映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』は、韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師〜38師機動隊〜』を原作とし、日本社会に合ったテーマや演出が施された痛快なクライムエンターテインメントです。本記事では、ストーリーの詳細を交えつつ、この映画の魅力を徹底解説します。
あらすじ(ネタバレあり)
物語は、税務署に勤める真面目で気弱な公務員・熊澤二郎(内野聖陽)が、天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)に騙されるところから始まります。熊澤は、脱税犯を摘発するための資料を氷室に渡してしまい、莫大な額の税金を回収できないどころか、個人的な資金まで失ってしまうのです。
転機となるのは、氷室が熊澤にある提案を持ちかける場面です。
「俺と組んで、あの脱税王を倒してみないか?」
氷室の提案に半信半疑ながらも、熊澤は復讐と正義感のために手を組むことを決意。彼らのターゲットは、脱税を繰り返す実業家・宮原卓也(小澤征悦)。宮原は法の網を巧みにすり抜け、莫大な利益を蓄えている冷酷な男です。
氷室は熊澤とともに「アングリースクワッド」と呼ばれるチームを結成。彼らはそれぞれ特技を持つ詐欺師やハッカー、潜入のプロを集め、宮原に近づきます。チームのメンバーには、天才ハッカー・アスカ(森川葵)や変装の名人・リカ(川栄李奈)が加わり、彼らのスキルが次々と発揮される場面が見どころです。
クライマックス:宮原卓也との頭脳戦
映画のクライマックスは、宮原卓也を欺くための大規模な詐欺計画。彼らは、架空の会社を設立し、宮原に巨額の投資を持ちかけます。氷室が自信たっぷりに進める一方で、熊澤は次第に自分の正義感と詐欺行為との間で葛藤を抱え始めます。
しかし、宮原も一筋縄ではいかない人物。彼はチームの罠を察知し、逆に反撃を仕掛けます。
特筆すべきは、熊澤がこの危機的状況を乗り越えるために自ら一計を案じ、氷室の計画を補完する場面です。
ここで初めて、熊澤が自信を持ち、自らの能力を発揮する瞬間が訪れます。このシーンで描かれる熊澤の成長は、観客の胸を熱くさせるポイントです。
韓国原作との違い:日本版ならではの工夫
1. 熊澤二郎のキャラクターの掘り下げ
韓国原作では主人公は冷静なリーダーシップを発揮する人物ですが、日本版の熊澤は最初は弱気で頼りない一方、物語を通じて成長していく姿が描かれています。この変化を演じる内野聖陽の演技力が、映画全体を支える大きな柱となっています。
2. 詐欺計画のスケール感
韓国版はターゲットとの心理戦に重きを置いていましたが、日本版では詐欺のスケール感やアクションシーンに重点が置かれています。特に最終計画では、巧妙なトリックと大胆な作戦が組み合わさり、観客を飽きさせません。
3. コメディ要素の強化
上田慎一郎監督ならではの軽妙なユーモアが、作品全体に散りばめられています。特に詐欺チーム内でのやりとりや、熊澤の不器用ながらも必死な姿が笑いを誘います。
キャストたちの熱演が光る!
内野聖陽(熊澤二郎役)
最初は頼りない役柄を見事に演じ切り、最終的には仲間をまとめるリーダーとしての成長をリアルに表現。熊澤の感情の揺れ動きが観客の共感を呼びます。
岡田将生(氷室マコト役)
氷室は、詐欺師でありながらどこか憎めないキャラクター。岡田の軽妙な演技と、時折見せる真剣な表情がキャラクターの魅力を引き立てています。
小澤征悦(宮原卓也役)
冷酷で頭脳明晰な悪役として強い存在感を放っています。最終的に追い詰められる場面でも、彼のしたたかさが観客をハラハラさせます。
映画を彩る見どころ
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詐欺の詳細な手口
「アングリースクワッド」が仕掛ける計画は、細部まで練り上げられており、その巧妙さに引き込まれます。 -
チームワークの成長
最初はバラバラだったチームが、次第に強い絆で結ばれていく過程が丁寧に描かれています。 -
感動的なラスト
詐欺を成功させた後、熊澤が自らの信念に基づき行動するシーンは、観客に深い余韻を残します。
まとめ
『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』は、笑いあり、涙ありの痛快エンターテインメント。原作ファンはもちろん、日本版ならではのストーリーやキャラクターの魅力が詰まった作品です。内野聖陽と岡田将生を中心とした豪華キャストの演技が、物語をさらに引き立てています。
韓国版との比較を楽しみながら、ぜひ劇場でこの作品の魅力を堪能してください!