DeFiブームの裏で広がる“脆弱性”
2025年に入ってもスマートコントラクトは依然としてDeFiやNFT、ゲーム、DAOといった分野の中核を担っています。
しかし、利便性と革新性の裏にはセキュリティリスクが潜んでいることも忘れてはいけません。
今年に入ってすでにいくつかの大規模ハッキング事件が発生しており、再び「スマートコントラクトの脆弱性」が注目を集めています。
2025年注目のハッキング事例
1. Polaris Financeの資金流出事件(1月)
概要:クロスチェーンブリッジを悪用され、約3,000万ドルが不正流出。
原因:古いスマートコントラクトにおける再入可能性の未対処。
教訓:監査済みのコードでもアップデートの継続が重要。
2. YieldMe Protocolのフラッシュローン攻撃(2月)
概要:フラッシュローンを活用した価格操作で2,000万ドル近い損害。
原因:オラクルの参照価格と取引所価格の乖離。
教訓:価格オラクルの設計が生命線になる時代に。
脆弱性の主要パターンと傾向
脆弱性の種類 | 内容 | 被害例 |
---|---|---|
再入可能性 | 外部呼び出し時に状態を更新しない設計 | The DAO(過去最大) |
オラクル依存 | 価格情報の不正取得や改ざん | bZx、YieldMe |
アクセス制御の欠如 | 管理者権限を適切に制限していない | Meerkat Finance |
フロントランニング | 高速注文で利益をかすめ取られる | DEX全般 |
2025年の新たな対策と技術トレンド
Formal Verification(形式検証)の本格導入
数学的にコードの正しさを証明するプロセス。
高額プロジェクトではすでに導入が進む。
Audit-as-a-Serviceプラットフォームの台頭
自動でセキュリティ診断するサービスが普及。
ブロックチェーン上で監査履歴が見える化。
Bug Bountyの拡充
報奨金を引き上げ、ホワイトハッカーとの連携強化。
開発者・投資家が気をつけるべきポイント
新しいプロジェクトには複数の監査履歴を確認
コードがGitHubなどで公開されているかチェック
プロジェクトの過去の対応履歴(バグ報告など)も見る
スマートコントラクトの更新可否(アップグレード機能)に注目
まとめ:便利な時代だからこそ“用心深く”
スマートコントラクトはまさにDeFiやWeb3の“エンジン”です。
しかしその恩恵にあずかるには、同時に「使う側の知識と注意」も求められる時代になっています。
2025年は、セキュリティの「強化」と「攻撃」がさらに高度化する戦いの年。
開発者も投資家も、“安全”という最大の資産を見失わないようにしましょう。