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『室井慎次 生き続ける者』が語る“老いと死”とは?『踊る大捜査線』からの挑戦状

ついに公開された『踊る大捜査線』シリーズのスピンオフ映画、『室井慎次 生き続ける者』。前後編の完結編となる本作は、シリーズ最大の異色作として、これまでとは一線を画すテーマに挑んでいます。それは、「老い」と「死」という普遍的な問いかけ。本記事では、室井慎次の生き様を振り返りながら、本作が伝えようとした深いメッセージに迫ります。

12年ぶりの新作が描く“その後”の室井慎次

『踊る大捜査線』の象徴的な存在である室井慎次(柳葉敏郎)。警察官僚として青島俊作(織田裕二)たち湾岸署の刑事と激しくぶつかり合いながらも、最終的には共に正義を追求してきた彼の物語は、前作『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で一区切りを迎えました。しかし、本作はその後の室井を新たに描き出します。

前編『室井慎次 敗れざる者』では、室井が警察組織の改革に失敗し、秋田の古民家で里親として静かな生活を送る姿が描かれます。そこで彼は、事件で親を失ったタカ(齋藤潤)とリク(前山くうが・前山こうが)の兄弟を育てながら、新たな人生を歩もうとしていました。この日常の描写からは、これまで「公」として生きてきた室井が「個」に向き合う姿が感じられます。

過去と現在が交錯する物語

後編『生き続ける者』では、室井のもとに新たな事件と、過去からの因縁が絡み合いながら押し寄せます。古民家の前で発見された他殺体は、かつて室井が担当した会社役員連続殺人事件の犯人の一人。この出来事をきっかけに、室井は再び警察の捜査に協力することになります。

さらに、室井の前に現れた少女・日向杏(福本莉子)は、湾岸署を震撼させた猟奇殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の娘でした。シリーズファンには衝撃的な展開で、過去に『踊る』で重要な役割を果たした犯罪者たちが再登場。室井が向き合うのは事件そのものだけでなく、自身の過去ともいえる存在だったのです。

“老いと死”という挑戦的テーマ

『踊る』シリーズのこれまでの作品は、組織や事件の在り方に焦点を当てながらも、エンターテインメント性を強く押し出してきました。しかし、本作が掘り下げたのは、「老い」と「死」という非常に重いテーマです。

後編では、大雪の中で飼い犬シンペイを探しに出た室井が遭難し、そのまま命を落とすという衝撃の結末を迎えます。これまで『踊る』シリーズが避けてきた「派手な殉職」を描かず、静かであっけない形で幕を閉じる室井の最後。それは、作品全体が貫いてきた「事件に大小はない」という理念をも映し出しています。

タイトルにある「生き続ける者」とは、室井の肉体ではなく、彼の志や価値観を指しているのでしょう。警察改革への夢は、新城(筧利夫)や沖田(真矢ミキ)へと引き継がれ、子どもたちへの深い愛情は、タカやリクに受け継がれる。室井の生き様そのものが、次の世代に渡される遺産となったのです。

『踊る』シリーズ最大の異色作としての意義

映像面でも『室井慎次』は異色です。『踊る』シリーズでは回想シーンがほとんど用いられませんでしたが、本作では過去の映像がふんだんに使われています。室井の日常と過去が交錯することで、彼の人生そのものを振り返る作品となっていました。

また、これまでの『踊る』では事件解決がストーリーの核でしたが、本作では室井の内面や人間関係が丁寧に描かれています。こうした挑戦的なアプローチができたのも、長年にわたって観客と一緒に成長してきた『踊る』だからこそ可能だったのではないでしょうか。

ファンへの問いかけ:「自分にとって『踊る』とは何だったのか?」

本作は単なるスピンオフではありません。青島や室井を通じて、観客にも問いを投げかけています。「自分にとって『踊る』とは何だったのか?」と。20年以上続くシリーズだからこそ、観客自身も年齢を重ね、当時の思い出とともに作品を振り返ることができます。

『踊る』シリーズは、現実と劇中の時間がリンクしている点が大きな魅力です。 これにより、キャラクターたちが現実世界を共に生きているかのような錯覚を覚えます。そして、今回の映画を観終えた後、青島や室井の存在感がより強く心に刻まれるのです。

これからの『踊る』に期待して

『室井慎次 生き続ける者』のラストでは、青島が秋田の室井の家を訪れる場面が描かれます。このシーンは、彼が室井の志を受け継ぐ決意を固めた瞬間であり、同時に『踊る』シリーズの再始動を予感させます。

ファンにとっても、室井慎次という一人の人間の人生を通して、自分の「これから」について考えさせられる本作。老いをどう受け入れ、どのように生きていくのか。その答えを探るヒントが、この異色作の中に隠されています。

『室井慎次 生き続ける者』は、これまでの『踊る』シリーズとは違った切り口でファンに訴えかける珠玉の作品です。まだ観ていない方は、ぜひ劇場で室井慎次の最後の物語を体感してください!

公開情報

『室井慎次 敗れざる者』 / 『室井慎次 生き続ける者』
全国公開中
出演:柳葉敏郎、織田裕二、筧利夫、真矢ミキ ほか
公式サイト:https://odoru.com/

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2025/9/25

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最新みんなのレビュー

今ひとつ

2025年10月13日

そんなに映画通では無いですが、

子供の頃から見て来た映画で

秋刀魚の味と我谷は緑なりきと並んで

八つ墓村の3本は好きな映画です。

角川映画としては今ひとつでしたね。

今ひとつ

2025年10月13日

今日、火喰鳥を喰うと言う映画を見た。普段は映画館にホラー映画を観ようとは思はないが、角川映画なので面白いのでは、と思って見に行った。まぁそれなりに面白かったが、あくまでもそれなりである、角川映画としてある程度出来上がっている部分が多少あったはあったが、物足りない処が非常に多かった。冒頭スタートは良かったが、そこでの第二次大戦時の描写が長すぎる割に戦死した先祖のディテールが良く無い、まず、戦死する前では普通の人間で描き、生きて帰りたいと願う普通の青年であれば良かった物を、その時点で既に得体の知れない人物像にしてしまっている点だ。出兵時の俳優の写真もっと普通の好青年で良かったはずである。最後に出てくる老人を普通の老人にしているのに何故、軍人を最初から怪物めいたキャスディングにしてしまったのだろうか?霊能力者の存在も余計であったと思う。霊能力は彼女だけで良かったし、彼女が高校まで松本に住んでいた、と言うエピソードがあるならば、彼女と曾祖母存在の因果が戦死した大叔父となんなりかのあると言う設定が最後に解る様な、例えば、彼女の実家から映画の最後に曾祖母と大叔父が子供の頃知り合いだった写真が出てくる等、合わせて最初に墓の横の畑の中に出てくる少女が彼女の曾祖母であったとかである。主人公の走馬灯は早すぎである。最終暗転後のエンディングで出せば、思念の強さが、愛情の強さが、脆い物では無く、それこそが、不可解な運命の歴史を紡いで行くと言う角川映画になったと思う。そこで人間の深みと思念の強さが過去に遡れば遡るほど強く、それが恐怖となる。逆に言うなら、文明の進化と共に現代人のそれが薄れている、或いは弱くなっていると言う物を表現して来た角川映画らしい作品になったのではと思う。犬神家も八つ墓村も、過去の人間の思念が現在の世界の運命を狂わす、過去は現代に繋がっている、歴史と因習因果を通じて、現代人が忘れてしまった何かを恐怖映画と言う形で表現してくれる日本特有の映画である角川映画になったはずである。

それが、余計な霊能力者の登場で台無しになってしまった感がある。

秒速5センチメートル

2025年10月13日

森七菜の高校生役の演技が本当にヤバいし可愛いです

松村北斗が泣いてるシーンは胸熱です

かき

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