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坂口健太郎という俳優が、いま“人間の奥行き”に踏み込む理由

2026年2月3日

坂口健太郎という俳優が、いま“人間の奥行き”に踏み込む理由

モデル出身という経歴から語られることも多かった坂口健太郎は、俳優としてのキャリアを重ねるなかで、その評価軸を大きく変えてきた。

爽やかさや親しみやすさといった第一印象にとどまらず、感情を抑制した演技の中で人物の内面を立ち上げる表現力が、近年とくに注目されている。

声を荒らげることなく、感情を説明しすぎない。それでも観る側に確かな余韻を残す。坂口健太郎の現在地を示す一本として位置づけられるのが、映画『私はあなたを知らない、』だ。本作は、彼の演技の方向性がどこへ向かっているのかを、静かに、しかし明確に示している。







感情を語らない演技が際立つ理由

坂口健太郎の演技は、感情を言葉で補足しない点に特徴がある。視線の揺れや間の取り方、身体の置き方によって、人物の内側を伝える。その表現は、観客に理解を強制するものではなく、「考える余白」を残すものだ。

私はあなたを知らない、』で演じる西山夕平は、決められたルーティンの中で淡々と生きる青年である。天涯孤独という背景を持ちながらも、それを悲劇として語ることはない。しかし、職場に現れた一人の女性との出会いをきっかけに、彼の中に眠っていた感情が少しずつ揺らぎ始める。その変化は劇的ではなく、ごくわずかなズレとして積み重なっていく。

坂口は、この人物を「理解しやすい存在」として描かない。肯定も否定もしきれない感情の揺れを、そのまま差し出すような演技が、本作の緊張感を支えている。

中野量太監督との初タッグが生んだ深度

本作の原案・脚本・監督を務めるのは中野量太。『湯を沸かすほどの熱い愛』『浅田家!』などで知られる中野が、10年ぶりに手がけた完全オリジナル脚本作品である。テーマは、人を愛すること、そして人を赦すこと。ヒューマンサスペンスという形式を取りながら、物語の中心にあるのは、人間の感情の複雑さだ。

坂口は台本を読んだ際、「複雑で難しいが、同時にとても愛おしいストーリーだと感じた」と語っている。夕平の選択は決して正当化できるものではない。しかし、そこに至るまでの心の動きには理解できる部分がある。その曖昧さこそが、この人物の核となっている。

撮影現場では、坂口と中野監督が意見を交わしながら、主人公像を丁寧に組み立てていったという。テイクを重ねる中で、夕平という人物の輪郭は、より現実に近い形へと掘り下げられていった。







日仏共同製作が示す作品の射程

『私はあなたを知らない、』は、フランスのPyramide Productionsとの日仏共同製作作品であり、フランスでの配給もすでに決定している。文化や言語の異なる観客を前提にした企画である点は、本作の重要な特徴だ。

坂口はコメントの中で、「愛情は国や言語、人種を超えるものだと思う」と語っている。夕平が犯した罪は消えないが、そこに至るまでの感情は、多くの人が想像し得るものでもある。本作は、その普遍性が海外にも届き得る構造を持った作品として設計されている。

髪を切るという選択が示す役への向き合い方

本作のために坂口健太郎は髪を短くカットしている。外見の変化は控えめだが、役作りにおける姿勢を象徴する要素でもある。装飾を削ぎ落とした佇まいは、西山夕平という人物の生活感や孤立感を強調する。

公開されたティザービジュアルでは、保育園のような場所に一人佇み、どこか現実から切り離されたような表情を浮かべる夕平の姿が写し出されている。その表情は、言葉よりも雄弁に、この人物の内面を語っている。







俳優・坂口健太郎の現在地

中野量太監督は本作について、「これまでに見たことのない坂口健太郎がいる」と語っている。それは、極端な変化や派手な演出によるものではない。感情を抑制したまま、人間の奥行きをどこまで描けるか。その挑戦の先にある姿だ。

坂口健太郎は近年、人物の割り切れなさや矛盾を抱えた役柄においても、過度な説明を排した演技で存在感を示してきた。その延長線上にある本作は、彼のフィルモグラフィの中でも、重要な位置を占める一本となるだろう。

坂口健太郎が体現する「判断を急がない人物像」

『私はあなたを知らない、』の西山夕平は、善悪の線引きが明確な人物ではない。観る者にとって理解しづらい選択をしながらも、その背景にある感情は完全には切り捨てられない。坂口健太郎の演技は、その宙づりの状態を無理に整理しない。

現代社会では、出来事に対して即座に評価や結論が求められる場面が多い。そのなかで、判断を保留したまま人物を見つめる視点は、かえって新鮮に映る。坂口が演じる夕平は、観客に明確な答えを渡さない代わりに、「考え続ける余地」を残す存在だ。

坂口健太郎が近年見せている演技の魅力は、感情を過剰に表現しないことによって、人間の複雑さを浮かび上がらせる点にある。本作でも、その姿勢は一貫している。理解できない部分を含んだまま人物を受け止める。その体験こそが、『私はあなたを知らない、』という作品の核心なのだ。

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いくつかのエピソードがあるが全て涙がこぼれる

泣くけど終始淡々としてる感じ

一つくらい飛び抜けたエピソードのストーリーがあっても良かったかなと思う

俳優陣の演技は素晴らしくて永作博美、志田未来、北村匠海の泣き、そして目黒蓮の所作が美しくて声がいい

たく

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ポプバ編集部:Jiji(ジジ)

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