25周年の今、女優・長澤まさみはどこに立っているのか?
1995年代後半から2000年代前半、日本のエンタメ業界は「演技派女優」と「国民的女優」が明確に分かれていた時代。
そんな中、長澤まさみは2000年の「東宝シンデレラオーディション」グランプリをきっかけに鮮烈なデビューを飾り、その後、数々の話題作を通じて“どちらにも属さない稀有な存在”としてキャリアを重ねてきた。
2025年、デビュー25周年を迎える彼女は、いま改めて「何を面白いと思い、何に挑んでいるのか」。その“創作軸”に注目が集まっている。
型にとらわれない役選び 常に“未知”を選び続ける理由
長澤まさみのキャリアを振り返ると、ジャンルの広さに驚かされる。恋愛映画から時代劇、コメディから社会派まで、実に多様だ。『モテキ』や『コンフィデンスマンJP』シリーズのようなテンポの早いコメディでの顔、『海街diary』や『Mother』のような静謐で重厚なドラマでの顔――どれも違うが、すべて「長澤まさみ」であることに揺らぎがない。
そして今回、2025年公開の『ドールハウス』では、“ドールミステリー”という異例のジャンルに初挑戦。ジャンルやイメージに縛られない自由な選択こそが、長澤まさみの女優としての真骨頂と言える。
25年間変わらない「面白い作品をつくる」という軸
インタビューなどでたびたび語られるのが、「お客さんが楽しめることを第一に考える」というシンプルな信念。これは、演技の幅や芸歴の長さ以上に、彼女の“変わらない軸”として際立っている。
どんなにシリアスな役でも、どんなに奇抜な企画でも、「やってみたい」と思えるものに正直であり続ける。その“創作への純粋さ”こそが、長澤まさみの最大の武器だ。
「現場主義」で磨かれる演技力と信頼
共演者やスタッフからの証言を見ても、彼女が“現場での信頼”を集める存在であることがわかる。台本の読解力はもちろん、現場での対応力、柔軟性、瞬発力――どれをとっても一級品。
特に、アドリブを活かすコメディ作品や、ワンカット長回しのシーンでは、演出家の想定を超える芝居で作品を底上げすることもある。そうした“現場で光る演技”が、業界内でも高く評価されている。
次なる舞台は「世界」か?国内外から注目される存在に
近年、日本映画の海外進出が加速する中、長澤まさみの国際的な評価もじわじわと高まっている。『モテキ』や『Mother』は海外映画祭でも上映され、演技力の高さと存在感が注目された。
言語や文化が違っても、感情の機微を的確に表現することができる彼女の演技は、今後ますます国際的なプロジェクトで求められるだろう。演技に国境はない――それを体現できる女優の一人だ。
表現者として、年齢とともに深まる「人間のリアル」
10代・20代では“等身大の女性”を体現し、30代以降は“人間の影”や“複雑な内面”に踏み込んできた長澤まさみ。演じる役柄は明らかに変化しているが、どのフェーズにおいても「リアルな人間」を描こうとする姿勢は一貫している。
これは、経験を積んだからこそ出せる“生々しさ”であり、“観る者の心に入り込む力”だ。その深みは、これからさらに増していくはずだ。
🔚まとめ:「変わらない心」と「変わり続ける表現」
芸能生活25年。子役出身でもなく、劇団系でもない、独自のポジションを築いてきた長澤まさみは、「面白いものをつくる」というたった一つの軸で、これほどまでに多彩な顔を見せてきた。
役者というより、“表現者”として生きる。その姿は、これからも変わらず観る人の心を動かし続けるだろう。
主演映画『ドールハウス』全国公開中
原案・脚本・監督:矢口史靖
出演:瀬戸康史、田中哲司、風吹ジュン ほか
主題歌:ずっと真夜中でいいのに。「形」
公式サイト:dollhouse-movie.toho.co.jp