
■ 新たな幕が上がる―礼真琴、CULENへ
2025年10月28日10時、元宝塚歌劇団星組トップスター・礼真琴(れい・まこと)が、株式会社CULEN(カレン)への所属を正式に発表した。
同事務所には稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾らが所属しており、礼はCULEN初の女性アーティストとして新たな一歩を踏み出す。
礼は所属発表に際し、次のようにコメントしている。
「これまで学んだ経験を胸に、新たな世界で出会いや挑戦を大切にしながら、一歩ずつ進んでいけたらと思っております。応援してくださる皆さま、待っていてくださった皆さまに感謝を込めて。これからもどうぞよろしくお願いいたします。」
彼女のオフィシャルファンクラブ「Rcrew」も同日オープンし、退団後初の公式活動が始動した。
礼真琴という表現者――舞台に生きるストイックな感性

2009年、宝塚歌劇団に95期生として首席入団。星組に配属されて以降、その圧倒的な歌唱力と舞台上での集中力で、観客の心を惹きつけてきた。
特に2021年上演の『柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!』では、確かな演技力と声の表現が高く評価され、文化庁芸術祭賞・演劇部門新人賞を受賞。舞台表現者としての存在感を決定づけた。
礼の舞台には、緻密な役づくりと徹底した自己研鑽が息づいている。ファンの間では「ストイックな姿勢が印象的」と語られる一方で、舞台裏では穏やかな笑顔で共演者を支えることも多く、温かみある人柄が慕われてきた。
その“緊張とやさしさ”のバランスが、礼真琴という人の大きな魅力だ。
退団とその後――自らの地図を描き始めるまで
2025年8月10日、東京・『阿修羅城の瞳/エスペラント!』の千秋楽をもって、礼は宝塚歌劇団を退団。
約16年にわたる宝塚人生に区切りをつけたのち、わずか約2か月後の2025年10月28日にCULENへの所属を発表した。
星組トップとして作品を牽引し、数々の挑戦を重ねてきた彼女が次に選んだのは、「自分の言葉で、音楽や演技を届ける場所」。
宝塚という枠を離れた今も、“舞台で生きる”という軸は変わらない。
その新たな挑戦は、礼真琴が「一人の表現者」としてどのように進化するのかを示す第一歩となる。
ミュージカル『バーレスク』で見せる新境地
そして、礼真琴の退団後初の主演舞台となるのが、ミュージカル『バーレスク』日本キャスト版。
ウエストエンドで上演され話題を呼んだ本作の海外初演を日本が担い、礼は主人公アリ・ローズ役を演じる。
オーディションでは、映画版の脚本・監督を務め、舞台版のプロデューサーでもあるスティーヴン・アンティンをはじめとする英国制作陣から、
「圧倒的な歌唱力と観客の視線を惹きつけるスター性」が高く評価されたと公式に発表されている。
2026年5月の東急シアターオーブ公演を皮切りに、梅田芸術劇場メインホール(7月)、博多座(7〜8月)へと巡演予定。
脚本はスティーヴン・アンティン、エグゼクティブプロデューサーはクリスティーナ・アギレラ、演出をトドリック・ホールが手掛ける。
世界水準のスタッフとともに描かれる舞台で、礼が“女性として生きるアリ”をどう体現するのか、注目が集まっている。
“男役”を超えて――礼真琴が見つめるこれから

長年「男役」として舞台に立ってきた彼女が、今度は“女性としての役”を演じる。
そこには、単なる役柄の転換を超えた深い意味がある。
礼はかつてインタビューで、「枠にとらわれず、表現で心を動かすことが一番大切」と語っていたことがある。
『バーレスク』のアリ・ローズという役は、まさにその言葉を体現するような存在だ。
歌い、踊り、舞台で生きる。
その中心にあるのは、宝塚時代から変わらぬ信念——「音楽と言葉で人の心を動かす」という想い。
場所が変わっても、礼真琴の表現の軸はぶれない。
礼真琴が示す“表現者の自由”
礼真琴の歩みは、単なる「元宝塚スターの転身」ではない。
彼女が今、描き始めているのは“表現者としての自由”そのものだ。
宝塚という伝統の中で培った美学と規律を礎に、自らの声と感性で新しい表現を追求していく姿は、性別やジャンルの壁を超えた新しいアーティスト像を提示している。
CULENというクリエイティブな環境のもと、彼女は“誰かの型”ではなく、“自分自身の表現”で舞台に立つ。
その挑戦は、演劇界全体にとっても大きな意味を持つだろう。
礼真琴というアーティストが、どんな未来を描いていくのか——その地図は今、静かに広がり始めている。



































