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『なんで私が神説教』は伊藤淳史と渡辺翔太の“変貌”に注目すべし!過去作と比較してわかる演技の振れ幅

なんで私が神説教

■ 静かに熱い火花──「正義」がぶつかるドラマの核心

日テレ系で放送中のドラマ『なんで私が神説教』が、視聴者の間でじわじわと話題を集めている。

その大きな要因のひとつが、俳優・伊藤淳史とSnow Man・渡辺翔太という異なる背景を持つ二人の役者が、これまでのイメージを大きく覆す“変貌ぶり”を見せていることだ。

熱血・冷徹・理性・情熱──価値観が正面衝突する彼らの演技の奥行きに、「これまでとは違う」「予想外に引き込まれる」と注目の声が相次いでいる。

■ 伊藤淳史が演じる「冷笑の支配者」森口先生

かつては『電車男』『ビリギャル』など、柔らかくて誠実な「好青年」役が多かった伊藤淳史。

しかし今回の森口先生は、そんなイメージとは正反対の冷徹キャラクター。登場時は地味で無気力な印象を与えたが、第2話以降、学校改革委員長に就任するや否や豹変。経営コンサル出身という異色のバックボーンを活かし、「教育の場」を「会社」として仕切るビジネスライクな視点で、学校を統治し始める。

特に注目すべきは、表情のわずかな動きとセリフの“冷笑的間(ま)”を絶妙に使った演技。これまで伊藤が演じてきた「人の良さ」とは異なる、威圧感すら覚える芝居が光っている。

その姿には、2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で見せた、非道な商人・大文字屋市兵衛の片鱗も。ここ数年で伊藤淳史が“善人”から脱皮し、演技の振れ幅を格段に広げていることは明白だ。

■ 渡辺翔太が挑む“真っ直ぐすぎる情熱家”浦見先生

一方、渡辺翔太演じる浦見先生は、常に笑顔で生徒との距離も近い人気教師。

『なんで私が神説教』は伊藤淳史と渡辺翔太の“変貌”に注目すべし!過去作と比較してわかる演技の振れ幅

…かと思いきや、その内面は意外なほど熱く、まっすぐで、時に暴走ぎみ。生徒に感情的になり、思わず殴りかかりそうになる場面すら描かれる。

渡辺自身も「今までにあまりない役」と語っている通り、2024年の『先生さようなら』で演じた田邑先生のような穏やかさとは一線を画す。表向きは明るくフレンドリーだが、時に策略的な判断を下す面もあり、「単純に見えて複雑」という役柄だ。

特に第4話では、生徒の嘘を見抜き、あえてハッタリをかける場面が話題に。熱意に振り切るだけではない知略的な一面を垣間見せ、俳優としての深みを感じさせる。

■ “正義感”が正面からぶつかる構図が見応えに

森口は「秩序維持」を最優先し、不要と判断した生徒を排除しようとする。一方で浦見は「誰一人見捨てない」姿勢を貫く。どちらも一見すると“正しい”ようで、どちらも極端。だからこそぶつかり合い、視聴者にも「正義とは何か」を問いかける構造になっている。

演技の面でも、伊藤の“冷静さ”と渡辺の“情熱”が対照的に際立ち、二人のやりとりは毎回ヒリヒリする緊張感を生み出している。特に言葉を交わすシーンでは、目線や語気の強弱など細かな演技が火花を散らすように絡み合い、演技派としての進化がはっきりと伝わってくる。

■ 過去作との比較で見える「演技の転換点」

俳優名代表作これまでの主な役柄本作での転換ポイント
伊藤淳史『電車男』『ビリギャル』誠実で善良な好青年非情な現実主義者への変貌
渡辺翔太『先生さようなら』優しく柔らかい教師爆発的な情熱と策略の二面性

この比較表を見れば明らかなように、二人の演技は“印象の逆転”とも言える大きな変化を遂げている。

■ 今後の展開と俳優としての“次なるフェーズ”への布石

ドラマの物語が進行するにつれ、森口と浦見の対立はさらに激化していくだろう。だがこの対立構図こそ、二人の俳優としての変化を際立たせるための「演出の妙」でもある。

特に、善悪がはっきりしない現代的テーマの中で、彼らが演じる“ゆらぐ正義”のリアリティは、今後の日本のドラマシーンにおける新たな方向性を示すかもしれない。







🔍 教師ドラマにおける“正義”の多様化とは?

近年の教師ドラマでは、従来のような「生徒第一」「理想を追うヒーロー教師」像にとどまらず、よりリアルで複雑な価値観を描く作品が増えてきている。その背景には、「一つの正解では物事を語れない」現代社会の空気感がある。

『なんで私が神説教』もまた、そうした時代の潮流を象徴するドラマだ。麗美静(広瀬アリス)のように冷静に距離を取る教師もいれば、森口のようにシステムを重視する者もいる。浦見のように感情を優先する者もいる──そのいずれもが、決して完全ではなく、どこかに“未熟さ”や“葛藤”を抱えているのがリアルだ。

つまり、現代の教師ドラマは「理想の教育」よりも「現場のリアル」や「人間の多面性」に焦点を当てているのだ。

俳優たちはその多様性を演技で表現することが求められ、今回の伊藤・渡辺のように、従来のイメージを破壊しながら新しい一面を提示する必要がある。これは彼らのキャリアにとって、単なる“演技の挑戦”ではなく、“俳優としての地力”が問われる舞台でもある。

視聴者としては、今後の展開のみならず、「彼らがどこまで変われるのか」という成長物語としても、この作品を楽しめるのではないだろうか。

✨まとめ

『なんで私が神説教』は、伊藤淳史と渡辺翔太という異なる個性の俳優が、それぞれのキャリアを塗り替えるような“変貌”を遂げる場でもある。

演技の振れ幅と、描かれる“正義の衝突”──この二つの軸を通じて、視聴者の心を激しく揺さぶる作品になっているのだ。

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この記事を書いた執筆者・監修者
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ポプバ ドラマ部:佐伯・Pちゃん

脚本家の視点でドラマを深掘る、雑食系オタクライター。
幼少期からドラマと映画が大好きで、物語を追いかけるうちに自然と脚本を書き始め、学生時代からコンクールに応募していた生粋の“ストーリーマニア”。現在はドラマのレビュー・考察・解説を中心に、作品の魅力と課題を両面から掘り下げる記事を執筆しています。
テレビドラマは毎クール全タイトルをチェック。「面白い作品だけを最後まで観る」主義で、つまらなければ途中でドロップアウト。その分、「最後まで観る=本当に推したい」と思える作品だけを、熱を込めて語ります。
漫画・アニメ・映画(邦画・洋画問わず)にも精通し、“ドラマだけでは語れない”背景や演出技法を比較的視点で解説できるのが強み。ストーリーテリング、脚本構造、キャラクター心理の描写など、“つくる側の目線”も織り交ぜたレビューが好評です。
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