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『ありす、宇宙までも』あらすじと魅力を徹底解説!“セミリンガル少女×天才少年”の宇宙を目指す青春譚【マンガ大賞2025】

『ありす、宇宙までも』あらすじと魅力を徹底解説!“セミリンガル少女×天才少年”の宇宙を目指す青春譚【マンガ大賞2025】

🌠 イントロ:生きづらさの中に見つけた、宇宙という夢

2025年の「マンガ大賞」で頂点に立った作品——それが売野機子による話題作『ありす、宇宙までも』(小学館)です。

本作は、日本人初の女性宇宙飛行士コマンダーを目指す少女・朝日田ありすが、言葉の壁、生きづらさ、自分自身への違和感と向き合いながらも、仲間と共に未来を切り拓いていく成長物語。

ありすと、天才少年・犬星類との出会いは、ただの青春では終わらない希望と再生のバディストーリーを紡ぎます。

📖 あらすじ:少女が夢を持つまでの「0→1」を描く

主人公の朝日田ありすは、幼い頃から日本語と英語を同時に学ぶ“セミリンガル”として育ちました。しかし、両親を事故で失い、言葉の習得も中途半端なまま、祖母に引き取られます。

転校先の小学校では、十分に話せない日本語のせいで「変わった子」として見られ、周囲と打ち解けられない日々が続きました。

外見は「かわいい」と褒められるものの、その言葉が**"無力で守られるだけの存在"というラベルのように感じてしまう**——ありすはそんな“自分の価値が分からない”状態に陥っていました。

そんなある日、彼女の前に現れたのが、怪物級の天才児・犬星類(けんせい るい)。

彼はありすがセミリンガルであることを一瞬で見抜き、「俺が君を賢くする」と宣言。そして彼が出した最初の課題は「明日、自分が何をすべきかを見つけること」。

その瞬間から、ありすの人生はわずかに動き出します——言葉にならない違和感の奥に、未来の光が差し込んだのです。

💡 セミリンガルのリアルな描写と、言葉にならない葛藤

本作が多くの読者の心を打つ理由のひとつが、セミリンガルというテーマの描写の深さです。

「2つの言語を学んだ結果、どちらも十分に使えない」——そんな立場のありすが直面する孤独と、周囲とのすれ違い。

特に印象的なのが、ありすが宇宙飛行士選抜ワークショップで「かわいい」と言われたときに、自分の気持ちをしっかりと言葉にできたシーン。

「かわいいは良い言葉って分かってる。でも、赤ちゃんって思われてるみたいで、何もできないって意味に感じてしまうの」

この台詞には、自分を説明する言葉をようやく見つけられた喜びと、自分で自分を肯定できるようになった一歩が詰まっています。

🚀 “夢”は遠いけれど、手を伸ばせば届くかもしれない

物語が進むごとに、ありすはただの“受け身の存在”から、自分の夢に向かって一歩踏み出す存在へと変化していきます。

その中心にいるのが犬星です。彼は時に強引で、時に破天荒。しかし彼の行動は一貫して、ありすの可能性を信じ抜いています。

特に第3巻で描かれる、種子島への旅のエピソードは圧巻。ありすのために、犬星が大切にしていた本を手放して旅費を工面するシーンでは、「支える者もまた、誰かに支えられている」という優しさの連鎖が描かれます。

👨‍🚀 バディものとしての完成度と、物語の“熱”

『ありす、宇宙までも』は、いわゆる青春群像劇ではありません。

・言葉の壁

・居場所のなさ

・自信のなさ

・未来が見えないことへの不安

これらすべてに対し、作者は「逃げずに描く」姿勢を貫きつつ、その先に必ず希望を差し出します。そして、それを成立させているのが、ありすと犬星というバディ関係の熱量です。

彼らの関係性は決して一方通行ではなく、互いに影響し合い、変わっていくプロセスに読者は感情を乗せずにはいられません。

📚 作品としての魅力まとめ|“未来は自分の足で変えられる”

魅力ポイント内容
セミリンガルの描写社会的テーマとしても評価されるリアルさ
心の描写の深さ言葉にならない想いを丁寧に掬い上げる
バディ要素少女×天才少年の成長・信頼・影響の物語
ビジュアル美繊細かつ詩的なタッチで描かれる世界観
テーマ性生きづらさ、夢、再生、そして希望

✍️【独自追記】“このマンガが刺さる人”と“読む前に知っておきたい背景”

『ありす、宇宙までも』は、以下のような読者にとって間違いなく刺さる作品です。

  • 「自分はどこにいても浮いている気がする」と感じたことがある人
  • 幼少期に家庭環境の変化や言語的ギャップを経験した人
  • 何かに夢中になれず、日々が霧の中のように感じていた人
  • 自分の背中を押してくれる“誰か”を待っている人

そして本作は、単なる“宇宙を目指す物語”ではありません。

宇宙という、果てしない夢を通して、ありすたちが「自分の言葉で生きる力」を取り戻していく物語なのです。

日本における「セミリンガル」というテーマは、まだまだマンガで描かれることの少ない分野。だからこそ本作の持つ社会的意義は大きく、共感と啓発の両方を内包した稀有な作品だと言えるでしょう。

🌌 締めくくりに

『ありす、宇宙までも』は、マンガ大賞に選ばれるにふさわしい「読者の背中を押してくれる物語」です。

もし今、人生にモヤがかかっているなら——ありすの小さな一歩に、きっと心を動かされるはず。

そして願わくば、彼女と一緒に、宇宙の果てまで夢を追いかけてみてください。

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