
King & Princeの新曲「Theater」のミュージックビデオがフルサイズで公開された。
本作は、12月24日発売の7thアルバム STARRING のリード曲であり、12月22日より先行配信もスタートしている。
MV公開直後から注目を集めている理由は、単に映像のスケールが大きいからではない。「Theater」は、今のKing & Princeが何を表現しようとしているのかを、極めて丁寧に可視化した作品として受け止められている。
「Theater=劇場」が示す視点の揺らぎ
タイトルにもなっている「Theater(劇場)」という言葉は、MV全体の軸となるモチーフだ。
ステージを思わせる空間、照明の切り替え、視線の高さが変わるカット構成など、映像は一貫して“観る/観られる”関係性を行き来する。
二人がパフォーマーとして踊る場面と、物語の一部を切り取ったような静かなカットが交互に配置されることで、「舞台の上に立つ存在」と「それを見つめる存在」の境界が曖昧になっていく。
この構造は、観る側それぞれに異なる解釈を許す余白を残している点が特徴だ。
Ayumu Imazuが形にした“踊れるポップス”

「Theater」は、作詞・作曲・振付を Ayumu Imazu が担当。ファンクを基調としたトラックに、現代的で耳なじみのよいメロディラインを重ねたダンスチューンとなっている。
印象的なのは、ダンスが“技術の見せ場”として強調されすぎていない点だ。動きは楽曲のリズムや言葉と自然に結びつき、音楽の流れを身体でなぞるような役割を担っている。
そのため、パフォーマンスは派手さよりも一体感が前に出る。これがMV全体に落ち着いた緊張感をもたらしている。
史上最多の撮影日数が生んだ「繰り返し観たくなる構造」

公式情報によれば、本MVはKing & Prince史上でも特に多くの撮影日数とシチュエーション数をかけて制作された作品だ。
場面ごとに照明や空気感が明確に変えられており、
一度目は楽曲と映像の雰囲気を楽しみ、
二度目以降は細部の演出や構図に目が向く。
こうした設計が、「一度観て終わり」ではなく、時間をおいて見返したくなるMVという印象につながっている。
「STARRING」への入口としての役割

アルバムタイトルである「STARRING」は、“主役として立つこと”を強く想起させる言葉だ。その導入に「Theater」が置かれていることは、偶然ではないだろう。
完璧な主人公像を描くのではなく、舞台に立ち続けること自体を肯定するようなムードが、この楽曲にはある。
それは二人体制となった現在のKing & Princeが、どの立ち位置で、どんな表現を選び取っていくのかを示す一つのヒントにも見える。
ファンの間で語られやすい理由
「Theater」がファンの間で共有されやすいのは、過去のイメージや物語を強く押し出していない点も大きい。
特定の答えを提示するのではなく、観た人それぞれが自分の感覚で受け取れる構造になっているため、感想や考察が自然に生まれる。
結果として、「このシーンどう思った?」「ここ、何度も見返してしまう」といった会話が広がりやすいMVになっている。
今のKing & Princeが提示した“現在地”について
King & Princeはこれまで、楽曲やパフォーマンスの完成度の高さで評価されてきたグループだ。
一方で「Theater」では、完成された像を誇示するよりも、今まさに進行している表現に重きが置かれているように見える。
舞台に立つことの緊張感。
視線を集めることの重さ。
それでもパフォーマンスを続けるという選択。
これらを、過度にドラマチックに描くことなく、ポップミュージックの文法の中で静かに提示している点が印象的だ。
「Theater」は、King & Princeが今どこに立ち、どこへ向かおうとしているのかを、押しつけがましくなく伝える一曲として、アルバム『STARRING』への確かな入口になっている。
何度か観返したあとで、また印象が変わる。そんなタイプのMVとして、長く楽しまれていきそうだ。
「Theater」はなぜ“特別な一曲”として受け取られているのか ──二人体制のKing & Princeが描く、現在進行形のステージ
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