©︎『モンスター』第4話
『モンスター』（カンテレ・フジテレビ系）第4話では、体罰問題が浮上したスポーツの世界に潜む暗部が描かれ、視聴者の胸に鋭い疑問を突きつけました。
趣里が演じる“亮子”は、表向きの「正義」とそれを支える歪んだ価値観を暴き出し、その正義が本当に正しいのかと問います。社会に浸透する一方的な正義感や、他人の「悪」を糾弾する風潮を批判的に描く内容が、多くの共感を呼びました。
名門サッカー部に潜む“体罰”の実態と大学の対立
ドラマ第4話の発端は、名門大学のサッカー部で発覚した体罰問題。
匿名の部員Aの告発をもとにした週刊誌の報道が、世間を大きく揺るがします。体罰の告発に追い打ちをかけるように、部員たちは体罰の事実を証明する動画をSNSで拡散し、さらには大学を相手に損害賠償を求める裁判を起こすという事態に。コーチの甘利（佐野岳）からの依頼を受け、亮子（趣里）と彼女の相棒・杉浦（ジェシー）は大学側の代理人として事件の裏側を探り始めます。
亮子の“足で稼ぐ”捜査 浮かび上がる体罰問題の曖昧な境界
亮子は、徹底的な聞き込み調査と変装による潜入調査で体罰の実態に迫ります。
今回も得意の変装を駆使し、ガーリーな装いで街コンに参加するなど、巧みに相手の本音を引き出す方法で証言を集めました。次第に、サッカー部で“指導”と称して行われてきた厳しい練習が体罰に当たるのか、その線引きが明確ではないことが浮き彫りになります。OBの証言によれば、過去には鉄拳制裁が当たり前だった一方で、現在の練習内容はそれほど露骨なものではない。しかし、一部の学生には“体罰”と受け取られていたのです。
亮子と杉浦の凸凹コンビが暴く、告発の背後に隠れた真実
亮子が体罰の証拠を探す中で、相棒の杉浦は彼女に振り回されながらも、視聴者に現場の状況や登場人物の内面を伝える重要な役割を担います。
普段は亮子にやや押され気味の杉浦ですが、亮子の無茶に翻弄される姿がコミカルなアクセントとなり、ドラマ全体に緊張と緩和のバランスを与えています。ジェシー演じる杉浦が、困惑や驚きの表情を見せるたびに視聴者も物語の進展を追いやすく、感情移入を誘う役割を果たしています。
サッカー部員の絆と友情 “正義”の名の下に揺らぐ人間関係
亮子たちが真相を追う中、体罰告発の中心人物である部員・神宮寺（夏生大湖）が抱える葛藤が浮かび上がります。ゴールキーパーのレギュラー選手・武田（本田響矢）にかかる負担を減らしたいという思いから、神宮寺は体罰として告発する決意をしたのでした。夢を追いながらも友情に悩む彼らの姿が描かれる第4話は、単なる体罰問題の表面だけでなく、人間関係の複雑さや若者たちの苦悩を丁寧に描き出しています。
友情というテーマは、亮子と杉浦の会話からも感じ取れる要素であり、ドラマのストーリーに奥行きを加えるものです。彼らの友情が体罰問題にどう関わり、どんな結末を迎えるのか、物語はますます深みを増していきます。
正義感の暴走と社会への警鐘 「モンスター」が描く鋭い風刺
©︎『モンスター』第4話
本エピソードで特に際立ったのは、亮子が放つ「噂や信ぴょう性の低い情報に流される社会」への痛烈な警鐘です。
これは現代社会にも通じるテーマで、社会が“正義”と呼ぶものが果たして正しいのか、疑問を投げかけています。安易な犯人探しや、批判することによる自己満足に酔いしれることへの警告が、脚本家のメッセージとして響きます。
「正義」として一方的に非難し、当事者の言い分を無視することで、真実が見えなくなってしまう危険性。それは、私たち自身が知らず知らずのうちに「モンスター」と化しているのではないかという問いかけでもあります。
まとめ：現代の“正義”を問う挑戦的なテーマに視聴者は何を感じるか
『モンスター』第4話で描かれたのは、体罰という社会問題を通して“正義”の持つ危うさを浮き彫りにする挑戦的なテーマでした。趣里が演じる亮子は、正義という名のもとに糾弾される人々の視点から、社会の一方的な正義感の暴走に鋭く切り込みます。視聴者は、このドラマを通じて「正義とは何か」を問い直さざるを得ません。
趣里が見せる亮子の冷静さと大胆さ、杉浦を演じるジェシーの柔軟な演技が、ドラマに深みを与え、物語に没入させてくれる『モンスター』。次回は、どんな新たな真実が明らかになり、どのように社会に潜む“モンスター”が描かれるのか、今後の展開に期待が高まります。
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