14歳で乃木坂46に加入した筒井あやめが、20歳という節目を迎え、自身初の1st写真集を世に送り出した。
その作品に刻まれたのは、ただの「成長の記録」ではない。乃木坂46という巨大な歴史を背負い、未来へと橋を架ける“継承者”としての彼女の覚悟と意思だ。
あどけなさを残しながらも、どこか凛としたまなざし。少女が背伸びした大人びた表情ではなく、心の奥底にある“自分の役割”を静かに受け入れた20歳の姿が、そこにはあった。
■少女から“大人の顔”へ:写真集に刻まれた感情のグラデーション
撮影地に選ばれたのは、スペイン。
バルセロナの色鮮やかな街並み、ジローナの石畳の小道、マヨルカ島の海風——その異国の空気が、筒井あやめの内面をやさしく引き出していった。
特に注目すべきは、彼女が自ら選んだボディメイクの方向性だ。
「細さ」よりも「しなやかな女性らしさ」を重視し、あえて体重を2kg増やして撮影に臨んだという。
“細い=美しい”という価値観から少し距離を置き、自分の“らしさ”を体型でも表現したかった。
そう語る彼女の選択は、アイドルとしてだけでなく、ひとりの女性としての“自立”を象徴するものである。
また、水着やランジェリーといった初挑戦の衣装にも挑んだが、そこにあるのは挑発でも、背伸びでもない。
むしろ「ふだんの自分に近い表情を出せた」と振り返るその姿勢には、素の自分をまっすぐに肯定する強さがにじむ。
■ 乃木坂の「今」と「これから」をつなぐ存在として
7年目の活動に入った今、筒井あやめは後輩たちから「先輩」と呼ばれる立場になった。
5期生、そして2025年2月に加入したばかりの6期生の存在が、彼女にひとつの自覚をもたらしている。
“継承”って、ただ教えることじゃないんです。
先輩たちが残してくれたものを、自分の中にきちんと通したうえで、次に繋ぐことだと思うんです。
ダンスにおいても、彼女のこだわりは徹底している。
ライブ前には過去の映像を見返し、オリジナルの振り付けを細部までなぞる。たとえ見えない部分であっても、「先輩たちの形を崩したくない」という強い意志がそこにはある。
そんな彼女にとって、6期生との距離感は今後の課題であり、希望でもある。
自分から歩み寄っていきたい。
5期生のときは私が甘えてしまったから、今度はちゃんと寄り添える人になりたい。
少女だった筒井あやめは、今、自ら「次の乃木坂」を形づくる側に立とうとしている。
■ “解放”と“覚悟”の20歳:変わりゆく自分とどう向き合ったか
外では笑顔で、何事もそつなくこなしているように見える彼女。
だがその内側では、長く“感情を閉じ込める癖”が染みついていたという。
気づいたら、マイナスな感情を出さないようにしていたんです。
写真集のテーマのひとつが「感情のグラデーション」であるのは、偶然ではない。
異国の街で開放的な空気に触れ、現地の人と目が合えば自然と微笑み返す——そんな“小さな解放”の積み重ねが、彼女を変えた。
感情を出すことって、実は強さでもあるんですよね。
ファンへの感謝、グループへの責任、自分自身への信頼——それらを丁寧に抱きしめながら、20歳の彼女は、いま“素直な自分”を見せようとしている。
■写真に刻まれた「乃木坂愛」は、言葉を超えて
この写真集における最大のメッセージは、「私は乃木坂46の未来を繋ぎます」という、言葉にならない覚悟である。
派手な演出も、大胆な露出もない。
けれど、ページをめくるたびに、ひとりの女性の静かな芯の強さがにじみ出る。
それは、初期の乃木坂を思い出させる“儚さ”と、現在の乃木坂が目指す“知性と品格”の両方を兼ね備えた、非常に稀有な存在だからこそ出せる空気感だ。
彼女が「受け継ぐ」側であると同時に、いつか「託す」側になることもまた、避けられない未来だ。
だからこそ今、「乃木坂らしさ」とは何かを問い続けることを止めない。
“自分たちが作ったグループではないからこそ、もっと良くしたい”
その謙虚さと野心のバランスが、まさに筒井あやめの核心である。
■ 少女ではない、でも“大人”とも違う。そんな20歳のリアル
1st写真集『感情の隙間』には、タイトル通り、言葉では掬いきれない「間」が詰まっている。
それは、少女と大人のはざまに立つ筒井あやめという存在の、今この瞬間にしか撮れなかった奇跡かもしれない。
乃木坂46というグループの歴史を静かに受け継ぎ、
誰かのために自分を変え、
それでも「素の自分」でいることを選ぶ——
この作品は、そんな“継承者”としての20歳の肖像だ。