
帝劇から海底の国カイエン国へ
25年にわたって帝国劇場の真ん中に立ち続けてきた堂本光一が、今度はマイクの前で新たな一歩を踏み出します。
2026年2月27日公開予定のアニメ映画「劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編」で、海底の国カイエン国の大臣・ゾドン役として声優出演することが発表されました。
“舞台王”と呼ばれてきた表現者が、なぜ今「声優」というフィールドに戻ってきたのか。この記事では、堂本光一の人物像と現在地を整理しながら、この新たな挑戦の意味と「これから」を掘り下げていきます。
堂本光一という人—プロフィールとキャリアの軸
堂本光一は1979年1月1日生まれ、兵庫県出身。日本のポップデュオ・DOMOTO(旧グループ名:KinKi Kids)の一員として知られ、長年にわたり音楽シーンの第一線で活動してきました。
ソロとしても1999年の舞台「MASK」で初主演を務め、2000年11月からは帝国劇場でミュージカル「MILLENNIUM SHOCK」がスタート。2005年からはタイトルを「Endless SHOCK」と改め、作・構成・演出・主演を自ら担うスタイルで公演を重ねてきました。
「Endless SHOCK」シリーズは2000年の初演から2024年の“ラストイヤー”まで25年間にわたり上演され、累計2128公演という記録を残しています。
一つの作品を四半世紀にわたって更新し続けた経験は、“継続して作品を育てる”という点で、今回参加する「転生したらスライムだった件」(以下「転スラ」)シリーズとも通じる部分がありそうです。
「劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編」とは?

「転生したらスライムだった件」は、サラリーマン・三上悟が異世界にスライムとして転生し、リムル=テンペストとして仲間たちと理想の国づくりに挑む人気ライトノベル/アニメシリーズ。シリーズ累計発行部数は5,600万部を超え、テレビアニメ第4期の制作も決定している長寿コンテンツです。
劇場版第2弾となる「劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編」は、その名の通り“海”が舞台。水竜を守り神として崇める海底の国・カイエン国の平和を揺るがす陰謀が持ち上がり、巫女ユラが助けを求めて地上へ向かい、リムルたちと出会うところから物語が動き出します。
原案・監修は原作者・伏瀬による完全新作ストーリー。テレビシリーズを追いかけているファンはもちろん、劇場版から初めて「転スラ」に触れる人でも楽しめる構成が取られています。
堂本光一が演じる“ゾドン”とはどんな人物?
堂本が演じるゾドンは、カイエン国の大臣という立場にある劇場版オリジナルキャラクターです。公式の紹介では、国の中枢にいる人物として、やがてリムルたちと深く関わっていく「物語の鍵を握る存在」として位置づけられています。
一見すると硬派で責任感の強いポジションですが、水竜やカイエン国の行く末にどう関わるのかは、まだベールに包まれたまま。ユラが持ち出した“水竜に関わる重要なアイテム”を追って地上へ向かう人物として描かれているという解説もあり、単なる善悪では語れない立ち位置になりそうです。
堂本光一本人は、発表にあたり「今まで自分が演じてこなかったタイプのキャラクターを任せてもらえたことがうれしい」「『転スラ』をずっと追いかけてきたファンはもちろん、シリーズ未体験の方にも楽しんでもらえる作品になっている」といった趣旨のコメントを寄せています。
つまり彼自身、この役を“新しい引き出しを開けるチャンス”として受け止めていると考えられます。
2度目の声優挑戦という“原点回帰”

実は堂本光一が声優を務めるのは、今回が初めてではありません。2006年にはフジテレビ系アニメ「獣王星」で主人公・トール(青年期)の声を担当し、同作の主題歌「Deep in your heart」では作曲も手がけました。
それから約20年の時を経て、再び本格的な声優に挑むことになります。
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2006年:「獣王星」主人公役で初の声優挑戦
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2026年:「劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編」ゾドン役で劇場版アニメに参加
ステージ上では毎回声を張り、歌い、語り続けてきた彼ですが、アニメ現場ではカメラも観客席もなく、「マイクの前の声だけ」で勝負することになります。舞台で培った間合いと感情のテンションが、ゾドンというキャラクターの“重さ”や“ユーモア”にどう反映されるのかも見どころになりそうです。
「いま」の堂本光一—DOMOTOとしての現在地

2020年代に入り、堂本光一を取り巻く環境は大きく動きました。
まず大きな節目となったのが、「Endless SHOCK」シリーズの一区切りです。2024年の公演を最後に舞台としての「Endless SHOCK」は幕を下ろし、25年間で全2128公演という記録を残しました。
そして2024年末〜2025年始には、長年活動してきた「KinKi Kids」というグループ名から、新たに「DOMOTO」へ改名することを二人そろって発表。2025年以降はDOMOTO名義での活動が本格的にスタートしています。
改名の場で堂本光一と堂本剛は、「名前は変わっても2人であることは変わらない」「これまでの曲も大切に歌っていく」といった趣旨のコメントを伝えており、これまで築いてきたキャリアを土台に、新たな挑戦を重ねていくスタンスを示しました。
“長く続けてきたものに区切りをつけ、新しい名前で歩き出す”という流れの中で、「転スラ」劇場版への参加は、音楽・舞台とは別軸のチャレンジとして、堂本光一の「今」を象徴する仕事の一つと言えそうです。
共演陣と主題歌が映す「蒼海の世界」
今回の劇場版では、ゾドン以外にも新キャラクターたちが物語を彩ります。
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海底の国カイエン国で水竜に祈りを捧げる巫女・ユラを演じるのは、大西沙織。
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カイエン国の宰相ジースには、数多くのアニメ作品で存在感を放つ遊佐浩二。
いずれもアニメファンにはおなじみの実力派であり、そこに堂本光一が加わることで、既存ファンと新規層が交わるキャスティングと言えます。
主題歌は、これまでも「転スラ」シリーズにたびたび参加してきたTRUEが担当。新曲「ユートピア」は、蒼い海を舞台にした世界観に寄り添った“青い恋の歌”として制作されたと紹介されています。
映像と音楽、そして声が交差することで、海底のドラマがどのような厚みを持つのかにも注目です。
堂本光一が“声”で拓く新しいステージ
25年続いた「Endless SHOCK」が完結し、グループ名もDOMOTOへと変わったこのタイミングで、「劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編」のゾドン役が発表されたことには、象徴的な意味があります。
長年磨いてきた“舞台での身体表現”から、“声でキャラクターを立ち上げる表現”へ。さらに、世界的な人気を誇るアニメシリーズに参加することで、日本国内だけでなく海外ファンへも存在感を広げるチャンスになります。
堂本光一のキャリアは、「同じ場所に立ち続けることで生まれる変化」と「新しいフィールドに飛び込む変化」の両方で成り立ってきました。ゾドンというキャラクターが、彼の次の25年の“最初の一歩”としてどう刻まれるのか。2026年2月27日の公開を楽しみに待ちたいところです。
SHOCKシリーズが残したもの

2000年に「MILLENNIUM SHOCK」として幕を開けたミュージカルは、2005年の「Endless SHOCK」へのリニューアルを経て、帝国劇場・博多座・梅田芸術劇場など全国の劇場で上演されてきました。
注目すべきは、単に長く続いたというだけでなく、作品そのものを“進化させ続けた”点です。演出や楽曲、フライングや階段落ちなどの代表的なシーンも、毎年のようにブラッシュアップされていきました。公式サイトでも、
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作・構成・演出・主演のすべてを堂本光一が担ってきたこと
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25年間で2128公演という数字を積み重ねたこと
が、作品の大きな特色として紹介されています。
この「毎年同じようでいて、実は更新されている」という感覚は、シリーズもののアニメとも近いものがあります。ファンが“今年のSHOCKはどう変わるのか”と楽しみにしていたように、「転スラ」のファンも“次のシーズンや劇場版で世界がどう広がるのか”を楽しみに待っています。その世界に、2026年の劇場版を通じて堂本光一が参加するというのは、ある種の“バトンの継承”のようにも感じられます。
20年越しに戻ってくる「声優」という表現
2006年のアニメ「獣王星」で、堂本光一は主人公・トール(青年期)の声を担当しました。作品の雰囲気に合わせて、主題歌「Deep in your heart」も自ら作曲し、キャラクターと音楽が一体となった表現に挑んでいます。
「声優」と聞くと、アニメファンの多くは“専門の声優陣”を思い浮かべますが、アイドルや俳優出身のキャストがある作品をきっかけに声の世界へ本格的に関わる、という流れも珍しくありません。
堂本の場合、20代で一度チャレンジしたあと、40代半ばになって劇場版アニメという大舞台に帰ってくる形になります。舞台での経験や、DOMOTOとしての音楽活動を通じて培った表現力が加わった状態での“2度目の声優挑戦”は、若い頃とはまったく違う味わいを生むはずです。
「転スラ」が持つグローバルなポテンシャル
「転スラ」は、WEB小説からスタートし、ライトノベル、コミカライズ、テレビアニメ、劇場版と、メディアミックス展開を広げてきました。累計発行部数5,600万部という数字は、日本のライトノベルとしてもトップクラスであり、海外でも多くの言語に翻訳されています。
今回の「蒼海の涙編」は完全新作ストーリーのため、原作やテレビシリーズをすべて追っていなくても理解しやすい構成です。一方で、リムルやテンペストの仲間たち、過去作でおなじみのキャラクターたちも登場するため、長年のファンにとっては“ご褒美編”とも言える内容になりそうです。
ここに堂本光一という“舞台と音楽の顔”が加わることで、
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アニメファンが彼の新たな一面を知るきっかけに
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DOMOTO/堂本光一ファンが「転スラ」の世界に触れる入口に
なる可能性があります。
声優出演という一つのニュースの裏側には、「長く続くシリーズに、長く舞台に立ち続けた人が参加する」という、作品とキャリアの面白い重なりが見えてきます。そうした背景を意識しながら映画を観ると、ゾドンの一言一言が、少し違って聞こえてくるかもしれません。

獣王星
西暦2436年。人類はその版図を宇宙にまで広げ、地球より遥か150光年離れたバルカン星系への移住を果たしていた。そのひとつ、スペースコロニー“ユノ”に生まれ、特権階級の子息として輝かしい未来を約束されていた双児の兄弟トールとラーイは、父の親友・オーディンに両親を殺害されたあげく、存在するはずのない死刑星・獣王星(キマエラ)へと落とされてしまう。
堂本光一が語る“新たな声優役”とこれから—舞台王が見据える未来
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