
10月31日から11月2日までの全国映画動員ランキングで、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が7週連続で首位を獲得した。アニメ映画としては異例のロングランヒットとなり、秋の映画シーズンを代表する存在へと成長している。

本作は、藤本タツキによる人気漫画『チェンソーマン』の中でも特に評価の高い「レゼ編」を描いた劇場版だ。主人公デンジが憧れのマキマとのデートに胸を躍らせる中、カフェで働く少女・レゼと出会ったことから物語は思わぬ方向へ進んでいく。恋愛、バトル、心理ドラマが緻密に交差する構成が高く評価され、原作ファンはもちろん、映画版から初めて作品に触れた観客層にも支持が広がった。
声の出演には戸谷菊之介、楠木ともり、坂田将吾、内田真礼、上田麗奈といった実力派キャストが集結。監督はアニメ版でもメガホンを取った原達矢が務め、制作は高い表現力で知られるMAPPAが担当した。アクションの迫力や光の演出など、スクリーンでしか味わえない没入感を追求した映像体験が話題を呼んでいる。
7週連続で首位を維持する背景には、観客を惹きつけ続けるいくつかの要素がある。
まず、公開後も継続的に実施された入場特典の配布がファンのリピート鑑賞を促した。さらにSNS上で「原作の空気を完璧に再現している」「ラストの余韻が忘れられない」といった口コミが広がり、口コミ効果が新たな観客を呼び込む循環を生んだ。加えて、作品がもつ切なさや情緒的なトーンが秋という季節の空気と重なり、感情面での共鳴を高めたことも大きい。こうした要素が相まって、公開7週目にしても観客動員は依然として高水準を維持し、累計動員500万人、興行収入50億円目前という数字を記録している(11月初週時点)。
同期間には山田裕貴と佐藤二朗が共演するサスペンス『爆弾』、吉永小百合主演の実話ドラマ『てっぺんの向こうにあなたがいる』、さらに『映画 すみっコぐらし 空の王国とふたりのコ』など、注目の新作が次々と公開された。それでも『チェンソーマン レゼ篇』の勢いは衰えず、アニメ映画が実写を凌駕する興行力を見せつけている。映画業界関係者の間では「ここまで持続するアニメ作品は稀。内容、宣伝、時期のすべてが噛み合った結果」との声も多い。
11月中旬からは冬の大作群が次々と登場するが、『レゼ篇』がどこまで記録を伸ばし続けるのかにも注目が集まっている。興行の勢いを保ちながら、どのタイミングで次世代のヒット作にバトンを渡すのか、秋映画シーズンの行方を占う鍵となりそうだ。
アニメ映画のロングランヒットが続く近年、観客の映画体験に対する意識は確実に変化している。配信時代においても「劇場で観る価値」が再評価され、ファンが何度も足を運ぶ現象が広がっていることは象徴的だ。『スラムダンク』『呪術廻戦』『名探偵コナン』に続く形で、『チェンソーマン』がその流れを受け継ぎ、新たな“劇場アニメの黄金期”を築こうとしている。
映画館の熱気が冷めやらぬ中、次に動員ランキングを揺るがすのはどの作品になるのか。最新のランキング結果と各作品の詳細は、下記の記事からチェックしてほしい。



















