
俳優・白洲迅が、キャリアの新たな局面に立っている。
爽やかな青年役からスタートし、恋愛ドラマや群像劇で着実に存在感を築いてきた彼。だが30代に入り、その演技はより複雑な領域へと踏み込んでいる。善と悪のあいだで揺れ動く人物、感情の振れ幅が大きい役どころ、そして“追い詰められた男”。
その現在地を象徴するのが、2026年4月24日(金)スタートのテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『余命3ヶ月のサレ夫』だ。
余命宣告と妻の不倫という二重の衝撃に直面する主人公・高坂葵。この極限状態をどう演じるのか。そこに、白洲迅の進化がある。
デビューから現在まで──白洲迅の歩み

白洲迅は1992年生まれ、東京都出身。
2010年に開催された「第22回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でベスト30に選出されたことをきっかけに芸能界入りし、俳優としてのキャリアをスタートさせた。
その後、テレビドラマや映画、舞台に出演を重ね、着実に経験値を積み上げてきた。若手時代は明るく爽やかな役柄が目立ったが、年齢とともに、葛藤や陰影を抱えた人物を演じる機会も増えている。
近年の白洲の魅力は、感情を過度に誇張しない点にある。怒りや悲しみを大きく表現するのではなく、視線や間の取り方でにじませる。その抑制された表現が、作品に静かなリアリティをもたらしている。
『余命3ヶ月のサレ夫』で挑む極限の状況
『余命3ヶ月のサレ夫』は、こるによる同名コミックを原作とするリベンジ・ラブサスペンス。国内累計1億ビュー超を記録した話題作のドラマ化だ。
白洲迅が演じる高坂葵は、建築会社に勤める家庭的な夫。家事や育児にも積極的に関わる存在として描かれる。
しかし、体調不良をきっかけに受けた診察で余命3ヶ月と宣告される。さらに、妻・高坂美月(桜井日奈子)に長年の不倫関係があったことを知る。
絶望の底に落ちた男は、やがて怒りと決意を胸に、復讐という選択へと向かう。
本作には「不倫」「復讐」「遺産」といった刺激的な要素が並ぶが、制作陣が強調しているのは、人間の行動の背景にある理由や葛藤だ。なぜその選択に至ったのか。どのような環境が彼らを追い込んだのか。
白洲はインタビューで、「主人公の一番の原動力になるのは子ども」と語っている。自身も親である彼にとって、葵という役は単なる設定上の存在ではない。守るべき存在がいるという実感が、演技に奥行きを与える。
「サレ夫」という言葉の奥にあるもの
“サレ夫”“シタ妻”という言葉は、現代の不倫問題を象徴する俗語として広まっている。
白洲は今回、このワードを初めて知ったと明かしているが、彼が向き合おうとしているのはレッテルではない。葵は被害者である一方で、完璧な人物ではない。夫婦の関係性の中で積み重なったすれ違いもある。
優しさと弱さ。
信じたい気持ちと疑念。
怒りと迷い。
その揺らぎをどう表現するかが、本作の鍵となる。単純な善悪の対立ではなく、「人はなぜその選択をしたのか」という問いを内包する物語。白洲は、その中心で感情の機微を積み重ねていく。
桜井日奈子との再共演が生む緊張感
妻・高坂美月を演じるのは桜井日奈子。
二人は2019年放送の『ヤヌスの鏡』以来の共演となる。
当時は学生役だったが、今回は夫婦役として対峙する。しかも、愛憎が交錯する関係性だ。
白洲は桜井について、以前から芯の強さを感じていたと語っている。今回の役は従来のイメージとは異なる“悪役ヒロイン”。その挑戦を真正面から受け止め、ぶつかり合うことで、物語はより緊張感を帯びていく。
互いの信頼関係があるからこそ、感情の振れ幅が大きいシーンも成立する。その化学反応も見どころのひとつだ。
30代俳優としての現在地

白洲迅は、ヒーロー的な強さを誇示するタイプの俳優ではない。むしろ、揺らぎや迷いを抱えた人物像に説得力を持たせることに長けている。
『余命3ヶ月のサレ夫』の高坂葵は、泣き、迷い、傷つきながらも立ち上がろうとする男だ。その姿は決して華やかではないが、だからこそ現実味がある。
視聴者が求めるのは、完璧なヒーローではなく、等身大の人間像かもしれない。白洲迅が描く“追い詰められた男”は、その時代感覚と静かに重なっている。
30代に入り、キャリアを重ねながらも挑戦を止めない姿勢。
極限の心理状態を演じる今回の役は、俳優・白洲迅の表現力の幅をあらためて示す作品になるだろう。
優しさだけでは守れないものがある。
それでも守ろうとする男の物語。
そのリアリティを、彼はどう刻み込むのか。答えは、画面の中にある。
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