音楽

クラムボン「LOVER ALBUM」「LOVER ALBUM 2」初アナログ化決定!20周年に蘇る名カバー盤の魅力とは

2025年10月16日

クラムボン「LOVER ALBUM」「LOVER ALBUM 2」初アナログ化決定!20周年に蘇る名カバー盤の魅力とは

音が、もう一度、針の先で息を吹き返す。

クラムボンのカバーアルバム『LOVER ALBUM』(2006年)と『LOVER ALBUM 2』(2013年)が、2026年1月21日、初めてアナログ盤として同時リリースされる。

あの柔らかなピアノ、微笑むようなコーラス、そして空気を含んだベースの鳴り——。デジタルの時代を軽やかに駆け抜けてきたクラムボンの音楽が、20年という時を経て“レコード”という最も人肌に近いフォーマットに帰ってくる。

カバーという名の“対話”

2006年に発表された『LOVER ALBUM』は、矢野顕子「PRAYER」から始まり、フィッシュマンズ「ナイトクルージング」、岡村靖幸「カルアミルク」まで——。

選ばれた曲たちは、どれも時代もジャンルも異なるが、原田郁子の声とミトのベース、伊藤大助のドラムによって“クラムボン流の呼吸”を吹き込まれている。

「これはカバーアルバムというより、音楽へのラブレターだ」。

リリース当時、多くのリスナーがそう感じた理由は、彼らが単に“再現”するのではなく、音の奥にある“心”を探っていたからだ。

続く『LOVER ALBUM 2』では、その探求がさらに深くなる。中森明菜「DESIRE -情熱-」を大胆に再構築し、アニメ『けいおん!』の「U&I」では思わず笑みがこぼれるほどの温かさを滲ませた。空気公団や七尾旅人、Michael Kiwanukaまで、時代も国境も超えて響き合う選曲は、まるでクラムボンというフィルターを通した“音楽地図”のようだ。

原田郁子が語る「レコードで聴く」幸福

原田郁子(Vo, Key)は今回のアナログ化についてこう語っている。

「“Lover Albumはレコードにならないんですか?”という声をもらうたびに、“ね、レコードで聴きたいよね”と話していました。でも、実際はなかなか難しいだろうなと思っていたんです。で、す、が、レーベルのみなさんの熱意で実現しました。わーい!」

そしてもう一歩、音楽家としての本音もこぼす。

「1枚目は星野さん、2枚目はtoeの美濃くん。エンジニアとメンバーで小淵沢のスタジオに合宿して、実験しながら録音した日々を思い出します。レコードでぜひ聴いてください。そしてオリジナル音源も一緒に。私たちの演奏どうこうではなく、原曲の素晴らしさを伝えたいです」

“原曲への敬意”を何よりも大切にしてきた彼女らしい言葉だ。針を落とすと、盤のノイズに混じって、そのまっすぐな気持ちが確かに聞こえてくるような気がする。

20年の時を経て、再び響く「ありがとう」

今回のアナログ化は、デビュー25周年を経たクラムボンにとっても、ファンにとっても特別な出来事だ。

2000年代の空気をそのまま閉じ込めた『LOVER ALBUM』、そしてより開かれた時代の風を纏った『LOVER ALBUM 2』。その2作を並べて聴くと、バンドが歩んできた20年の軌跡がまるで音で描かれているように感じる。

さらに、今回のリリースでは特典としてステッカーシートが用意されている。対象はこの2作に加え、『imagination』『てん、』『Musical』『2010』『triology』のアナログ盤。クラムボンというバンドの多層的な魅力を“手触り”で感じられるコレクションだ。

■ 【2026年1月21日発売】アナログ盤詳細

『LOVER ALBUM』(COJA-9570〜1)

クラムボン「LOVER ALBUM」「LOVER ALBUM 2」初アナログ化決定!20周年に蘇る名カバー盤の魅力とは

全13曲収録/2枚組アナログ盤

SIDE A
01. PRAYER / 矢野顕子
02. That's The Spirit / ジュディ・シル
03. As Long As He Lies Perfectly Still / The Soft Machine
04. 外出中 / SUPER BUTTER DOG

SIDE B
01. 波よせて / Small Circle of Friends
02. サマーヌード / 真心ブラザーズ
03. Across The Universe / The Beatles

SIDE C
01. ナイトクルージング / フィッシュマンズ
02. 以心電信-You've Got To Help Yourself- / YMO
03. I Am Not A Know It All / Bow Wow Wow

SIDE D
01. カルアミルク / 岡村靖幸
02. おだやかな暮らし / おおはた雄一
03. I Shall Be Released / The Band

『LOVER ALBUM 2』(COJA-9572〜3)

クラムボン「LOVER ALBUM」「LOVER ALBUM 2」初アナログ化決定!20周年に蘇る名カバー盤の魅力とは

全14曲収録/2枚組アナログ盤

SIDE A
01. 呼び声 / 空気公団
02. GOLDWRAP / e.s.t.(Esbjorn Svensson Trio)
03. U&I / 放課後ティータイム
04. The Postman / The American Analog Set

SIDE B
01. DESIRE -情熱- / 中森明菜
02. 状態のハイウェイ / TOKYO No.1 SOUL SET
03. Lady Madonna / The Beatles

SIDE C
01. O Caroline / Matching Mole
02. ぎやまん / 七尾旅人
03. 何も言わないで / カコとカツミ
04. 雲のいびき / HUSKING BEE

SIDE D
01. 幸せ願う彼方から / 泉かなた
02. I'M GETTING READY / Michael Kiwanuka
03. FOUR IN THE MORNING / LITTLE CREATURES

特典対象のアナログ盤

・「LOVER ALBUM」
・「LOVER ALBUM 2」 
・「imagination」
・「てん、」 
・「Musical」 
・「2010」
・「triology」

公式情報・予約リンク:クラムボン公式サイト

🎵 クラムボンが描く“音楽の継承”

クラムボンのカバーは、ただの再演ではない。

彼らが行っているのは、音楽という文化の「継承」だ。

矢野顕子やフィッシュマンズ、YMOといった先人たちの音を、自分たちの呼吸で再び世に送り出す。その行為はまるで“音のリレー”のようであり、原曲の魂を現代のリスナーへと手渡す作業でもある。

デジタル配信が主流となった今、彼らがアナログ盤という「物理的な記憶媒体」を選んだことにも深い意味がある。

針を落とし、音が鳴る。

その瞬間、20年前のスタジオの空気と、いまリビングに流れる空気が重なり合う。

それこそが、クラムボンがこの20年をかけて紡いできた“音楽の奇跡”だ。







この記事を書いた編集者
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ポプバ編集部:Jiji(ジジ)

映画・ドラマ・アニメ・漫画・音楽といったエンタメジャンルを中心に、レビュー・考察・ランキング・まとめ記事などを幅広く執筆するライター/編集者。ジャンル横断的な知識と経験を活かし、トレンド性・読みやすさ・SEO適性を兼ね備えた構成力に定評があります。 特に、作品の魅力や制作者の意図を的確に言語化し、情報としても感情としても読者に届くコンテンツ作りに力を入れており、読後に“発見”や“納得”を残せる文章を目指しています。ポプバ運営の中核を担っており、コンテンツ企画・記事構成・SNS発信・収益導線まで一貫したメディア視点での執筆を担当。 読者が「この作品を観てみたい」「読んでよかった」と思えるような文章を、ジャンルを問わず丁寧に届けることを大切にしています。

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