■ ただの初ツアーじゃない——3人が「背負ったもの」
デビューから約1年——。Number_iにとっての2024年は、「挑戦」と「進化」の年だった。
その象徴とも言えるのが、全国5都市を巡った初のライブツアー『Number_i LIVE TOUR 2024 No.Ⅰ』だ。
グループとして初めてファンの前に立ち続けた3ヶ月。
その裏には、ただのライブでは終わらせないという“覚悟”と、“自分たちで創りきる”という強い意志があった。
この記事では、華やかなステージの奥で紡がれた3人の物語に迫り、Number_iがこのツアーで何を示したのか、どこへ向かおうとしているのかを解き明かしていく。
■初の全国ツアー『No.Ⅰ』——その全容と意味とは
◇ スタート地点にして到達点でもあった「初ツアー」
- 開催期間:2023年10月〜12月
- 会場:全国5都市(最終地はさいたまスーパーアリーナ)
- 特筆点:デビューから1年以内での全国ツアー開催
本ツアーは、Number_iのデビュー作であるアルバム『No.Ⅰ』を冠し、その世界観を舞台上で再構築した構成に。
オープニング曲「INZM」では、ステージ上に大量の水が降り注ぐなど、映像と演出が融合した世界観で観客を圧倒。
◇ ファンとの距離を縮めた“全曲披露”の構成
- ほぼ全楽曲を披露(アルバム+シングル曲+ソロ)
- 「iLY」では観客による撮影OK演出も実施
ファンとの距離感を大切にするスタイルが、Number_iのライブには通底していた。
それは単なるパフォーマンスの提供ではなく、「一緒に創る場」というライブ観そのものの提案だった。
■ ステージを“自分たちで設計する”という挑戦
◇ 舞台裏で動いた3人の頭脳と対話
Prime Videoで配信されたドキュメンタリー『THE_i -what is Number_i-』。
その第3話には、3人が演出や楽曲順を制作チームと一緒に“0から考える”様子が映されていた。
「この曲のあとにバラードを入れると、観客の感情が……」
——そんな言葉からも、観客の心理を軸にステージを構成しようとする姿勢が見える。
これはただのアイドルライブではない。
“アーティストとしてのライブを成立させたい”という姿勢の現れだった。
◇ 神宮寺が演出の軸に。ソロパートは「自分との対話」の時間に
- 神宮寺勇太:ステージ構成、映像演出を主導
- 岸優太:音楽的構成にこだわり、楽器とルーパーでのソロ挑戦
- 平野紫耀:演出照明の細部まで緻密にディレクション
ソロステージは3人にとって未知の領域だった。
グループとしての活動の中で、“個としてどう届けるか”という試行錯誤。
その挑戦の姿は、ある意味でライブの最もリアルな部分だったかもしれない。
■ Number_iがこのツアーで手に入れた「更新の証」
◇ 3人の「覚悟」が生んだ“ライブ=作品”という概念
ツアー全体を通して浮かび上がってきたのは、Number_iがライブを“作品”として提示しようとしていたこと。
演出も、演技も、構成も、自分たちで練り上げ、まるで1本の映画を届けるような精度でライブを組み立てていた。
◇ 「初の集大成」ではなく「第一章の終わり」——そして次へ
このツアーは“振り返り”であると同時に、「これからの可能性を示す場所」だった。
どこまで自分たちの音楽と表現を押し出せるのか、観客と共に問い直す時間だったのだ。
Number_iがライブで示す「自分たちで作る」精神とは?
◇ 外注ではなく“自分たちで設計する”意義
近年のアイドルシーンでは、プロの制作陣によるパッケージングが主流だ。
しかしNumber_iは、それに甘んじることなく、自らがプロデューサー的立場でライブを設計している。
これが意味するのは、「表現への責任を自分たちで引き受ける」という選択。
リスクも伴うが、だからこそライブの熱量が違う。
◇ ファンの“体験価値”にコミットした演出設計
観客がカメラを向けて良い瞬間を用意したり、涙や笑顔の流れを意識したセットリストを考えたり。
彼らは常に「観る側の感情曲線」を設計していた。
ライブは自己表現ではあるが、観る人と“共同体験”を作る場。
その意識がNumber_iのライブには色濃く反映されている。
◇ そして未来へ——“自分たちで創る”文化の継承
今後、後輩たちにとっても、Number_iのスタイルは1つの道しるべになるだろう。
「ライブ=消費される場」ではなく、「表現の集大成」であるという姿勢は、音楽シーン全体に新たな風を吹き込んでいる。
■ まとめ:彼らは挑戦をやめない——だから、目が離せない
Number_iの全国ツアー『No.Ⅰ』は、彼らが“今の自分たち”を全力で形にした挑戦の舞台だった。
単なる初ツアーではなく、「アーティストNumber_i」の出発点を刻む場でもあった。
その裏側にある葛藤や創意工夫を知った今、あのライブの一瞬一瞬が、より深く心に刺さるはずだ。
次に彼らが何を見せてくれるのか?
それは、また新たな“進化”の物語になるだろう。