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バラエティの“吾郎さん”から、舞台の“ハリー”へ──稲垣吾郎の二面性が際立つ1年

バラエティの“吾郎さん”から、舞台の“ハリー”へ──稲垣吾郎の二面性が際立つ1年

2025年、稲垣吾郎という“多面体”が際立った一年

2025年の稲垣吾郎は、俳優としてもタレントとしても、その存在感を多方向に広げた一年だった。

ラジオでは穏やかなユーモアが自然とにじみ、テレビでは肩の力の抜けた空気をまとい、舞台に立てば繊細な葛藤を抱える人物像を深く掘り下げる。場面ごとに全く異なる表情を見せても、それらが矛盾せず“ひとりの表現者”としてまとまっているところに、彼の魅力があるように感じられた。

『新しい地図』のメンバーとして活動しながら個人の仕事も充実した2025年は、稲垣吾郎の“二面性”がもっとも鮮明に浮かび上がった年のひとつだったと言えるだろう。

 ラジオに宿る“やわらかい吾郎さん”──自然体から生まれるユーモア

TOKYO FMのレギュラー番組『THE TRAD』では、稲垣吾郎の日常に近い温度感が伝わってくる。

トークは穏やかで、ちょっとした言い回しが思わぬ笑いを生むことも多い。本人が特別に演出しているわけではなく、自然体で話しているうちにふっと笑いのポイントが生まれるような印象だ。

2025年には、NHKの教育バラエティ番組『ワルイコあつまれ』が3月に放送終了。番組で培われた柔らかな発想や遊び心は、ラジオでの語り口に今も残っているように感じられる。

“張りつめず、飾りすぎず、でも礼節は忘れない”という距離感は、稲垣の持ち味としてリスナーの間でも親しまれている。

ラジオでの穏やかさは、テレビで見せる軽快さと地続きであり、ここに“吾郎さん”としてのパブリックイメージが形づくられているようにも思える。







 舞台とドラマで見せた“もうひとつの顔”──大人の迷いや揺らぎをすくい上げる表現

2025年の稲垣吾郎は、役者としても大きく存在感を発揮した一年だった。

● 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

バラエティの“吾郎さん”から、舞台の“ハリー”へ──稲垣吾郎の二面性が際立つ1年

稲垣が演じたハリー・ポッターは、かつての“英雄”という肩書きを持ちながら、父親としてどう振る舞うべきか迷いを抱える人物。

息子アルバスとの距離に悩み、思うように向き合えないハリーの姿には、現代の親子関係にも通じる痛みがある。稲垣の演じ方は、キャラクターの弱さや戸惑いを丁寧に扱っており、派手さよりも“静かな揺らぎ”に重心を置いた印象だった。

● ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』

濱ソラリス高校の理事長・尾碕美佐雄役では、若い世代と向き合う大人の難しさを描いた。

長く教育の現場を見つめてきた人物としての責任感と、価値観の違いに直面したときの戸惑い。その両方を抱える尾碕の姿は、稲垣の経験によく馴染み、説得力のある“大人像”として視聴者に届いたように思える。

バラエティで見せる軽快さとは全く違う質感だが、どちらも“嘘のない表現”として地続きになっている。この対照的な二面性こそ、2025年の稲垣吾郎の特徴だった。

 二面性の源はどこにあるのか──“変化を恐れない姿勢”が見せる現在地

稲垣吾郎がジャンルをまたぎながら表現の幅を広げている背景には、変化を柔軟に受け入れる姿勢があるように見える。

長く第一線に立ってきた経験から、自分を取り巻く“固定イメージ”と程よい距離を保ちながら、時代や場所に応じた在り方を選んでいる印象だ。誰かに合わせて自分を作り込むのではなく、自然体のまま立つことで場を整える。それがラジオではユーモアとして現れ、舞台では役の奥行きとして現れる。

こうした“揺らぎを引き受ける姿勢”は、成熟した俳優やタレントに求められる要素でもあり、現在のエンターテインメントの空気とも相性が良い。

結果として、2025年の稲垣吾郎はこれまで以上に多面的な魅力を放つことになった。







 そして2026年──『プレゼント・ラフター』でまた新しい顔へ

稲垣吾郎、“完璧すぎる男”の裏にある孤独とユーモア──次なる挑戦で見せる成熟の演技

2026年2月から上演される舞台『プレゼント・ラフター』では、稲垣吾郎が主演を務める。

ノエル・カワード作によるイギリス喜劇で、稲垣は俳優ギャリーを演じる。

華やかなキャリアを持ちながら、私生活では迷いや孤独を抱える人物で、稲垣が2025年に見せてきた表現と通じる部分が多い役柄だ。

ギャリーは、愉快な人柄と繊細な感情の両方を持ち合わせており、軽さと深さが同時に求められる。

バラエティで見せる柔らかい一面と、舞台で見せる陰影。そのどちらも持ち合わせた現在の稲垣が演じることで、役が新たな色を帯びる可能性がある。

2026年の稲垣吾郎は、さらに新しい表情を見せてくれるのではないか。そんな期待を抱かせる作品だ。

稲垣吾郎という存在が、今の時代と響き合う理由

2025年の活動を振り返ると、稲垣吾郎は“今の時代に求められる人物像”と自然に重なっているように見える。

近年、エンタメの世界では以下のような価値観がより重視されるようになってきた。

  • 完璧さよりも、どこか“余白”のある自然体
  • 強さだけでなく、迷いや弱さを抱える姿への共感
  • 年齢や立場に縛られず、自分なりのペースで変化していく柔軟さ

稲垣がラジオで見せる柔らかさや、舞台での繊細な役作りは、こうした時代の空気とよく合っている。

以前より“作り込まない自分”を見せることで、むしろ魅力が増しているように感じられる点も興味深い。

さらに、舞台・ドラマ・ラジオと複数の表現領域で活動を続けていることが、俳優としての奥行きにもつながっている。ひとつのイメージに依存せず、変化を受け入れながら前に進む姿勢は、年齢を重ねるほどに強度を増しているようだ。

2026年の『プレゼント・ラフター』は、そうした“現在地としての稲垣吾郎”と役柄が自然と響き合う作品と言える。

軽やかさと成熟を併せ持つ彼が、どのようにギャリーを造形するのか。その瞬間を観る側としても楽しみにしたい。

バラエティの“吾郎さん”から、舞台の“ハリー”へ──稲垣吾郎の二面性が際立つ1年

2025/12/8

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