
※本記事は漫画『ONE PIECE』エルバフ編までの重要なネタバレを含みます。
エルバフ編で浮かび上がった「五芒星(アビス)」という支配装置
エルバフ編に入り、世界政府の裏側がこれまで以上に具体的な“仕組み”として描かれ始めました。その中でも、物語の根幹を揺るがしかねない存在が**五芒星(アビス)**です。
この五芒星は単なる能力演出ではありません。「誰が」「どこへ」「いつでも」呼び出される世界。
それを可能にする、転移による支配システムそのものだと考えられます。
そしてこの仕組みを読み解く鍵が、シャンクスの左腕です。
五芒星(アビス)とは何か?|形状と基本的な性質
五芒星(アビス)は、円環の内側に五芒星、外側に五つの突起を持つ魔法陣として描かれています。
最初に使用したのは、エッグヘッド編でのジェイガルシア・サターン聖でした。
当初は彼個人の能力とも取れましたが、物語が進むにつれ、これは個人技ではなく共有システムであることが明らかになります。
能力の本質は「空間転移」だが、万能ではない
五芒星(アビス)が持つ力は、明確に「空間転移」です。
- 使用者自身の即時移動
- 離れた場所にいる人物の召喚
- マリージョアを起点とした超長距離移動
ただし重要なのは、自由転移ではないという点です。作中では、イムが「魔法陣の設置」を命じる場面が描かれています。
これはつまり、転移先は事前に刻印・登録された地点に限られるという制限が存在する可能性を示しています。
五芒星(アビス)は移動手段であると同時に、「移動範囲を管理する檻」でもあるのです。
五芒星を使えるのは誰か|五老星と神の騎士団
現時点で五芒星(アビス)の使用が確認されているのは、
- 五老星
- 神の騎士団(イム直属の私兵組織)
この両者は、イムと「深海契約」「深々海契約」と呼ばれる契約を結んでいると示唆されています。
興味深いのは、契約の格差です。神の騎士団は予告なしに強制召喚される一方、五老星は自らの意思で転移しています。
つまり五芒星(アビス)は、忠誠の証であると同時に、拘束具でもあるということです。
シャンクスの左腕に刻まれていた“政府の印”
エルバフ編の回想で判明した最大の事実のひとつが、シャンクスがかつて神の騎士団に所属していたという点です。
彼の左腕には、他の騎士団員と同様、世界政府との契約を示す刻印が刻まれていました。
この刻印は単なる入れ墨ではありません。五芒星(アビス)による転移・召喚の識別情報であり、言い換えれば「いつでも連れ戻せる証」です。
シャンクスは“刻印を消すため”に左腕を差し出したのか?
(出典:©︎ワンピース)
物語冒頭、シャンクスはルフィを救うために左腕を失いました。しかし今、その行動には別の解釈が生まれています。
もし左腕に刻印が残っていれば、シャンクスは世界政府にとって永遠に管理可能な存在だったはずです。
そこで浮上するのが、この仮説です。
シャンクスは五芒星(アビス)による支配から逃れるため、あえて刻印ごと左腕を失ったのではないか。
神の騎士団を離脱し、海賊として生きる以上、「強制転移の対象」であり続けることは致命的だったでしょう。
それでも残る違和感|英雄性は失われるのか?
この説には、明確な葛藤があります。それは、シャンクスの行動が計算だったのかという問題です。
打算的に腕を失ったのであれば、あの名シーンの意味は大きく変わってしまいます。
しかし、「ルフィを守った結果、結果的に刻印も消えた」と考えれば、物語としての整合性は保たれます。
シャンクスは支配を理解したうえで、それでも“自由”を選んだ男。その象徴が、失われた左腕なのかもしれません。
五芒星(アビス)が示す世界政府の本質
五芒星(アビス)は単なる便利能力ではありません。それは世界政府が世界をどう縛ってきたかを示す装置です。
- 行き先は決められている
- 呼び出しは拒否できない
- 自由な移動は許されない
この構造は、航海によって自由を掴む海賊たちと真逆です。
五芒星(支配)とニカ(自由)の決定的対比
五芒星(アビス)が象徴するのは「管理された移動」です。一方、ニカが象徴するのは「自ら進む自由」です。
転移とは、最短距離で目的地に着く力。航海とは、遠回りでも自分で進む行為。
この対比は、今後の物語構造そのものを示している可能性があります。エルバフという“誇りと意志の国”でこの設定が明かされたことも、決して偶然ではないでしょう。
まとめ|シャンクスの左腕は「失われた自由の代償」か
- 五芒星(アビス)は世界政府の転移支配システム
- 刻印は契約であり、拘束である
- シャンクスはその支配構造を知った男
- 左腕の喪失は、自由を選んだ結果とも読める
エルバフ編以降、五芒星(アビス)の真の役割がさらに明かされれば、シャンクスという人物の評価は、もう一段深いところへ進むはずです。
【ワンピース】シャンクスはなぜ左腕を失ったのか?五芒星(アビス)の正体と世界政府の転移支配を考察
※本記事は漫画『ONE PIECE』エルバフ編までの重要なネタバレを含みます。 エルバフ編で浮かび上がった「五芒星(アビス)」という支配装置 エルバフ編に入り、世界政府の裏側がこれまで以上に具体的な“仕組み”として描かれ始めました。その中でも、物語の根幹を揺るがしかねない存在が**五芒星(アビス)**です。 この五芒星は単なる能力演出ではありません。「誰が」「どこへ」「いつでも」呼び出される世界。 それを可能にする、転移による支配システムそのものだと考えられます。 そしてこの仕組みを読み解く鍵が、シャンク
イーダに何が起きた?毒の黒幕・女将交代の裏事情まで『ワンピース』エルバフ編を読み解く
エルバフ編が大きく物語を揺さぶる展開を見せ、これまで名前すら語られなかった巨人族の過去や人間関係が次々と明らかになり始めました。その中でも読者の視線を強く集めているのが――エルバフで初登場した巨人族の女性、イーダです。 彼女は、優しく聡明でありながら、筋の通らないことにははっきり意見する強さも持つ人物。しかし、物語の中で 突然の体調悪化 に見舞われ、酒場の女将を別の人物へ託す展開 が描かれました。さらに、彼女が弱り始めた理由には “毒”が関わっていた とされ、黒幕の存在まで示唆されています。 この記事では
「ワンピース」麦わら大船団、メンバーを完全解説!全7船の戦力・懸賞金まとめ
『ONE PIECE』の物語がクライマックスへ向かう中、勢力図の中心に浮かび上がってきたのが 麦わら大船団 です。 5600名・70隻という大規模な独立勢力でありながら、ルフィとの“ゆるいつながり”を核に世界各地で行動する稀有な存在。後に「歴史に名を刻む大事件を起こす」と描写された彼らは、物語終盤で避けては通れないキーワードになりつつあります。 この記事では、麦わら大船団を ① 一目でわかる戦力一覧(表) ② 各船の特徴・懸賞金 ③ 大事件の伏線と船団が果たす役割 の3軸で徹底解説します。 【まず知りたい
ワンピース首領マーロン考察|正体・死亡説・ベッジ父親説を徹底検証
『ONE PIECE』は連載25年以上にわたって読者を魅了し続けてきましたが、物語が終盤に差し掛かる現在でも新たな謎や考察ポイントが尽きません。その中でも最近話題を呼んでいるのが、「首領(ドン)・マーロン」 という存在です。 ロックス海賊団の過去編や関連情報と絡めてファンの間で語られているマーロンは、公式本編には明確に登場していないにもかかわらず、死亡説や親子関係説など多くの考察を生んでいます。 この記事では、首領マーロンに関する噂や考察を徹底的に整理。 「正体」「死亡説」「クリークやベッジとの関係」「悪
【バッカニア族の正体】くまの種族に隠された“大罪”と世界政府が恐れる理由とは?
「バッカニア族って何者?」 「くまの過去、ヤバすぎない?」 「なんで世界政府がそこまで毛嫌いしてるの?」 ──そんな疑問を抱えたあなたのために、今回はくまのルーツ=バッカニア族について徹底考察! エッグヘッド編で明らかになったこの種族、実は“世界のタブー”に深く関わる存在だった…!? この記事では、バッカニア族の正体や「大罪」とされる過去、さらには悪魔の実や世界政府との関係まで、最新情報と考察を交えてわかりやすく解説します。 バッカニア族とは?世界政府が「存在ごと消したい」種族 まずは基本からおさらい。
【ワンピース考察】ゴッドバレー事件の真実!ロジャーとロックスを動かした「宝」とは誰だったのか?
※本記事は『ONE PIECE』最新話(1157話)までの内容を含みます。未読の方はご注意ください。 ゴッドバレー事件――“歴史の空白”に潜む最大の謎 『ONE PIECE』の世界には、表向きの歴史から意図的に抹消された出来事が数多く存在します。その中でも、ひときわファンを惹きつけてやまないのが 38年前の「ゴッドバレー事件」 です。 ロジャー、ロックス、ガープといった伝説級の人物が一堂に会したとされるこの事件。しかし、なぜ彼らが同じ場所に集結する必要があったのか――長年その理由は謎に包まれてきました。






