■ ホラーなのに“楽しい”─ギャップを味わう映画『見える子ちゃん』への挑戦
2025年6月、全国公開を迎えた映画『見える子ちゃん』。
原作は泉朝樹による人気ホラーコミックで、映像化を手がけたのは『予告犯』『残穢』などで知られる中村義洋監督。恐怖と笑いが交錯する独特の世界観で、観る者を引き込む新感覚ホラーコメディです。
その作品の中で、ミステリアスな代理教師・遠野善(とおの・ぜん)を演じたのが、SixTONESの京本大我さん。ホラーが得意でないという本人にとって、今回の出演は一筋縄ではいかない挑戦だったようです。
「怖いのは苦手なんですけど、“怖がらせるだけじゃない”部分に惹かれました。完成した映像は想像以上にクオリティが高くて、自分が関わったとは思えないくらい感動しました(笑)」
撮影現場では、主演の原菜乃華さんら若手キャストがすでに関係性を築いていた中に合流。年齢差を感じつつも、「ちょっと大人の立場」で、温かく見守っていたといいます。
■ 「遠野善」は一筋縄ではいかない役─演じる難しさとやりがい
遠野善というキャラクターは、表面上は無口で影のある存在。しかしその裏には、繊細さや人間らしい弱さが隠されています。京本さんは、その“ギャップ”をどう表現するかに悩んだそうです。
「ミステリアスだけじゃ足りないし、やりすぎてもリアルじゃない。演出の匙加減を中村監督と細かく相談しながら、探り探りで作っていきました」
演技の答えがひとつに定まらないからこそ、完成形を見たときの達成感はひとしお。共演者との相互作用も大きな力になったと語ります。
■ 創作の“軸”にあるのは、やっぱり「ファン」の存在
SixTONESの音楽活動はもちろん、俳優・写真・アートと多彩な表現手段を持つ京本大我さん。そんな彼の活動すべての中心にあるのが、「ファンとのキャッチボール」だといいます。
「自分が作ったものに対して、リアクションが返ってくる。そのやりとりが創作の原動力なんです。“これどう?”って投げて、“いいね!”って返ってきたら、また頑張れる」
ファンを意識することは「媚びる」とは違う。彼にとっては、“伝える相手がいる”という実感こそが、表現者としての支えになっているようです。
■ 30歳という節目─「量から質へ」変化する仕事観
2024年に30歳を迎えた京本さん。身体の変化も少しずつ実感していると、冗談交じりに語りますが、仕事への向き合い方には確かな変化が見え始めているようです。
「20代は“とにかく挑戦!”という気持ちで走ってきたけど、30代は“何をどう表現するか”に意識が向いています。内面を掘って、質を高める。そんな時期に入ったなと感じてます」
これまで趣味として楽しんでいた写真やアートにも、自然と“伝える”意識が生まれてきた。仕事と遊びの境界線がないからこそ、表現に対するピュアな情熱が保たれているのかもしれません。
■“アイドルの枠”を超える表現者・京本大我のスタンスとは?
京本大我という存在は、単なるアイドルでは片付けられない。
彼は、歌やダンス、演技だけでなく、写真、アート、さらには空気感までも“表現”として形にする稀有なアーティストです。
とりわけ印象的なのは、「完成」よりも「共有」を重視する姿勢。
彼にとって創作とは、自分の中で終わらせるものではなく、“誰かと交わすコミュニケーション”であり、その反応こそが作品を成長させるという感覚です。
この姿勢は、SixTONESとしての活動にも反映されています。
グループの音楽には彼独特の色気と繊細さがあり、それがSixTONESのエッジの効いた世界観に深みを与えているのです。
30代に入り、より“自分の色”を研ぎ澄ませようとする京本さん。
「こう見せたい」「こう思ってほしい」という明確な“届ける意志”が、これからの彼の表現活動にさらなる説得力をもたらしていくことでしょう。
🎬 映画情報
タイトル:『見える子ちゃん』
出演:原菜乃華、久間田琳加、なえなの、山下幸輝、堀田茜、吉井怜、高岡早紀、京本大我、滝藤賢一
監督・脚本:中村義洋
原作:泉朝樹『見える子ちゃん』(KADOKAWA)
主題歌:BABYMONSTER「Ghost」