
君が最後に遺した歌は、音楽を通じて心を通わせた男女が、10年という時間の中で「愛すること」と「遺すこと」に向き合っていく物語です。主演は道枝駿佑、ヒロインを生見愛瑠が演じ、原作は一条岬による同名小説。2026年3月20日に実写映画として公開されます。
本記事では、原作小説の内容をもとに、ヒロインが抱えていた病気の正体と、物語の核心であるラストシーンが示す意味をネタバレ込みで考察します。映画鑑賞前の予習としても、原作を読み終えた後の整理としても読める内容です。
『君が最後に遺した歌』原作あらすじを簡潔に整理

物語の主人公・水嶋春人は、表立って夢を語ることはないものの、心の中に強い音楽への想いを抱えた高校生です。彼が密かに書き溜めていた詩に気づいたのが、同級生の遠坂綾音でした。綾音は圧倒的な歌唱力を持つ一方で、ある“特性”を理由に人知れず苦しみを抱えて生きています。
春人は綾音の歌声に心を奪われ、彼女の頼みをきっかけに作詞を担当するようになります。放課後の部室で楽曲制作を重ねる時間は、2人にとって居場所そのものになっていき、やがて恋心へと変わっていきます。しかし高校卒業を前に、春人は「彼女の才能を縛ってはいけない」という思いから、あえて綾音の前から姿を消す決断を下します。
ヒロイン・遠坂綾音が抱えていた病気の正体
結論から言うと、綾音が抱えているのは発達性ディスレクシアです。これは知的発達や聴覚・視覚に問題がないにもかかわらず、文字の読み書きに著しい困難が生じる発達特性を指します。本作が丁寧なのは、この特性を「可哀想な設定」として描いていない点です。
綾音は文字情報の処理が苦手である一方、音を感覚的に捉え、感情として表現する能力に長けています。だからこそ、彼女は「読む・書く」ことではなく、「歌う」ことで自分を表現してきました。春人が言葉を担い、綾音が音を担う。この分業関係は、単なる恋愛演出ではなく、2人が対等なパートナーとして補い合っている証でもあります。
【ネタバレ】原作小説の結末とラストシーンの真相

高校卒業後、一度は別々の道を歩んだ2人ですが、社会人となって再会し、ようやく結ばれます。結婚し、娘・春歌を授かり、人生がこれから広がっていくはずだったその時、綾音に余命一年半という宣告が下されます。病名自体は作中で詳細に明言されませんが、重要なのは「何の病気か」ではなく、「残された時間をどう生きるか」という視点です。
綾音は落ち込む春人に対し、「死ぬまでにやりたいこと」をリストにして伝えます。その中で彼女が最も強く望んだのが、「家族のために歌を遺すこと」でした。綾音が作曲し、春人が作詞する。高校時代から変わらない2人の関係性が、ここで再び形になります。
綾音の死後、物語は娘・春歌の成長した姿へと移ります。歌手を志した春歌がデビューの舞台で歌ったのは、母が作曲し、父が言葉を与えた一曲。その瞬間、物語のタイトルである「君が最後に遺した歌」の意味が明確になります。それは“別れの歌”ではなく、“未来へ手渡された歌”だったのです。
タイトルが示す本当の意味とは?
「最後に遺した歌」と聞くと、死の直前に残された悲しい楽曲を想像しがちです。しかし原作が描いているのは、もっと静かで前向きな継承の物語です。綾音は自分の命が尽きることを理解したうえで、それでもなお“生き続ける音”を家族に託しました。その歌は、春人を支え、春歌の人生を導く存在になります。
つまりこのタイトルは、喪失を嘆く言葉ではなく、「想いは受け継がれる」という物語全体の結論そのものなのです。
映画版でラストはどう描かれるのか?
監督を務めるのは、感情の余白を大切にする演出で知られる三木孝浩。原作通りの結末をなぞる可能性は高いものの、映像作品としては「歌うシーン」や「沈黙の時間」により重点が置かれると考えられます。特にラストの楽曲シーンは、セリフを最小限に抑えた演出になる可能性が高く、原作とは違った余韻を残すラストになるでしょう。
まとめ|『君が最後に遺した歌』は“悲恋”では終わらない
『君が最後に遺した歌』は、病気や死を扱いながらも、物語の重心は常に「生きている人の時間」に置かれています。ヒロインの病気は物語の装置ではなく、彼女の生き方を形づくる一要素にすぎません。そして最後に遺された歌は、別れの象徴ではなく、未来へと続く希望の音でした。
映画公開前に原作を知っておくことで、スクリーンで描かれる一つひとつの表情や音が、より深く胸に響くはずです。

君が最後に遺した歌 (メディアワークス文庫)
続々重版『今夜、世界からこの恋が消えても』著者が贈る感動ラブストーリー。田舎町で祖父母と三人暮らし。唯一の趣味である詩作にふけりながら、僕の一生は平凡なものになるはずだった。
ところがある時、僕の秘かな趣味を知ったクラスメイトの遠坂綾音に「一緒に歌を作ってほしい」と頼まれたことで、その人生は一変する。
“ある事情”から歌詞が書けない彼女に代わり、僕が詞を書き彼女が歌う。そうして四季を過ごす中で、僕は彼女からたくさんの宝物を受け取るのだが……。
時を経ても遺り続ける、大切な宝物を綴った感動の物語。
道枝駿佑主演『君が最後に遺した歌』原作ネタバレ考察|ヒロインの病気とラストシーンの真相
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