
Hey! Say! JUMPの伊野尾慧が、2026年1月期放送の連続ドラマ『50分間の恋人』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で主演を務める。
松本穂香とのW主演で描かれるのは、“ズレているのに愛おしい”二人の不器用な恋愛模様だ。アイドルとしてだけでなく、俳優としても確かな歩みを続けてきた伊野尾が、この作品で新たな一歩を踏み出す。その背景にある“変化への意志”を探る。
伊野尾慧、飛躍の一年を経てゴールデン帯初主演へ
2025年の伊野尾慧は、俳優として充実した一年を過ごした。
3本の連続ドラマに出演し、作品ごとに異なる役柄を演じ分けてきた。バラエティ番組では持ち前のトークセンスで場を和ませ、かつて出演していた情報番組『めざましテレビ』でも(2016年〜2022年に木曜パーソナリティを担当)誠実な姿勢で視聴者から親しまれていた。
そんな多面的な活動の先に発表されたのが、2026年1月期のドラマ『50分間の恋人』での主演決定だ。本作は伊野尾にとってゴールデン・プライム帯ドラマ初主演となる。
AIを友とする変わり者・晴流役に挑む
伊野尾が演じるのは、世界が注目する謎めいたゲームクリエイター・甘海晴流(あまみ・はるる)。
人付き合いが苦手で、会話の相手はAIスピーカー。食事はプロテインバー、趣味は盆栽という一風変わった人物だ。
そんな晴流が、仕事熱心なキャラクターデザイナー・辛島菜帆(松本穂香)と出会い、「お弁当を30回作る契約」を結ぶことから物語が始まる。わずか50分間の昼休みをともに過ごすうちに距離を縮める二人。しかし、互いの会社がライバル関係にあることが発覚し、二人の関係は“秘密の契約”へと変わっていく。
恋と仕事、秘密と誠実。その狭間で揺れる二人の関係が、視聴者の心を優しくくすぐる“ズレきゅん”ラブコメディだ。
「初めてのラブコメ」への挑戦が示す俳優としての覚悟

伊野尾は本作について「僕も実は初めてのラブコメドラマ」と語る。倒れてくる菜帆を抱きかかえるシーンなど、動き一つにも「どうしたら視聴者がドキッとするか」を考え抜いたという。
これまで『そして、誰もいなくなった』(2016年)や『家政夫のミタゾノ』シリーズなど、サスペンスからコメディまで幅広く演じてきたが、ラブコメでの主演は今回が初。晴流というキャラクターを「視聴者や菜帆が“この人かわいいな”と思えるような存在にしたかった」と話す伊野尾の言葉からは、役への細やかなアプローチがうかがえる。
現場を照らす“人柄力”と共演者との信頼
共演の松本穂香は、「現場でも人見知りせずいろんな人に話しかけてくれる」と伊野尾を評する。Hey! Say! JUMPとして多忙な中でも、周囲を明るくするその人柄が印象的だという。
一方の伊野尾も松本について「細かい部分まで考えて演じる方」と語り、互いに作品への真摯な姿勢で信頼関係を築いている。現場の穏やかな空気感が、二人の掛け合いのテンポにも自然と反映されているようだ。
Hey! Say! JUMPとしての活動と俳優としての現在地

Hey! Say! JUMPは、2025年から2026年にかけて4大ドームツアー『Hey! Say! JUMP DOME TOUR 2025-2026 S say』の開催を発表し、グループとしても大きな節目を迎えている。音楽活動を軸にしながらも、メンバーそれぞれが個人の領域で表現の幅を広げており、伊野尾はその中で俳優・MCとして多面的に活躍。
テレビ、映画、舞台と多様な現場で培われた経験が、今回の晴流という繊細で独特なキャラクターの説得力につながっている。
新たなフェーズへ──変化に前向きな挑戦者として
『50分間の恋人』は、AIと人間の感情が交錯する現代的なテーマを描く作品だ。人と距離を置いていた晴流が、誰かと心を通わせることで変わっていく――その変化は、俳優・伊野尾慧自身の姿にも重なる。
アイドルという枠にとどまらず、ジャンルを越えて表現に挑み続ける彼の姿勢は、まさに“変化に前向きな挑戦”そのものだ。柔らかくも芯のある存在感が、作品を通じて新たな魅力を放つ。
■ “柔らかさ”と“知性”で描く、伊野尾慧という表現者
伊野尾慧の魅力を語る上で欠かせないのが、その“柔らかさ”だ。
バラエティでは穏やかな口調と独特の間合いで周囲を和ませ、取材現場でも一歩引いた視点から的確に言葉を選ぶ。その落ち着いた雰囲気の裏には、相手を緊張させないための心配りが見え隠れする。
また、明治大学理工学部建築学科を2013年に卒業という異色の経歴も持つ。空間や構造を論理的に捉える感覚は、演技や番組構成においても“全体を見渡す”力として発揮されているようだ。
俳優、タレント、アイドル――そのどれにも限定されない“伊野尾慧”という存在。『50分間の恋人』で彼が演じる甘海晴流は、そんな多面性の集大成ともいえるキャラクターだ。
2026年、俳優・伊野尾慧はまた一つ、新しい物語を静かに紡ぎ始める。


















