野はひとつひとつ内容を調べ、理解したうえでセリフを組み立てている。
役柄については「頭がよくて愛嬌がある人物」と捉え、真面目さと柔らかさの“ちょうどいいバランス”を探りながら役作りを進めているという。
毎話に散りばめられた逆転劇もこのドラマの魅力で、佐野自身も「好きなジャンル」と感じているそうだ。
松嶋菜々子との10年ぶりの現場──“成長を届ける”再会
本作には、佐野にとって特別な縁がある。
主演の松嶋菜々子とは、2016年放送の『砂の塔~知りすぎた隣人』以来10年ぶりの再共演となる。
当時、佐野は初めてのレギュラー出演で、現場ではまだ試行錯誤の真っ最中だった。そんな彼を松嶋が温かく支え、クランクアップ時には手紙と靴下を贈られたという。
このエピソードは、過去のインタビューなどでも語られてきた佐野の大切な思い出だ。
今回の再共演では、佐野は「10年経って成長した姿をお見せできれば」と語っており、かつての恩を胸に、今度は俳優として堂々と向き合う姿勢が伝わってくる。
■ M!LKでの経験が、俳優としての“強さ”に変わる
2025年10月期の日本テレビ系ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』では、桜田ひよりとW主演を務め、シリアスな物語の中心に立った佐野。
その一方でM!LKとしての活動にも精力的で、ライブでは前に立つ場面も多く、パフォーマンスや表現力を磨き続けている。
歌い、踊り、観客と向き合うステージでの経験は、俳優業においても大きな武器だ。
瞬発力、切り替え、表情の幅、作品に向けた集中力。
二つのフィールドを行き来することで、佐野の表現はより立体的になっている。
こうした“二刀流の相乗効果”こそ、今の佐野勇斗を語るうえで欠かせないキーワードだろう。
『おコメの女』で見せるプロフェッショナルの現在形
『おコメの女』の舞台となるのは、東京国税局内に新設された“複雑国税事案処理室”、通称「ザッコク」。
松嶋菜々子演じる米田正子が、複雑で手を出しにくい案件に挑む社会派エンタメ作品だ。
笹野耕一は、正子に引き抜かれてザッコクの一員になる立場。
エリートだからこそ抱える葛藤と、計算能力という武器をどう活かすか──役としての幅が問われる存在だ。
佐野は難しい専門用語や膨大なセリフ量にも丁寧に向き合い、作品の持つ“勉強になる面白さ”を自分の役でさらに引き上げたいと語っている。
この姿勢は、俳優としてのプロ意識そのものだ。
二刀流の先に見える、佐野勇斗の成長曲線

ここ数年の佐野勇斗は、俳優としての役幅が大きく広がっている。
ミステリー、社会派、コメディ、青春ドラマ──そのどれでも、作品の中で自分の役割をしっかりと掴んでいる印象だ。
同時にM!LKとしての活動では、全国を回るライブやリリースイベントが続き、多忙な日々の中で心身を鍛え、表現の精度を高めてきた。
二つの道を選んだからこそ得られる経験が、作品ごとの成長につながっている。
そして今回の松嶋菜々子との再共演は、彼自身が歩んできた10年の軌跡を示す“ひとつの答え”になるだろう。
佐野勇斗の成長曲線は、まだまだ上昇の途中にある。
多忙な日々でも挑戦を恐れず、学びを楽しみ、自分の役と誠実に向き合う姿勢は、これからも彼のキャリアを確かなものにしていくはずだ。
変化を恐れない俳優・佐野勇斗の魅力

佐野勇斗のキャリアを紐解くと、常に“変化を受け入れる柔軟さ”がある。デビュー当初は瑞々しい存在感で注目を集めたが、作品を重ねるたびに、役の中に自然に溶け込む落ち着きや説得力が増している。
近年の佐野が特に評価されるのは、「役ごとに違う空気感を纏えること」だ。たとえば冷静な人物を演じる時には声の温度を下げ、目線の強さをわずかに変えることでキャラクターの内面を表現する。逆に明るい人物であれば、テンポや言葉の運びに軽やかさを加えるなど、表現がとても繊細だ。
今回演じる笹野耕一も、一歩間違えれば“ただのエリート役”に見えてしまう難しいキャラクターだ。しかし佐野は、専門用語の扱い方や声のスピード、表情の切り替えで人物像に奥行きをもたせようとしている。こうした役作りの“詰めの丁寧さ”は、佐野が着実に積み重ねてきた経験の結果だろう。
また、M!LKとしての活動も、俳優としての魅力を確実に後押ししている。ステージでは観客の反応を瞬時に感じ取り、自分の表情や動きを調整する必要がある。この経験が、カメラ前でのちょっとした表情の変化や、芝居における“間”のセンスにつながっていると考えられる。
さらに、グループで活動しているからこそ、周囲を見て動く力も自然と養われる。ドラマの現場でも、キャストやスタッフとの連携を大切にし、チームとして作品を作り上げる姿勢が見える。若手の頃とは違い、今では現場全体の空気を理解したうえで、自分の立ち位置を柔軟に調整できる俳優へと成長している。
松嶋菜々子との再共演は、佐野にとって単なる“10年ぶりの顔合わせ”ではない。あの頃支えてもらった経験を胸に、今では自分の足で立ち、作品に貢献できる立場になった。その事実が、彼のキャリアの確かな進化を象徴している。
今後も佐野勇斗は、多様な作品で新しい姿を見せていくだろう。
変化を恐れず、一つひとつの役を丁寧に掘り下げ、音楽と演技の両面で輝きを増す──そんな未来が自然と想像できる俳優だ。
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