ポップバースミックス

ポップカルチャーの交差点、あなたが主役のエンタメ宝庫の旅へ!

ドラマ 国内ドラマ

日曜劇場『御上先生』が描く教育の本質—松坂桃李×詩森ろばが挑む“考える力”の革新とは?

日曜劇場『御上先生』が描く教育の本質—松坂桃李×詩森ろばが挑む“考える力”の革新とは?

©︎日曜劇場『御上先生』

TBS日曜劇場『御上先生』が、多くの視聴者に深い余韻を残し続けている。松坂桃李演じる主人公・御上孝の「考えて」という言葉は、ただの教育論を超え、日本社会が抱える根本的な問題に切り込むメッセージとなっている。
本作の脚本を手がけたのは、『新聞記者』などで知られる詩森ろば。彼女が描き出すのは、従来の学園ドラマとは一線を画す、“教育”そのもののあり方に対する挑戦だ。

本記事では、詩森ろばの脚本が持つ革新性と、松坂桃李の圧倒的な演技が生み出した“教育の本質”に迫る

「スクールカーストなし」の学園ドラマが問いかけるもの

一般的な学園ドラマでは、「スクールカースト」「いじめ」「対立」が主要なテーマとして描かれることが多い。しかし、『御上先生』ではそのような定番の構図を一切排除
代わりにフォーカスされるのは、「教師と生徒が共に考え、共に成長する姿」だ。

日曜劇場『御上先生』が描く教育の本質—松坂桃李×詩森ろばが挑む“考える力”の革新とは?

©︎日曜劇場『御上先生』

脚本を手がけた詩森ろばは、入念な取材を重ねた上で、現代の教育が目指すべき形をリアルに描き出すことを決意。彼女が特に重視したのが、「生徒に考えさせる教育」だ。

「優れた教育者ほど、生徒に考えさせる。その姿を描くことが、今必要なことだと思った。」(詩森ろば)

この言葉が示すように、本作の根底にあるのは「教師からの一方的な指導」ではなく、生徒が自ら答えを導き出すプロセスこそが教育であるという考え方だ。
まさに、御上が劇中で生徒たちに問い続ける「考えて」という言葉そのものである。

松坂桃李が体現する「Personal is political」

『御上先生』では、単なる教育論だけでなく、より広い視点から「社会の歪み」も描かれる。その中心にあるのが、「Personal is political(個人的なことは政治的なこと)」というテーマだ。

御上の過去が明らかになるにつれ、彼が文科省の官僚になった理由、そして隣徳学院へ赴任した真意が浮かび上がる。
それは、兄・宏太の死と深く結びついている。

兄の死は、単なる「個人的な悲劇」ではなかった。
それは、教育制度や社会の在り方が生み出した、避けられたかもしれない悲劇だったのだ。

御上は、自らの人生をかけて教育を変えようとするが、官僚組織の硬直化したシステムの中で限界を感じる。そんな時、彼が出会ったのが隣徳学院だった。

この設定は、教育をめぐる現代日本の問題をリアルに反映している
教師と生徒、生徒と社会、官僚制度と教育機関──それらが密接に絡み合いながら、個人の人生に大きな影響を及ぼしていることを本作は見事に描いている。

「個人の選択が、社会の構造に影響を与える。だからこそ、教育は重要なんです。」(松坂桃李)

松坂桃李自身もこのテーマを深く理解し、御上というキャラクターを通して、教育が持つ政治的・社会的側面を体現している

教師と生徒の境界線を超えた「学び合う関係性」

日曜劇場『御上先生』が描く教育の本質—松坂桃李×詩森ろばが挑む“考える力”の革新とは?

©︎日曜劇場『御上先生』

劇中で描かれる教師と生徒の関係性は、従来の「教える側」と「教わる側」という固定された構図を超えている。
特に第6話では、生徒たちが御上に「もっと自分をさらけ出してほしい」と訴えるシーンが印象的だった。

「なんであんただけ鋼の鎧を着こんでるんですか?」

この言葉が示すのは、教師と生徒の関係が一方通行ではないこと
生徒は御上から学ぶだけでなく、御上自身もまた、生徒たちとの関わりを通じて変化していく。

こうした関係性は、現実の教育現場にも大きな示唆を与えるものだ。
つまり、「教育は一方通行ではなく、対話を通じて互いに学び合うもの」という考え方である。

教育の未来へのメッセージ──『御上先生』が伝えたいこと

『御上先生』は、単なる学園ドラマではなく、教育の未来について視聴者に問いかける作品だ。
教師だけが生徒を導くのではなく、生徒の声にも耳を傾け、共に学び合うこと。
そして、個人の問題は決して個人だけのものではなく、社会全体の仕組みと深く関わっていることを理解すること

こうしたテーマを、『御上先生』は真正面から描き出している。
そして、松坂桃李の演技が、そのメッセージをより強く視聴者に届けている

「考えて」と問いかける御上の姿は、視聴者にも深い考察を促す。
この作品を通して、「教育とは何か?」「社会と個人の関係とは?」といった問いを自分自身にも投げかけてみるべきなのかもしれない

ドラマ最新記事

この記事を書いた執筆者・監修者
この記事を書いた執筆者・監修者

ポプバ ドラマ部:佐伯・Pちゃん

脚本家でオタク。
小さい頃からドラマや映画が大好きで、自分でドラマや映画の脚本を書いていました。コンクルールなどにもよく応募していました。 テレビドラマは毎期欠かさず全タイトルをチェック!面白いものは観続けますが、面白くない作品はドロップアウトしちゃいます。
漫画やアニメ、映画も邦画洋画問わずに観ちゃう雑食系。いろんな角度からドラマを観ています!ぜひ皆様の感想も知りたいです!

-ドラマ, 国内ドラマ
-, , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,