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『ファンタスティック4』2週連続1位でも不安視されるMCUの未来とは?映画興行で見えた“限界”

2025年8月4日

『ファンタスティック4』2週連続1位でも不安視されるMCUの未来とは?映画興行で見えた“限界”

■ 2週連続1位でも拍子抜け?MCU最新作の評価と現実

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が、8月最初の週末(1日〜3日)に2週連続で北米興行成績No.1を獲得しました。一見すると好調に見えるこの結果ですが、その裏にはMCUが抱える“深刻な兆し”も見え隠れしています。

公開2週目にして興収が前週比マイナス66%の急落。これは過去のマーベル作品と比較しても決して特異な数字ではありませんが、MCUがかつて築き上げた“鉄壁のブランド力”を考えると、明らかにトーンが変わってきているのです。

■ 『ファンタスティック4』の興行成績をどう見るべきか?

まず事実を整理しましょう。

  • 初週オープニング興収:1億1764万ドル(北米)

  • 2週目:4000万ドル(-66%)

  • 累計:北米1億9842万ドル/全世界3億6872万ドル

確かに2週目の落ち込みは大きく見えますが、ここ数年のスーパーヒーロー映画では“前週比マイナス60%台”は珍しくないどころか、標準的な動きになりつつあります。

たとえばDCの『スーパーマン』(2025年)は前週比マイナス53%で「健闘」とされましたが、むしろこちらのほうが例外的。『デッドプール&ウルヴァリン』『アントマン&ワスプ:クアントマニア』など、直近のMCU作品でも同様の下落率が見られています。

つまり、『ファンタスティック4』の数字単体では“失敗”とは断定できません。むしろ製作費2億ドルを考慮すれば、回収ラインには現実的に到達できそうな推移と見られています。







■落ち込みは“普通”なのに、不安視されるのはなぜか

『ファンタスティック4』2週連続1位でも不安視されるMCUの未来とは?映画興行で見えた“限界”

問題は、「なぜ“普通”の数字でもネガティブに見られてしまうのか?」という点です。

その背景には、MCUという巨大ブランドに対する“過剰な期待値”が根付いていることが挙げられます。かつてのMCUは、2週目でも興収をしっかりキープし、口コミがさらに新規層を呼び込む“正のスパイラル”を描いていました。

しかし現在は、その再現性が失われています。

加えて、『ファンタスティック4』というタイトル自体が、映画ファンの間では「過去に何度もコケたシリーズ」という印象を拭いきれず、ネームバリューによる牽引力も弱い。MCU初登場という話題性はあれど、「観なきゃ!」という動機にはつながりにくかったのです。

■ MCUブランドが直面する3つの構造的課題

『ファンタスティック4』の動向は、MCU全体が抱える構造的な問題を浮き彫りにしています。

1. “イベント映画”不在の影響

『アベンジャーズ/エンドゲーム』のような“観なければ置いて行かれる”タイプの映画が、ここ数年で激減。個々の作品が「孤立した物語」に見えがちで、観客にとっての必然性が希薄になっています。

2. 新規キャラクターの魅力不足

MCUフェーズ4以降、多くの新キャラやシリーズが導入されましたが、彼らが“一見さん”の心をつかむカリスマ性を持てていないという指摘が多いです。ファンにとっては楽しくとも、一般層には届いていない現実があります。

3. 公開頻度と“疲れ”の問題

ドラマシリーズを含めると、MCU作品の供給過多が飽和感を生んでいます。「またマーベルか」と感じる観客が増え、“毎回観る理由”が失われているのです。







■ 第4章:競合との差・観客動向の変化を読む

興味深いのは、同週に公開された他作品との比較です。

  • 『The Bad Guys 2』:Rotten Tomatoes 観客スコア95%、好スタート
  • 『The Naked Gun』:SNSで若年層の関心を獲得し、想定外の健闘

ここから見えるのは、“コアターゲット以外”の巻き込み力がヒットの鍵になっているということです。特に『The Naked Gun』は、白人中高年男性を狙ったリブートにも関わらず、25〜34歳層が最多という“想定外”の成功を収めました。

対するMCUはというと、コアファンには強いが、広がりに欠けるという状態。いまや観客は「ブランド」よりも「今この映画を観たい理由」を重視しています。

■ 『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は復活の鍵となるか

この閉塞感を打ち破る可能性を秘めているのが、約5年ぶりのスパイダーマン最新作『ブランド・ニュー・デイ』です。

MCU屈指の人気キャラクターであり、かつて『ノー・ウェイ・ホーム』が示したように、「スパイダーマンなら観る!」という観客はまだまだ存在します。

本作が軌道に乗れば、MCU再浮上の“号砲”となる可能性は十分。ただし、次のMCU映画まで約1年の空白期間が生じることもあり、その間にどう熱をつなぎとめるかが試されます。

■ポスト・エンドゲーム時代のMCUは「観客の共犯者」になれるか?

MCUの栄光は、“観客を物語の一員に巻き込む”ことに成功した点にありました。伏線を拾い、未来を予測し、みんなで“考察”しながら楽しむ──MCUはかつて、観客を単なる消費者でなく、“共犯者”にしたのです。

しかし今、その関係性は薄れつつあります。

「観れば楽しい」ではなく「観なきゃついていけない」と感じさせる設計、「どうなる?」というワクワク感、「次に何が起こるのか」が気になる脚本力。これらをMCUが再び取り戻せるかどうかが、今後のブランド維持において最重要ポイントとなるでしょう。

来たる『アベンジャーズ』新2部作、そしてX-MENやファンタスティック・フォーとの“真の融合”は、その試金石になるはずです。

■数字の上下に一喜一憂するのはもう終わりにしよう

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の興行は決して“失敗”ではない。けれども“盤石なMCU”が戻ってきたとも言いがたい。

これから必要なのは、ただの続編やスピンオフではなく、“物語としての必然性”と“観客との再接続”

MCUは再び「全世界が次の展開を待ち望む」エンターテインメントの象徴になれるのか──。

その答えは、次の一手にかかっています。







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