
新しいステージへの挑戦
配信という“画面の向こう側”で多くのファンを魅了してきたスタンミじゃぱんが、今度はリアルの舞台に立つ。
出演作は、LIVE×Reading Musical『オッサン(36)がアイドルになる話』。2025年12月11日から14日まで、東京・博品館劇場で上演される本作で、彼は主演の一人としてミロク(大崎弥勒)を演じる。
変化を恐れない配信者から表現者へ

スタンミじゃぱん(本名:菅原勇矢)は、配信活動を通じて注目を集めたクリエイター。
ゲーム実況を中心に、トークや企画配信など多様な発信を行い、ネットカルチャーを代表する存在の一人となっている。ここ数年はモデルや俳優としての活動も増え、SNSでの発信力を武器に“オンライン発”の新しい表現者像を体現してきた。
配信を見慣れたファンにとっても、彼が舞台に立つというニュースは大きな驚きだっただろう。しかし本人はインタビューでこう語っている。
「アイドルができるなんて思ってもいませんでした。自分自身、男性アイドルが好きなので、今まで溜め込んできた熱をこの作品と共に届けたいです」
この言葉ににじむのは、“観る側”だった自分が“魅せる側”へと踏み出す喜びだ。
舞台『オッサン(36)がアイドルになる話』とは
原作はもちだもちこによる同名小説。36歳の無職男性が、動画投稿をきっかけに自分を変え、アイドルグループ「344(ミヨシ)」の一員として再生していく姿を描いたコメディ作品だ。
コミック化もされ、幅広い読者層に愛されている。
舞台版では、スタンミじゃぱんと反橋宗一郎がWキャストで主人公・ミロクを演じ、共演には雨宮翔(GENIC)、徳井太一、谷内伸也(Lead)、廣瀬智紀ら実力派が集結。脚本を白柳力、演出を中本吉成、音楽を岡村洋佑が担当する。
“リアル”に立つということ
これまで画面越しでファンとつながってきた彼にとって、“舞台”はまったく別の環境だ。
リアルな照明、観客の呼吸、共演者との距離感――それらすべてが即興的で、失敗も含めて“生きた表現”になる。
その不確かさを恐れず、彼は挑戦を選んだ。舞台出演の背景には、数年前に抱えていた身体的なハンデと、それを克服して再び表現の場に戻ってきた経験もある。困難を経たからこそ、今の彼の言葉には重みがある。
“おじアイドル”という役への真剣勝負
主人公ミロクは、120kgの引きこもりから一念発起して“おじアイドル”になるという異色の人物。
スタンミじゃぱんはこの役を通して、「アイドル」という存在を外側からではなく、内側から体感しようとしている。
彼がこれまで配信で培ってきた“観察眼”と“表現の勘”が、舞台というリアルの場でどんな化学反応を起こすのか――観客にとっても見逃せない瞬間となりそうだ。
今後の展望

舞台出演を機に、彼はさらに俳優としての活動も広げていく見込みだ。
配信者として培ったトーク力や発信力は、舞台・映像両方で生きるスキル。本人が言うように「アイドルが好き」という純粋な気持ちが、今後の表現にも新しいエネルギーを与えていくはずだ。
デジタル発の表現者がリアルへ踏み出す時代
近年、ネット発のクリエイターが舞台や映画へ進出する動きが加速している。スタンミじゃぱんの挑戦は、その象徴的な例といえるだろう。
彼は「ネットで完結しない表現」を求め、物理的な“舞台”という新たなメディアを選んだ。
観客と直接つながるこの場で、彼の配信時代からのファンは新たな側面を見つけ、演劇ファンはネット文化の新しい風を感じるはずだ。デジタルとリアルの境界を軽やかに飛び越える彼の姿勢は、次世代の表現者像を提示している。




































