
「舞台に生まれ、舞台で育つ」─揺るがない原点
若葉竜也の俳優人生は、生まれた瞬間から始まっている。
大衆演劇一座である家庭の中で育ち、幼少期から舞台に立つ生活が日常だった。
観客の反応、空気の揺らぎ、舞台の温度。そうした“環境そのもの”が自然と身体に刻まれていく。
台詞より先に、舞台のテンポや呼吸を理解するような幼少期。
この「身体に染み込んだ感覚」が彼の演技の基盤となり、後の映像演技にも大きな影響を与えている。
舞台の身体性を、映像の静けさへ翻訳する
若葉は10代の頃から映像作品へも活動の場を広げ、映画やドラマへ本格的に登場し始めた。
大衆演劇のように“動きと表情”で観客をつかむ舞台とは異なり、映像は“わずかな呼吸”や“目線の揺れ”が演技として意味を持つ世界。
この違いに順応しながら、若葉は映像の中で「静けさの演技」を身につけていった。

その到達点として語られることが多いのが、映画『葛城事件』での青年・稔の役。
社会のひずみに追い込まれていく青年を、派手な演技ではなく沈黙や眼差しで表現し、TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。
作品としての評価も高いが、それ以上に若葉の演技が「映像での存在感」を確立した重要な転機となった。
“役に寄り添う”のではなく“呼吸が重なる”
若葉竜也は、役について多くを語らないタイプだ。
表現を言語化しない代わりに、作品ごとに役の輪郭を静かに掴み取り、その人物の“呼吸”を自分の中に探していく。
だからこそ、ときに「役と自分の境界が薄くなる」瞬間が訪れる。
その象徴ともいえる言葉を、若葉は最新作『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』について語っている。
「映画の台詞なのか、自分自身の言葉なのか。
モモなのか、僕なのか。撮影が終わった今も、わかりません。」
これは、彼が役を“演じる”のではなく“生きる”ように向き合っているからこそ出てくる言葉だ。
モモという存在──静かな熱を抱えたリーダー像
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が描くのは、1978年の東京ロッカーズ。
メジャー中心の音楽業界に風穴を開けた若者たちのムーブメントであり、日本のライブ文化やインディーズの礎を作った時代だ。
その中心にいた架空のバンド「TOKAGE」。
若葉が演じるモモは、そのボーカルであり、衝動・迷い・熱を抱えながら時代の波に向き合っていく存在だ。
モモは派手に叫ぶような人物ではない。
むしろ静かな内側に燃え続ける炎を持つ、繊細で、複雑で、それでも前に進む男。
若葉の演技は、まさにこのモモの“静かな熱”に驚くほど自然に重なっている。
長年育まれた舞台の身体性、映像で磨かれた繊細な表現。その両方が発揮されることで、モモという人物の「揺らぎ」が強く立ち上がってくる。
若葉竜也の“今”──強さよりも、揺らぎを生きる

ここ数年の若葉は、作品の規模に関係なく、どの役でも画面に確かな存在感を残している。
大声を出すでもなく、過剰な芝居をするでもなく、
“そこにいるだけで語る演技”を成立させられる稀有な俳優だ。
その理由は、身体の奥に舞台で育った確かな「芯」があり、
同時に、映像で求められる“削ぎ落とす表現”を徹底してきたからだ。
強さではなく揺らぎ。
派手な台詞よりも沈黙。
動きよりも目の奥のわずかな震え。
そのすべてが作品の空気を変える役割を果たしている。
新作が示す次のフェーズ──“刻む演技”の深化
『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は、若葉竜也がこれまで築いてきたキャリアの延長にありながら、
確実に“次のフェーズ”へと踏み出したことを示す作品だ。
モモという人物の内側を生きることで、
若葉の演技はさらに透明度を増し、
“気配そのものがドラマになる俳優”へと進化している。
彼の存在は決して前に出てくるタイプではないが、
画面の中心で静かに物語の温度を変えていく。
この独特の演技は、舞台に生まれたDNAと、映像の中で磨かれた感覚が融合して生まれたものだ。
終わりに──息づかいが記憶に残る俳優
若葉竜也の演技は“熱量”ではなく、“息づかい”で観客の心を動かす。
役を押しつけず、過剰に語らず、ただ「そこにいる」ことで人物の人生を成立させる。
『葛城事件』は、
若葉がこれまで積み重ねてきた舞台と映像の両方が、一つの形として結晶した作品だ。
この先、彼がどんな役を選び、
どんな人物の“揺らぎ”を映し出していくのか。
静かで確かな進化を続ける若葉竜也から、目が離せない。
若葉竜也、舞台のDNAを映画に刻む俳優の軌跡
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