注目度の高まる俳優・杉野遥亮
近年、映画やドラマに欠かせない存在となりつつある俳優・杉野遥亮。
モデル出身という経歴を持ちながら、今では繊細な心情表現と圧倒的な存在感で幅広い役柄をこなす実力派へと進化している。
そんな彼が新たに挑んだのが、NHK BSで2025年10月5日と12日に放送される特集ドラマ『永遠についての証明』だ。岩井圭也のデビュー作を原作にした本作で杉野が演じるのは、数学の天才・三ツ矢瞭司。天才ゆえに周囲から孤立し、数式だけを頼りに生きる青年の姿を通じ、杉野はまた一つ、新しい顔を観客に提示している。
この記事では、杉野遥亮のこれまでの歩み、俳優としての進化、そして『永遠についての証明』で描かれる“天才の孤独”を中心に、その人物像を深掘りしていく。
モデルから俳優へ──杉野遥亮の出発点
杉野遥亮が芸能界に足を踏み入れたのは、2015年の「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」でのグランプリ受賞がきっかけだった。当時は長身と爽やかなルックスが注目を集め、ファッション誌の表紙を飾るなどモデルとして一躍人気を博した。
しかし、彼の目標はモデル業にとどまらなかった。翌2016年にはドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』で俳優デビューを果たす。その後、映画『キセキ -あの日のソビト-』や『兄に愛されすぎて困ってます』など話題作への出演が続き、「ただのモデル出身」ではない俳優としての素質を早くから印象づけた。
演技へのこだわりと進化
俳優業に本格的に取り組む中で、杉野は役に対するアプローチを着実に磨いていった。彼の特徴は、キャラクターを「表層的に演じる」のではなく、「人間として理解し、寄り添う」姿勢にある。
例えば映画『羊とオオカミの恋と殺人』(2019年)では、平凡で冴えない青年から、サイコパス的なヒロインと出会い翻弄される役を自然体で演じ、コミカルさと狂気の両面を表現。2021年のドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』では、不器用ながらも真っ直ぐな青年を繊細に描き、視聴者から大きな共感を得た。
役ごとに“異なる人格”を生きる姿勢は、経験を重ねるごとに深みを増している。今回の『永遠についての証明』で挑む三ツ矢瞭司役もまた、その集大成の一つといえるだろう。
『永遠についての証明』で描かれる“天才の孤独”
原作の魅力とドラマ化の意義
原作は、第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞した岩井圭也の同名小説。数学をテーマに、友情・嫉妬・孤独といった青春の光と影を描いた作品だ。ドラマでは、数式に魅せられた若者たちが、互いの才能や生き方に揺さぶられながら成長していく姿が描かれる。
杉野が演じる主人公・三ツ矢瞭司は、誰よりも数学を愛し、その才能ゆえに他者との距離を生んでしまう人物。友情を求めながらも、数式の世界に没頭してしまう“天才の孤独”が物語の核をなす。
杉野遥亮が語る役への思い
杉野は三ツ矢瞭司を演じて、「数学だけではなく色んなことが見えていたのかなと感じた」とコメント。役を通じて、天才ゆえの哀しみや矛盾に触れたという。さらに「演じる前よりも瞭司が好きになった」と語り、役と深く共鳴していたことがうかがえる。
彼が瞭司をどう理解し、どう表現するかは、杉野の俳優としての成熟度を示す重要なポイントとなる。
共演者が語る現場の空気
本作には、竜星涼、関水渚、小澤征悦、筧利夫、岸本加世子といった実力派が集結。杉野との化学反応が作品をさらに豊かにしている。
- 竜星涼(熊沢勇一役)は、天才を前に嫉妬し葛藤する人間らしさを表現。「三者三様の生き方を、自分に重ねながら楽しんでほしい」と語った。
- 関水渚(斎藤佐那役)は、未来を信じて突き進むキャラクターを演じ、「撮影期間はご褒美のようだった」と振り返る。
- 小澤征悦(小沼教授役)は「仲間と同じ目標に向かう素晴らしさ」を語りつつ、三ツ矢の孤独を“天才ゆえの哀しみ”として表現。
共演者の言葉からも、杉野が中心に据えられた人間ドラマとしての深みが伝わってくる。
俳優・杉野遥亮の現在地
『永遠についての証明』は、杉野にとって単なる主演作ではない。彼がこれまで培ってきた「役に寄り添う姿勢」と「人間を描く力」が試される作品だ。
三ツ矢瞭司という役柄は、感情表現を抑制しつつ、内面に複雑な孤独や葛藤を抱える難役。これを自然に演じ切ることは、彼の俳優としての成熟を証明するものとなるだろう。
また、彼のキャリア全体を振り返ると、作品ごとに「挑戦のテーマ」が存在することが分かる。恋愛ドラマでの爽やかな青年像から、社会派作品での人間的な弱さや矛盾の描写まで、彼は常に新しい表情を見せ続けてきた。今回の作品で描かれる“天才の孤独”も、杉野がこれまで積み重ねてきた役の幅をさらに広げる一歩だ。
杉野遥亮と“孤独を抱える役柄”の相性
杉野のキャリアを振り返ると、「孤独を抱えた人物」を演じる機会が多いことに気づく。
『羊とオオカミの恋と殺人』の青年も、『東京リベンジャーズ』でのキャラクターも、どこか社会からずれ、孤独を内包する存在だった。
これは彼自身が持つ繊細な表情や声のトーンが、役の“孤立感”をリアルに映し出せるからだろう。視聴者はその孤独に共感し、寄り添いたくなる。今回の三ツ矢瞭司もまさにその系譜にあり、杉野の持ち味が最大限に発揮される役といえる。
さらに、杉野はインタビューなどで「役を通じて自分の知らない世界を学ぶことが楽しい」と語っている。数学者というこれまでにない役柄を演じることで、また一つ新しい境地に達したことは間違いない。
進化し続ける俳優・杉野遥亮
杉野遥亮は、モデルから俳優へと歩みを進めて約10年。今や“旬の俳優”を超えて、確かな表現力を持つ存在へと成長している。
『永遠についての証明』で演じる天才数学者・三ツ矢瞭司は、彼のキャリアにおいて大きな意味を持つ役柄だ。孤独と才能に翻弄される青年の姿を通して、杉野は観る者に問いを投げかけるだろう。
俳優としての進化を続ける杉野遥亮。その一歩先の姿を、ぜひ本作で確かめてほしい。
放送情報
特集ドラマ『永遠についての証明』
- 前編:2025年10月5日(日)22:00〜22:45
- 後編:2025年10月12日(日)22:00〜22:45
- 放送:NHK BSP4K、NHK BS
- 出演:杉野遥亮、竜星涼、関水渚、筧利夫、岸本加世子、小澤征悦
- 原作:岩井圭也『永遠についての証明』
- 脚本:山岡潤平
- 演出:塚本連平
杉野遥亮が魅せる“天才の孤独”─俳優としての進化を追う
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