
コードギアス20周年が告げる、新たな物語の幕開け
2026年に節目となる20周年を迎える『コードギアス』シリーズ。
その記念イヤーを目前に控え、ファンの心を一気に引き寄せる発表が行われた。12月7日、「コードギアス Project “To 20th” イベント」でついに新作『コードギアス 星追いのアスパル』の制作が解禁されたのだ。
シリーズの核心テーマである“意志と選択”をどう次世代へ引き継ぐのか。ルルーシュたちが残した理念の先に続く、新時代のギアスはどのような姿を見せるのか。詳細はまだ語られていないにもかかわらず、すでに期待は大きく膨れ上がっている。
完全新作『星追いのアスパル』制作決定 ─ 20周年を象徴する新章
今回の発表で最も注目を集めたのが、完全新作となる『コードギアス 星追いのアスパル』の制作決定だ。
監督には野村和也、シリーズ構成に野﨑まど、キャラクターデザインはろるあ、そして “アガルマータデザイン” という新たな要素をYoshi. が担当する。名前を並べただけでも、従来作品とは違う感覚がにじみ出る布陣だ。
“アスパル”という語が示すものは何か?“星追い”とは誰の物語なのか?現時点では一切のストーリーラインが伏せられている。逆に言えば、それだけ自由度の高い新章が構築されている可能性があるということでもある。
シリーズの世界観を継承しながらも、キャラクターの手触りや政治・思想の構造を刷新する余地が大きく、ファンにとっては“未知”そのものが最高の刺激だ。
『奪還のロゼ』がテレビ放送へ ─ 新章へつながる連続的な動き

新作発表と並んで注目を集めたのが、現在ディズニープラスで独占配信されている『コードギアス 奪還のロゼ』のテレビ放送決定だ。
2024年に全12話を4幕構成として劇場公開した後、配信で視聴者層を広げてきた本作が、2026年7月より地上波で放送される。舞台は“合衆国日本・旧ホッカイドウブロック”。傭兵兄弟ロゼとアッシュがネオ・ブリタニア帝国に立ち向かう物語は、従来の“学生視点の革命”とは異なる角度からコードギアス世界を照らしている。
放送局などの詳細は今後の公式発表を待つ形となるが、20周年プロジェクトの一手として、より多くの層へ作品を届ける重要な施策だと言える。
展示・コラボ・メディアミックス ─ “20周年の全方位展開”が始動
9月に東京、11月に大阪で20周年記念展覧会が開催決定。シリーズの長い歴史を体感できる空間になることが予想される。加えて、今年30周年を迎えた『新機動戦記ガンダムW』とのコラボも進行し、小笠原智史によるコミカライズ企画が動いている。
この組み合わせは、一見すると異色のようでいて、実は“若き意志が世界の構造と向き合う”という両作品の根底が響き合う好企画だ。20周年を記念したメディアミックスは、ただの記念イベントに終わらず、コードギアスというブランドの“再定義”へつながる大きな役割を担いつつある。
舞台作品も加速 ─ スザクとルルーシュの正義が再び交錯
ミュージカル『コードギアス 反逆のルルーシュ 正道に准ずる騎士2』のメインビジュアルも公開された。
2023年9月に上演された舞台の続編であり、スザク・ルルーシュ・ユーフェミアを中心に構築された物語が、2026年1月から2月にかけて再び舞台に帰ってくる。
“正義”を巡る二人の衝突は、アニメ本編とは異なる表現方法で描かれることで、作品が持つ思想的な奥行きをより鮮明に映し出してきた。舞台版の存在は、コードギアスが“映像作品を超えた物語”として受け継がれている証といえる。
YouTube企画始動 ─ アッシュフォード学園の日常が帰ってくる
20周年企画の一環として、『反逆のルルーシュ』TVシリーズ全50話が12月28日からYouTubeで無料配信される。
そして、同月15日には“アッシュフォード学園生徒会チャンネルTUBE!”が公開される。
ルルーシュたちが学生として過ごした場所は、シリーズにとって“革命の前の温度”を象徴する場でもある。その空気を、現代の視聴スタイルに合わせたイラストドラマで楽しめるというのは、20周年らしい遊び心のある企画といえる。
20周年は“振り返り”ではなく“再始動”の合図
今回発表された内容は、どれも単独で完結するものではなく、20周年という節目に向けて“コードギアスという世界を再び動かすための連動したプロジェクト”として位置づけられている。
『星追いのアスパル』の存在は、その中心にある“未来”そのものだ。どのような物語が語られ、どの価値観が更新されるのか。シリーズのファンはもちろん、これから触れる新規層にとっても、2026年は大きな転換点となるだろう。
コードギアス世界が持つ“普遍性”と“更新性”──20周年を前に再考する

コードギアスという作品が長年愛されてきた理由の一つに、“物語の核が固定されていない”という特徴がある。
ルルーシュという青年の革命劇から始まったにもかかわらず、作品はその後さまざまな角度から世界を描き、キャラクターの立場や思想を変えることで、多様な視点を提示し続けてきた。それは単なる“シリーズ展開”ではなく、物語そのものがもつ構造の柔軟性に支えられている。
たとえば、『奪還のロゼ』は従来の学生主体の物語とは異なり、傭兵というアウトサイダーを主人公に置いた。彼らは国家や組織を背負わず、ただ生き残るために戦う。それでも作品世界に自然に溶け込むのは、コードギアスが“誰の視点にも物語を成立させる余白を持っている”からだ。この“余白”があるからこそ、新章『星追いのアスパル』にも大きな可能性がある。
20周年を迎える今、シリーズが再び動き出すのは偶然ではない。物語とは、時間が経つほどに“次の問い”を生む。視聴者が増え、世代が変わり、社会全体の価値観が変化する中で、作品に求められるテーマも変わる。ルルーシュの時代に語られた“正義と選択”は、今ならどのように見えるのか。別の主人公なら、別の世界の歪みをどう切り取るのか。こうした問いに応えるために、“新たなギアス”は必要なのだ。
また、20周年プロジェクトの広がりから見えるのは、メディアの多層化だ。アニメ、舞台、展示、YouTube企画、コミカライズと、多方向から作品世界への入口が用意されている。これは単なる展開の多さではなく、“コードギアスを一度離れた人でも戻りやすい構図”を意図的に作っているように感じられる。特にアッシュフォード学園のYouTube企画は、かつてのファンにとっては“原点の空気”を思い出すきっかけとなり、新規ファンにとっては“敷居を下げる入り口”になる。
『星追いのアスパル』がどの時代を描くのか、どの勢力に焦点を当てるのかはまだ明かされていない。しかし、これまでのシリーズが示してきた“物語を更新し続ける力”を考えれば、新作は過去をなぞるものではなく、20周年を象徴する“次の問い”を提示する可能性が高い。ルルーシュが残した決断は、世界を変えた。その後の世界をどう生きるのか──その問いは常に続いている。
だからこそ、新章の発表はファンにとって「新しい情報」という以上の意味を持つ。これは“再び物語が動き出す”という宣言であり、シリーズが未来に向けて歩み続けることを示す合図なのだ。

