
俳優業と音楽活動を並行しながら、表現の幅を広げてきたM!LKの佐野勇斗。
そのキャリアを語る際に、ひとつの大きな節目として捉えられることが多い作品が、ドラマから劇場版へと展開した『トリリオンゲーム』だ。
本作で佐野が演じた平学(ガク)は、派手さよりも誠実さと技術力で物語を支える人物。なぜこの役が印象に残り、佐野勇斗という俳優の見え方に変化をもたらしたのか。作品と現在の活動をつなぎながら整理していく。
平学(ガク)はどのような役割を担っていたのか
『トリリオンゲーム』は、天王寺陽(ハル)と平学(ガク)のバディによって進む物語だ。大胆な発想と行動力で突き進むハルに対し、ガクは内向的で慎重、しかし圧倒的な技術力を持つエンジニアとして描かれる。

佐野勇斗が演じるガクは、感情を大きく表に出すタイプのキャラクターではない。迷いや不安、決断に至るまでの思考は、表情や立ち居振る舞いの変化によって丁寧に示されている。
その静かな描写が、物語に現実味を与えていたように見える。
派手さを抑えた芝居が残した印象
ガクという役は、分かりやすい名場面を量産するタイプではない。だからこそ、演じる側には「目立たずに存在感を残す」難しさがあったと言える。
佐野勇斗は、感情を説明する芝居を選ばず、状況への反応を積み重ねる表現を重ねていた。視聴者がガクの気持ちを想像する余白が保たれていた点が、この役の説得力につながったと受け取ることができる。
結果として、ガクは物語の中で自然に信頼を集める存在として描かれた。
目黒蓮との関係性が生んだバランス
ハル役を務めた目黒蓮との関係性も、この作品を語るうえで欠かせない。二人は、主張と受容、勢いと慎重さという対照的な役割を担っている。
佐野勇斗の演技は、相手のエネルギーを受け止めながらも、自身の役割を崩さない点が特徴的だ。どちらか一方に偏らない構図が保たれたことで、バディものとしての安定感が生まれていたように見える。
劇場版で描かれた平学の変化
2025年2月14日に公開された劇場版『トリリオンゲーム』は、原作者・稲垣理一郎の監修による完全オリジナルストーリーとして制作された。
作中では、事業規模が拡大し、日本初のカジノリゾート開発に挑む姿が描かれる。
ガクもまた、単に支える立場から、判断を委ねられる場面が増えていく。佐野勇斗は、その変化を大きな演出で示すのではなく、立ち位置や視線、間の取り方の変化によって表現しているように映る。
積み重ねの延長線上にある成長として描かれている点が、キャラクターに一貫性を与えていた。
現在の活動と重ねて見える佐野勇斗の立ち位置

佐野勇斗は、俳優としての活動に加え、M!LKのメンバーとして音楽活動やライブも継続している。異なる現場での経験が、役ごとの距離感や空気の掴み方に影響していると感じられる場面もある。
『トリリオンゲーム』以降、感情を前面に出す役だけでなく、内側で思考を重ねる人物像も成立させられる俳優として、受け止められる機会が増えているように見える。
平学という役が示したもの
平学は、分かりやすい成功や挫折を繰り返すキャラクターではない。それでも物語が進むにつれ、少しずつ役割が変化していく。
佐野勇斗がこの役で示したのは、派手な表現に頼らず、作品全体の温度を保つことができる俳優像だったと考えられる。
今後どのような役柄を選び、どのように向き合っていくのかは作品ごとに見えてくるだろう。『トリリオンゲーム』は、その過程を読み解くうえで、ひとつの基準点となる作品だ。
劇場版『トリリオンゲーム』配信情報
劇場版『トリリオンゲーム』は、Prime Videoにて2026年2月27日から見放題独占配信予定。
M!LK佐野勇斗は『トリリオンゲーム』で何を掴んだのか?平学という役が示した現在の評価と進化
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