2025年10月7日(火)夜9時から放送が始まったフジテレビ系ドラマ『新東京水上警察』。
水上警察というこれまでにない舞台設定と、個性派キャスト陣の掛け合いで注目を集める本作。
第1話から第2話にかけては、介護施設を舞台にした連続殺人事件が描かれ、社会問題をも浮き彫りにしました。
本記事では、柴田理恵さんの怪演が話題となった初回エピソードから、2話で展開する“介護施設連続殺人”の真相、そしてチーム碇の人間模様を、ネタバレ込みで徹底レビューします。
第1話:水上署、始動!──チーム碇が動き出す
チーム碇の自己紹介が“人間模様”の縮図
新設された「東京水上警察署」に配属された碇拓真(佐藤隆太)は、バツ2・3人の子持ちという異色の経歴を持つ刑事。
彼のもとに集まったのは、エリート志向の若手・日下部峻(加藤シゲアキ)、元海技職員の有馬礼子(山下美月)、陽気な遠藤(齋藤瑠佑)、冷静な藤沢(中尾明慶)、姉御肌の細野(山口紗弥加)ら、個性がぶつかり合うメンバーたち。
碇係長が「バツ2で3人の子持ち」と自己紹介すると、課内の空気が一気にざわつく。
中間管理職の高橋課長(皆川猿時)が体裁を気にして慌てる姿や、部下たちのリアクションから、早くも“チームの空気感”が見えてきます。
バラバラな価値観を持つメンバーたちが、どうやって“ひとつの船”としてまとまっていくのか──。このチームビルディングこそが、今後の見どころの一つです。
柴田理恵の怪演が視聴者を震わせた
初回のゲストとして登場したのは、柴田理恵さん。
介護施設の入居者・服部を演じ、怯えと狂気の間を揺れる演技で視聴者を圧倒しました。
眼鏡を外し、肌をくすんだ色調に変え、髪は乱れ放題。
「次は私が殺される…」と怯える姿は、誰もが“柴田理恵と気づかなかった”ほどの変貌ぶり。
SNSでも「別人みたい」「表情だけで物語を動かす演技」と絶賛が相次ぎました。
事件の発端は、東京湾に漂流していた発泡スチロール箱の中から“指のようなもの”が見つかるという衝撃の展開。
そこから、介護施設をめぐる不可解な死と人間模様が明らかになっていきます。
玉虫署長と高橋課長、笑いのゆるみが魅力
玉虫署長(椎名桔平)は、もともと海技職員出身の異色の経歴。
一見ビシッとした上司に見えるが、実際は波風を立てない「事なかれタイプ」。
「課でなく署!」と唱和させるなど、部下からのツッコミを誘う場面も。
さらに、高橋課長(皆川猿時)は、逮捕状を式典書類に紛れさせて署長に押印させてしまうというお調子者。
刑事ドラマの緊張感の中で、こうした“ちょっと抜けた大人たち”の存在が、作品に温度差とユーモアを与えています。
第2話:介護施設連続殺人編、真相へと動く
3話構成の長編スタイルに賛否も
第2話では、1話で提示された事件が本格的に動き出します。
どうやらこの“介護施設連続殺人”は、3話にわたって描かれる長編エピソードのよう。
1話完結型を好む視聴者からは「少し長い」との声も出ましたが、
脚本が丁寧に人間関係と背景を描こうとしていることは確か。
“水上署らしさ”よりも“社会派ヒューマンドラマ”の色が強い回でした。
「子どもの声がうるさい」──現実にも通じる社会問題
事件の鍵を握るのは、介護施設と隣接する幼児施設との騒音トラブル。
「子どもの声がうるさい」と苦情を受け、園は子どもたちの外遊びを制限。
脳機能の低下や孤独が原因で、わずかな音にも過敏になる高齢者。
それを理解できない社会とのズレが、事件の背景に静かに横たわります。
柴田理恵さん演じる服部の「外に出たい」「施設に戻りたくない」という言葉には、
老いと自由のはざまで揺れる“人間の尊厳”がにじみました。
服部の“自由への逃避”と銃の引き金
服部が施設を抜け出した理由は、単なる逃避ではありませんでした。
「好きな時間に好きなものを食べ、好きな人と話す」──そんな当たり前の自由を奪われた現実に、
彼女は限界を感じていたのです。
ラストで彼女が自ら銃を手にした場面には、単なるサスペンスを超えた“静かな絶望”が描かれていました。
柴田理恵さんの演技が、その孤独を痛いほど伝えた回でした。
チーム碇のやり取りに光る人間味
重たいテーマの合間に挿入される、チーム碇の“コントのような会話劇”も健在。
遠藤(齋藤瑠佑)の熱血コメント、細野(山口紗弥加)と藤沢(中尾明慶)の小気味よい掛け合いなど、
刑事ドラマでは珍しい軽妙なチーム感が作品の特徴です。
黒木(柿澤勇人)の情報分析や冷静な立ち位置も気になる要素。
それぞれの専門分野と個性が、今後どう噛み合っていくのかに注目です。
日下部と有馬、恋と嫉妬の狭間
同署で恋人関係にある日下部(加藤シゲアキ)と有馬(山下美月)は、
警察内で“夫婦勤務が禁止”というルールに直面。
結婚を望みながらも異動を模索する日下部の焦り、
碇を意識し始める有馬の視線──。
ディナーシーンでの日下部の嫉妬は、刑事ドラマらしからぬ“恋愛劇の味付け”として機能。
ただの事件ものにとどまらず、人間関係の綾を描くエッセンスになっています。
第1〜2話の総評:海の上で交わる「正義と現実」
第1話で視聴者を驚かせた“水上署の新設”という設定は、
単なる舞台装置ではなく、現代社会の“境界”を象徴していました。
海上=人の目が届かない場所、
そこに“老い”“孤立”“逃避”といったテーマを重ねることで、
ドラマは現代日本が抱える見えない闇を浮き彫りにしています。
そして、碇を中心にしたチームは、まだ未完成。
エリートと現場、男と女、理想と現実──それぞれがすれ違いながらも、
少しずつ“ひとつの船”として動き始めている。
『新東京水上警察』が描く“海と人間”のリアル
水上警察という舞台は、単なる新しさではなく「孤立」と「流動性」のメタファーです。
水上は自由である一方、足場のない不安定な世界。
それは、施設に閉じ込められた人々、社会の中で声を上げられない高齢者の姿とも重なります。
また、海という場所は“罪を流す場所”としての象徴性も持ちます。
漂流物、沈む記憶、波に消える真実──。
第1話の“指の箱”は、そんな「忘れ去られた罪の象徴」だったのかもしれません。
そしてもう一つのテーマは「再生」。
チーム碇の面々が互いの弱点を補い合いながら、
組織の歪みを乗り越えていく姿は、まるで現代社会の縮図。
笑いと涙、事件と絆、その両方がこの作品の魅力です。
視聴率とSNS反応(更新予定)
現時点で第1・2話の公式視聴率は未公表。
ただしSNS上では、「柴田理恵の演技が怖いほどリアル」「水上署の設定が斬新」「加藤シゲアキが良い」といった感想が多数。
初回から作品全体の完成度を評価する声が多く、今後の展開に期待が高まっています。
まとめ
第1〜2話は、社会派ドラマとしての骨太さと、エンタメ要素の軽やかさが共存。
柴田理恵さんの怪演が、物語のトーンを決定づけた。
チーム碇の関係性は今後ますます深化の予感。
“水上”という舞台が、現代の人間ドラマを映し出す鏡となっている。
次回、第3話では連続殺人事件の真相が明かされると同時に、碇たちのチームワークが本当の意味で試されることになりそうです。