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松岡昌宏、止まらない挑戦の現在形。芝居・ラジオ・人生をつなぐもの

松岡昌宏、止まらない挑戦の現在形。芝居・ラジオ・人生をつなぐもの

キャリアを重ねるほど、表現は安定していく。しかし一方で、「初めて」に出会う機会は確実に減っていく。そんな中でも、なお挑戦の歩みを止めない表現者がいる。

松岡昌宏は、2026年5月、舞台『はがきの王様』で主演を務める。
深夜ラジオとハガキ職人という、今や懐かしさを帯びた文化を題材にしたこの作品は、松岡のこれまでの歩みと自然に重なり合う題材でもある。

本作は単なる新作舞台への出演情報ではない。松岡昌宏という人物が、今どこに立ち、何を表現しようとしているのか。その「現在形」を浮かび上がらせる一本だ。







ラジオと共に育った少年時代

松岡昌宏を語る際、ラジオの存在は欠かせない。本人が公に語っている通り、松岡は子どもの頃から深夜ラジオを聴いて育った世代だ。

とりわけ『オールナイトニッポン』をはじめとする深夜番組は、彼にとって身近な娯楽であり、言葉と向き合う最初の場所だった。

顔の見えないパーソナリティの声。読まれるか分からないハガキに託された言葉。その一つひとつが、「誰かに思いを届ける」体験として記憶に刻まれている。

のちにテレビの世界へ進み、TOKIOの一員として幅広い活動を行うようになってからも、松岡はラジオへの思いを繰り返し語ってきた。番組に携わった経験を経ても、その距離感や魅力は変わらないという。

舞台『はがきの王様』が描くもの

松岡昌宏、止まらない挑戦の現在形。芝居・ラジオ・人生をつなぐもの

舞台『はがきの王様』は、脚本・演出を金沢知樹が手がけるオリジナル作品だ。

物語の主人公・田中浩司は、外資系企業の幹部という立場を失い、家庭も崩壊した中年男性。すべてを失った末に戻った実家で、彼は高校時代に使っていた古いラジカセを見つける。

電源を入れると流れてくるのは、かつて夢中になっていた深夜ラジオ番組。ハガキ職人として番組に参加していた頃の記憶と、当時の自分。

その「声」との再会が、止まっていた時間を少しずつ動かしていく。

松岡昌宏が演じる田中浩司は、感情を大きく表に出す人物ではない。だからこそ、内側に積もった後悔や未練、再生への兆しが、静かに伝わってくる構造になっている。

声で時代を象徴する存在との共演

物語のもう一人の重要人物が、伝説的なラジオパーソナリティ・楢崎幸之助だ。この役を務めるのはピエール瀧

番組にとってハガキ職人は、単なるリスナーではなく、番組を共につくる存在。その関係性を象徴する役どころを、松岡とピエール瀧がどう立ち上げるのかは、本作の大きな見どころの一つだ。

派手な演出に頼らず、「声」と「言葉」を軸に進む構成は、舞台という空間と高い親和性を持っている。







松岡昌宏の芝居が持つ“静かな説得力”

近年の松岡昌宏の芝居には、一貫した特徴がある。過度に感情を説明しないこと。観客に余白を委ねること。

声の抑揚、間の取り方、沈黙の使い方。それらは長年の経験の中で培われたものであり、田中浩司という役柄とも自然に重なっていく。

本人が語っているように、長く活動を続けるほど「初めて」に出会う機会は減っていく。しかし本作では、以前から立ちたいと語っていた本多劇場への出演や、共演を望んでいた俳優陣との舞台など、新たな刺激が揃っている。

その新鮮さが、役の佇まいにも確実に影響を与えるだろう。

挑戦を続ける理由は、今も変わらない

松岡昌宏、止まらない挑戦の現在形。芝居・ラジオ・人生をつなぐもの

松岡昌宏が舞台に立ち続ける理由は、過去の実績を更新するためではない。「伝える」という行為そのものへの誠実さにある。

『はがきの王様』で描かれるのは、言葉が誰かに届くまでの時間と、その不確かさ。ハガキというアナログな手段を通して、人と人がつながる物語は、デジタル全盛の令和において、かえってリアルな感触を持つ。

松岡はこの作品を通じて、ラジオならではの良さを舞台上で伝えようとしている。それは懐かしさの提示ではなく、「今だからこそ響く表現」を探る試みだ。

松岡昌宏と「声」の表現史

松岡昌宏の表現を貫いている要素の一つが、「声の距離感」である。
テレビでは画面越しに、舞台では劇場空間を通して、ラジオでは音だけで。媒体が変わっても、届け方の姿勢は一貫している。

ラジオは「不特定多数」に向けたメディアではない。今この瞬間に聴いている一人に向けて語るメディアだ。

その感覚を身体化しているからこそ、松岡の芝居は観客に過度な説明を求めない。

『はがきの王様』で描かれるハガキ職人の存在もまた、同じ構造を持っている。読まれるかどうか分からない一通のハガキ。それでも書き、送り、待つ。その行為は、表現することの原点そのものだ。

2026年5月。松岡昌宏は、この舞台で「これまで」と「これから」を静かにつなぎ直す。集大成ではなく、現在進行形の挑戦として。

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2026/1/24

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ポプバ編集部:Jiji(ジジ)

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