
アニメ『モノノ怪』の世界を舞台表現で拡張してきたシリーズに、新たな一作が加わる。
舞台『劇場版モノノ怪 前日譚~二首女~』が、2026年5月14日から17日まで、東京・品川プリンスホテル ステラボールにて上演されることが発表された。
本作は、現在展開中の劇場版三部作と同一世界線に位置づけられながらも、舞台ならではの解釈で描かれる完全オリジナルの前日譚。物語の中心となるのは、これまで多くを語られてこなかった「劇場版の薬売り」という存在だ。
テレビシリーズから劇場版へ

『モノノ怪』が描いてきた“人の情”
『モノノ怪』は、2006年放送のアニメ『怪〜ayakashi〜』内の一編「化猫」を原点とし、2007年にテレビシリーズとして放送された作品である。
謎の男・薬売りが、形・真・理の三つを見極めることでモノノ怪を鎮めていく構造は、怪談でありながら人間の情念そのものを描く物語として評価されてきた。
2024年からは、舞台を大奥に移した劇場版シリーズが始動。第一章『劇場版モノノ怪 唐傘』(2024年)では、閉ざされた組織に身を置く女たちの息苦しさと個の喪失が描かれ、続く第二章『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』(2025年)では、天子のお世継ぎを巡る家同士の思惑と、その狭間で揺れる女たちの葛藤が掘り下げられた。
物語は、2026年5月29日公開予定の第三章で完結を迎える。
舞台『前日譚~二首女~』が描くもの
主役は「劇場版の薬売り」
今回上演される舞台版は、『モノノ怪』シリーズの生みの親であり、劇場版総監督を務める中村健治の監修のもと制作される。
最大の特徴は、物語の主軸を「劇場版の薬売り」に据えている点だ。
映像作品では語られなかった時間、語られなかった視線。
舞台という生身の表現を通じて、薬売りという存在の重さや揺らぎが、観客の目前で立ち上がる構成となる。
薬売り役は新木宏典
演出はヨリコ ジュンが続投
薬売り役を務めるのは、舞台『モノノ怪』シリーズで同役を演じてきた新木宏典。
静と動を行き来する演技で、舞台版ならではの薬売り像を築いてきた俳優であり、本作でも続投が決定した。
演出・映像は、シリーズを通して世界観構築を担ってきたヨリコ ジュンが担当。
舞台装置と映像演出を組み合わせた手法は本作でも用いられ、怪異譚としての緊張感と美術性を両立させる。
他キャストについては、後日発表予定となっている。
紺色の装束が示す変化
公開されたティザービジュアル
あわせて解禁されたティザービジュアルには、これまでの舞台シリーズとは異なる紺色の衣装に身を包んだ薬売りの姿が描かれている。
色彩表現が物語の象徴として機能してきた『モノノ怪』において、この装いの変化は偶然ではない。
前日譚という立ち位置とどう結びつくのか、想像を掻き立てるビジュアルとなっている。
中村健治コメントから見える“舞台への期待”
中村健治は、制作過程を間近で見ている立場として、衣装や小道具の作り込みの精度に言及。
実際に新木宏典が薬売りに扮した撮影にも立ち会い、その完成度に強い手応えを感じたと語っている。
映像とは異なり、観客が“肉眼で確認できる距離”で成立する舞台。
その強度こそが、本作の大きな魅力となりそうだ。
“前日譚”という選択が意味するもの
劇場版三部作の完結を目前に控えたタイミングで、「前日譚」と銘打たれた舞台作品が上演される意義は大きい。
それは物語の補足ではなく、視点の補完に近い。
薬売りは、常に事件の中心にいながら、その内面を語られない存在だった。
舞台という形式は、説明を排し、呼吸や間、沈黙といった非言語の要素で人物像を立ち上げることができる。
だからこそ前日譚は、薬売りという存在を理解するための“答え”ではなく、“体験”として機能する。
劇場版を観てきた観客にとっては解釈を深める導線となり、舞台から触れる観客にとっては『モノノ怪』世界への入口となる。
その両立こそが、本作がシリーズの中で担う役割だろう。
公演情報
舞台『劇場版モノノ怪 前日譚~二首女~』
日程:2026年5月14日(木)~5月17日(日)
会場:品川プリンスホテル ステラボール
出演:新木宏典(薬売り役)
演出・映像:ヨリコ ジュン
チケット料金:
全席指定(特典付き)13,000円(税込)
全席指定(特典なし)11,000円(税込)
公式最速先行(抽選):
2025年12月19日(金)19:00~2026年1月4日(日)23:59
主催:舞台『劇場版モノノ怪 前日譚~二首女~』製作委員会
(OfficeENDLESS・ツインエンジン)



