世界を揺るがす秘密がついに明らかに
戦いが終わり、趙の広大な大地に広がる光景は無情なものでした。
趙兵たちは、自軍の兵士を助けることに専念し、傷を負った秦兵にはトドメの一撃を与えていました。この光景は、かつて桓騎が行った足手まといになる敵兵の皆殺しと何ら変わりがありません。深く追及することなく、趙兵たちは自軍のために行動を続けます。 今回の戦いで決定的な役割を果たした青歌兵も、味方の死体を回収しながら秦兵にトドメを刺しています。
司馬尚は、青歌兵の死体を一人残らず故郷に帰すよう厳命しており、彼らは故郷に戻ることなく、失われた仲間の死体収用に追われていました。カン・サロは、「ここまで死ぬとは思わなかった」と呟くほど、被害は甚大でした。
そんな青歌軍に驚きのニュースが飛び込みます。
王翦の側近である倉央が投降してきたのです。
この報せにジ・アガの側近であるジ・ガンは激怒し、倉央は秦を見限り、趙に亡命を願っているとして、今すぐ殺すべきだと主張します。 カン・サロの前に引き出された倉央は、「趙に亡命に来たのか?」という問いに対し、違うと答えます。代わりに倉央はカン・サロや周囲の趙の幕僚たちに、「お前達には愛する女はいるか?」と質問します。
そして、自分は糸凌にゾッコン惚れており、糸凌無しには生きていくことも出来ない、せめて糸凌の遺体の一部でも鎧でも髪の毛一本でも与えてくれないか、と切望します。それが叶えば、斬首されても後悔しないと宣言するのです。 倉央のぶっ飛んだ発言に、趙の武将たちは呆れますが、カン・サロは違いました。「さすがはあの女傑の夫だな」と感心し、倉央の願いを真摯に受け止めます。
そして、「髪の毛一本でも鎧の欠片でも抱きしめられればお前は満足するのだな?」と念を押し、倉央はうなずきました。 カン・サロは、趙童という男をテントに招き入れます。趙童は、「ジ・アガが死んでから、ずっとジ・アガならどうするだろうか考えてきた。だから礼なら死んだジ・アガに言え」と言い、生きている糸凌を倉央の前に連れてきました。
倉央は驚愕し、糸凌も再会を喜びます。命を懸けて愛する女への愛を貫こうとした倉央に対し、カン・サロは恨みを越えて武士の情けで応えたのです。キングダム799話に続きます。
今後のゆくへを考察
どう考えても死んだと思っていた糸凌が生きていたことは、物語に大きな転換をもたらします。片腕を失った糸凌ですが、彼女の存在は倉央にとって何よりも重要でした。この展開は、次の号で糸凌と倉央が最後の抱擁を交わした後、処刑される可能性を示唆しています。
青歌軍の将軍たちは、仲間を殺した相手でも死を賭した願いには最大限報いようとする人間的な一面を見せます。しかし、彼らが李牧に加担したことで、秦の報復から逃れられない運命にあることは否めません。李牧が青歌軍を巻き込む形で、最終的な悪役となる可能性も考えられます。
倉央の愛と覚悟は、敵地でさえも尊敬を勝ち取りました。カン・サロの対応もまた、人間味あふれるものでした。この物語は、愛と宿命の狭間で揺れる人々の姿を描き出し、読者に深い感動を与えます。