■「いじり」と「気配り」で空気を操る髙地優吾の技術
2025年5月28日放送の『ニノなのに 2時間スペシャル』(TBS系)で、SixTONESの髙地優吾は、なにわ男子の西畑大吾らと共に“即席チーム”「5ノなのに」を結成し、陸上選手との真剣勝負に挑んだ。
だが、注目すべきは競技の結果ではなく、その舞台裏で垣間見えた髙地のリーダーシップだ。
「ダサいね~」と企画タイトルにツッコミを入れる冒頭から、彼は場の空気を一瞬で掴み、笑いへと昇華。西畑の「適当ちゃいます?」という返しを誘発するその流れには、漫才的なリズムすら感じられた。しかもこのやりとり、まだ自己紹介すら始まっていないタイミングで起きている。ナレーションの「紹介前なのにタイトル批判がすごい」というツッコミも込みで、番組の世界観を瞬時に視聴者に届けていた。
また、最年長の戸塚祥太(A.B.C-Z)が「自分がなぜここにいるのかまだ分からない」と話した場面では、髙地が「戸塚くん、バラエティで見ることがないんです」とフォローを入れ、視聴者にも戸塚のレア出演ぶりを印象づけた。
後輩メンバーのエピソードも、髙地が適切なタイミングで話を振ることで自然と広がっていく。「琳寧はさ……」とさりげなく話題を渡し、赤坂5丁目ミニマラソンのエピソードを引き出す流れは、もはや番組MCさながらの手腕だ。
■“旅”というフィールドで磨かれた、後輩との向き合い方
そんな髙地の人間力がさらに顕著に表れるのが、配信中の『ワイルドトリッパー!!』(Prime Video)。台本なし・野宿あり・スマホ検索NGという過酷なルールの中、TEAM NACSの戸次重幸とともに後輩ジャニーズと旅を繰り広げるこの番組で、髙地は“先輩としての自分”に本気で向き合っている。
開始前の戸次との対談で「後輩とどう接していいか分からない」と語った髙地。しかし実際には、冷たい雪上テント泊で段ボールを手に入れた際、後輩たちから「ずるいっすわ」とツッコミを受けても、「じゃあ取りに行けば?」と優しく返す。表面的にはユーモアを交えつつ、実は「自分で動くことの大切さ」を後輩に伝える教育的瞬間だ。
旅の途中、後輩の松尾龍(SpeciaL)と元木湧(少年忍者)が弱音を吐いていたという裏話に対し、髙地は笑顔の裏でさりげなく叱咤。カメラ映りを気にして元木を自然に誘導するなど、細やかな気配りも見逃せない。
■“親しみやすさ”こそが最大の武器
バラエティ畑で育ち、芸能界歴はすでに10年以上。髙地は『スクール革命!』(日本テレビ系)でデビューし、現在では温泉ソムリエやキャンプインストラクターの資格を活かして活躍の場を広げている。ロケで共演する芸人たちとも自然と打ち解け、SixTONESのYouTubeチャンネルでは、おいでやす小田やなすなかにしの中西茂樹とのゴルフドライブも披露。まさに“老若男女に親しまれる存在”としての地位を確立しつつある。
その一方で、後輩との接し方に悩みながらも真正面から向き合う姿勢や、責任感を持って行動する様子は、まさに“新時代のリーダー像”そのもの。怒鳴らず、圧をかけず、笑顔で導く。それが今の髙地優吾が体現する「優しさでまとめる」リーダーシップだ。
■「年齢」よりも「姿勢」で人はついてくる
最近、髙地が年齢を非公表にしたという報道が話題になった。だが、そこに込められたのは“年齢での上下関係にこだわらず、フラットな関係を築きたい”という願いなのかもしれない。
立場やキャリアの差にとらわれず、誰に対しても敬意とフラットさを忘れない髙地の姿勢は、今を生きる私たちが理想とするコミュニケーションの形だ。「かっこいい大人になりたい」「人としての経験値を増やしたい」――その想いを胸に、彼は今日も新たな挑戦へと踏み出している。
🧩“優しさ”は武器になる時代に——髙地優吾が教える対人スキルの本質
かつて「リーダーシップ」といえば、厳しさ、統率力、指導力といった“強さ”が求められた。だが今、社会は変わった。求められているのは、「人の話を聞く力」「空気を読む力」「寄り添う力」だ。
髙地優吾が実践しているのはまさにその姿勢。後輩に必要以上に干渉しないが、困っているときには自然とフォローする。「見守るけど、口を出しすぎない」という距離感が絶妙で、上から目線にならないからこそ、相手も心を開く。
ビジネスシーンでも、「心理的安全性の高いリーダー」が注目される昨今。この髙地の姿勢は、まさにその理想像に近い。しかもそれを“自然体”で実践しているからこそ、彼の言葉や行動には説得力がある。
私たちも、家庭で、職場で、友人関係で、誰かを支える立場になる場面があるはずだ。そんなときに参考にしたいのが、髙地優吾のような「柔らかいリーダーシップ」だろう。相手の視点に立ち、否定せず、場の空気を和らげながら導く。
優しさは、ただの甘さじゃない。“信頼される人”にだけ許される、強さの別名なのだ。