
俳優・アーティストとしてキャリアを重ねてきた中島健人が、近年選び続けているのは、誰かの人生の「光」よりも、その手前にある感情だ。
成功や達成を描く物語ではなく、人が言葉にしづらい悩みや揺らぎに、静かに寄り添う役柄。その選択には、彼自身の表現者としての現在地がにじんでいる。
2026年に世界配信予定のNetflixシリーズ*『SとX』で中島が演じるのは、セックスセラピスト・霜鳥壱人。性に関する悩みを抱える人々の声に耳を傾ける医師だ。
なぜ今、この役なのか。その背景を丁寧にたどってみたい。
強さを演じるより、「聞く人」であること
中島健人の俳優としての歩みを振り返ると、近年は感情を外に出す役よりも、内側に抱え込む人物像が増えていることに気づく。
その流れを象徴する作品のひとつが、Netflix映画『桜のような僕の恋人』だ。

病と向き合う青年を演じたこの作品では、感情を言葉で説明する場面は多くない。むしろ沈黙や視線、間の取り方によって、人物の心情が伝えられていた。
この表現を通して、「何かを語る」よりも「語れない状態を引き受ける」演技が、彼の中で一層重要になっていったと受け取る人もいるだろう。
セックスセラピストという役が持つ“距離感”
「SとX」の主人公・霜鳥壱人は、セックスレス、ED、不倫、性的トラウマ、更年期障害など、誰にとっても身近でありながら、語ることが難しいテーマと日々向き合っている。
霜鳥は、患者の悩みに対して答えを提示する存在ではない。良い・悪いを判断することもしない。ただ、相手の言葉を遮らず、聞き続ける。
その姿勢は、セックスセラピストという職業の本質を丁寧に映し出している。
中島自身もコメントの中で、霜鳥が患者の心情に細部まで目を向け、相手の気持ちを汲み取る姿勢に共感したと語っている。役柄への関心は、派手さではなく、その“距離感”にあった。
「アイドル」としての立場を自覚したうえでの選択
本作が扱う「性」というテーマは、ともすれば過激さや刺激として消費されがちだ。
しかし制作陣は、センセーショナルな描写を目的としていないことを明確にしている。あくまで、性と心の内に真正面から向き合う物語である。
中島健人もまた、「アイドル」である自分がこのテーマに取り組む意義について考えたとコメントしている。
そのうえで、世界共通のテーマであり普遍性のある作品として本作に参加することを決めた経緯が語られている。
立場やイメージから目を背けるのではなく、それを自覚したうえで引き受ける。この判断も、現在の中島健人らしい選択と言える。
完成された人物ではないからこそ生まれる説得力

霜鳥壱人は、他者の悩みに寄り添う医師でありながら、本人もまた傷や迷いを抱えている人物だ。
誰かを支える側であると同時に、完全ではない存在。その二面性が、このキャラクターに現実味を与えている。
年齢や経験を重ねた今の中島だからこそ、霜鳥の不安定さや揺らぎを、過度な演出なしに表現できると感じる視聴者もいるだろう。
役と俳優の距離が近づいたことで、演技に自然な温度が宿っている。
作品情報
- 原作:多田基生「SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~」(講談社『モーニング』刊)
- 監督:草野翔吾
- シリーズ構成・脚本:吉田智子
- 脚本:草野翔吾/松島瑠璃子/ばばたくみ
- 配信:Netflixにて2026年世界独占配信予定
本作は、セックスセラピスト・霜鳥壱人の成長と恋愛を描いたヒューマン・ラブストーリーとして制作されている。
中島健人の選択が示す“表現の方向性”
ここ数年の中島健人の出演作を並べてみると、明確な共通点がある。それは、観る側に即答を与えない作品を選んでいる点だ。
感動の理由が一言で説明できる物語ではなく、視聴後に感情が残り続ける構成。
「わかったつもり」になれない余白があり、その余白を観る人に委ねる作品群である。
セックスセラピストという役は、その延長線上にある。
悩みはエピソードの終わりで完全に解決するとは限らない。それでも、誰かに話したという事実が、その人の人生をわずかに動かす。その小さな変化を信じる物語に、中島健人は自身の現在の表現スタンスを重ねている。
表現者としての次のステージとは、より大きな役や派手な挑戦ではない。
人の弱さを、弱さのまま描くこと。その覚悟を引き受けた地点に、今の中島健人が立っている。
中島健人はいま、なぜ“人の悩み”を演じるのか――表現者として選んだ次のステージ
俳優・アーティストとしてキャリアを重ねてきた中島健人が、近年選び続けているのは、誰かの人生の「光」よりも、その手前にある感情だ。 成功や達成を描く物語ではなく、人が言葉にしづらい悩みや揺らぎに、静かに寄り添う役柄。その選択には、彼自身の表現者としての現在地がにじんでいる。 2026年に世界配信予定のNetflixシリーズ*『SとX』で中島が演じるのは、セックスセラピスト・霜鳥壱人。性に関する悩みを抱える人々の声に耳を傾ける医師だ。 なぜ今、この役なのか。その背景を丁寧にたどってみたい。 強さを演じるより、 ...
“フェロモン店長”誕生まで:中島健人、ドラマ主演で放つ新たな“やさしさ”
中島健人という人物を、いま改めて描きたい 1994年生まれ。アーティストとして長く第一線で活動し、2024年にSexy Zoneを卒業して以降はソロ期へ移行。その歩みの中で、俳優としての積み重ねも着実に広げてきました。 ドラマや映画で役と丁寧に向き合う姿勢は、年を重ねるごとに鮮明になり、表現者としての領域を広げ続けています。 近年はソロアーティスト活動も本格化し、音楽、ドラマ、映画と幅広い表現の場で存在感を示してきました。そんなタイミングで飛び込んできたのが、今回の主演作です。 自身初となるNHKドラマ出 ...
20代女性が選ぶ恋人にしたい有名人ランキング【2025年最新版】
“付き合いたい”のリアルな温度感。2025年、恋の主役はこの10人(ポプバ調べ) 「恋人にしたい」と思うその瞬間、人はどんな魅力に惹かれているのか――。 SNS投稿、検索トレンド、日常会話の中に散りばめられた“推し”たちの存在感をもとに、PopVerseMix編集部が20代女性の“本音”にフォーカスしたランキングを作成! 今年ならではの価値観が透けて見えるラインナップに、あなたもきっと「わかる〜!」と頷くはず。 次の推し活の参考にも、ぜひご一読を! 第10位:赤楚衛二(俳優・30歳) 距離感のうまさが“恋 ...
【最新版】『中島健人 主演映画作品』歴代興行収入ランキング!
【最新版】『中島健人 主演映画作品』歴代興行収入ランキング! ※最新情報は随時更新します! 『中島健人 主演映画作品』歴代興行収入ランキング! 8位 心が叫びたがってるんだ。 興行収入:6600万円以上 【公開日】 2017/07/22 主演:芳根京子、石井杏奈、寛一郎 7位 劇場版 BAD BOYS J―最後に守るもの― 興行収入:2億1000万円 【公開日】 2013/11/09 主演:二階堂高嗣、岩本照、深澤辰哉、橋本良亮、渡辺翔太 6位 おま ...
【レビュー】映画『知らないカノジョ』の感想・評価・口コミ・評判
【2025年2月28日公開,121分】 INTRODUCTION(イントロダクション) 『今夜、世界からこの恋が消えても』は、三木孝浩監督が贈る唯一無二の「ifの物語」。 成功した男が、隣にいた最愛の人を失い、全く逆転した世界で再び出会う――愛の試練に立ち向かう姿を、中島健人が情けなくも自然体に演じ、ヒロイン・ミナミをシンガーソングライターmiletが圧倒的な説得力で描く。主題歌「I still」にも象徴される、切なくも希望に満ちたラブストーリーが、2025年のスクリーンで新た ...
【レビュー】映画『おまえの罪を自白しろ』の感想・評価・口コミ・評判
【2023年10月20日公開,101分】 誘拐された孫娘の解放を条件として、罪の告白を要求された政治家一族を描いた真保裕一の同名小説を実写映画化。『ラーゲリより愛を込めて』の中島健人が父親の議員秘書として働く主人公の晄司、『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』の堤真一が晄司の父親で政界の大物議員でもある宇田清治郎を演じる。監督は『アイ・アム まきもと』の水田伸生。 【監督】水田伸生【原作】真保裕一【脚本】久松真一【主題歌】B’z 【キャスト】 宇田晄司 中島健人 宇田清 ...




















