
アイドルとして注目を集めたのち、作家・タレントという肩書きを携えながら、独自の表現領域を築いてきた 宮田愛萌。
彼女の活動を追っていくと、常に一貫している軸がある。それは「自分自身を、曖昧にせず語ること」だ。言葉でも、そして今回あらたに“身体”という表現手段でも。
本記事では、宮田愛萌という人物像に焦点を当て、現在の活動や価値観を丁寧に紐解きながら、彼女が今なぜ写真集という選択をしたのか、その背景に迫っていく。
作家としての宮田愛萌──“書く”ことで輪郭を与える人

宮田愛萌の現在地を語るうえで欠かせないのが、作家としての顔だ。
小説やエッセイにおいて彼女が描いてきたのは、はっきりと言葉にしきれない感情や、人との距離感、そして「自分とは何者なのか」という問い。その筆致は決して強い主張を振りかざすものではないが、読む側の内側に静かに入り込み、思考を促す力を持っている。
特徴的なのは、自分を美化しないこと。
弱さや迷い、割り切れなさをそのまま提示し、「そう感じる自分がいる」という事実を否定しない。その姿勢は、作家としてだけでなく、彼女のすべての活動に共通している。
“見せる”仕事への再定義──身体もまた、語るもの

そんな宮田が今回挑んだのが、1st写真集 『Lilas』 だ。
写真集と聞くと、華やかさや非日常性が先行しがちだが、彼女が向き合ったのはむしろその逆。「30歳になる前に、今の自分の体をきちんと残しておきたい」という、極めて個人的で現実的な動機から企画は始まっている。
撮影に向けて約1年にわたりトレーニングを継続し、無理のない形で体を整えたという事実からも分かるように、これは勢いやノリの仕事ではない。
水着やランジェリーのカットも含まれているが、そこにあるのは“見せるための体”ではなく、“向き合った結果としての体”だ。
原点回帰のロケ地・セブ島が映し出す素顔

撮影地に選ばれたのは、フィリピン・セブ島。
高校時代に短期留学を経験した場所であり、宮田自身が「もう一度行きたい」と強く希望したという。リゾート地としての美しさだけでなく、彼女の記憶や感情が重なる土地である点が象徴的だ。
ジプニーに揺られ、かつて食べられなかったファストフード「ジョリビー」を口にし、お酒を楽しむ。
観光地として切り取られたセブではなく、「過ごす場所」としてのセブ。その空気感が、写真集全体に穏やかなリアリティを与えている。
花盛友里が引き出す“作られていない表情”

カメラを担ったのは、女性の自然体を写し取る表現で知られる 花盛友里。
彼女の写真は、ポーズや演出よりも、その人がそこに“いる”という事実を尊重する。今回の作品でも、気負いのない表情や、ふと気が緩んだ瞬間が丁寧に収められている。
女性スタッフのみのチーム編成も相まって、現場は終始リラックスした空気だったという。その「女子旅感」は、ページをめくるごとに確かに伝わってくる。
「自分の体型が好きではなかった」から始まった変化

宮田はコメントの中で、「あまり自分の体型が好きではなかった」と率直に語っている。
しかし、写真集制作というプロセスを通じて、「そんなに悪いものではないなと思えた」とも述べている点が印象的だ。
ここにあるのは、自己肯定の完成形ではない。
“嫌いだったものを、無理に好きになる”のではなく、“嫌いだと思っていた感覚を見直す”という、ごく誠実な変化。その過程を含めて作品に刻む姿勢は、まさに作家としての彼女らしい。
宮田愛萌が体現する
現代において「自分を表現する」ことは、決して特別な行為ではなくなった。SNSを開けば、誰もが日常や感情を発信している。しかし、その一方で「どこまでが本音で、どこからが演出なのか」という境界は、ますます曖昧になっている。
宮田愛萌の表現が際立つのは、この曖昧さから逃げない点にある。
彼女は一貫して、「はっきりしない感情」や「整理しきれない自分」を、そのまま提示してきた。作家としては言葉で、今回の写真集では身体で。その媒体は違えど、根底にある態度は変わらない。
写真集『Lilas』は、自己主張の強い作品ではない。
だが、だからこそ強度がある。鍛え上げた体を誇示するのでもなく、理想像を演じるのでもない。「今の自分が、ここにいる」という事実を静かに提示する。その姿勢は、年齢や立場を問わず、多くの読者にとってリアルな問いを投げかける。
私たちは往々にして、「もっとこうでなければ」「まだ足りない」と自分に条件を課す。しかし宮田の表現は、その手前で立ち止まる。「今の自分を、どう扱うか」という視点を提示するのだ。
言葉と身体、そのどちらも誠実に扱うこと。
それは簡単なようでいて、実は非常に難しい。宮田愛萌が選び続けている「自分を語る仕事」は、派手さとは無縁だが、確実に今の時代に必要とされている表現だと言えるだろう。

Lilas
「30歳になる前にきれいな体を残しておきたい」というコンセプトで始まった今作。写真集に向けて約1年をかけてトレーニングを行い、女性らしいメリハリのある体を作り上げました。水着、ランジェリーの撮影も、楽しみながら行っています。


